ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス #3
「さすがだ」透明のニンジャは満足げに頷いた。「最終試練に臨み、半神に比する肉体を手にするがいい!」そしてパープルタコを見た。「……どうした?」「師父」パープルタコは口を開いた。すると突如ドージョーの光景がグニャリと歪み、三人の仲間の姿もろとも消え失せた。「師父、どうして」 26
2011-10-29 00:29:09「……」「師父はどうして私達を捨てたのですか」透明のニンジャは答えず、その姿もまた歪み、ノイズの中へ散ってゆく。「どうして!あたし達を捨てた!どこに行ったんだ!」パープルタコが叫ぶ。「……シテンノ……シテンノ……」彼女はいつしか暗黒の宇宙に独り浮かび……。 27
2011-10-29 00:37:06「ウオオッ!」シルバーキーは耐え切れず地面に叩き伏せられた。「何だってんだ?今のは?」「グワーッ!」パープルタコが身悶えする!「イヤーッ!」「グワーッ!」この隙を逃さず、ニンジャスレイヤーはパープルタコの身体をブリッジ動作で弾き飛ばす!マウントが破られた! 28
2011-10-29 00:49:00空中で危うくバランスを取り着地したパープルタコへ、ニンジャスレイヤーは決断的速度でツカツカと接近してゆく。「スゥーッ!ハァーッ!」ゴウランガ!早歩きしながらのチャドー呼吸!パープルタコが横目でシルバーキーを睨む!「覚えてろよクソ野郎……」そしてニンジャスレイヤーに向き直る! 29
2011-10-29 01:03:55(親愛なる読者の皆さん:昨日、更新作業中のスタッフが失神しているのが発見されましたが、命にべつじょうはありません。失神であり睡眠では無いという本人の主張をもとに失神と結論づけます。ケジメはありませんのでご安心ください)
2011-10-29 14:31:42空中で危うくバランスを取り着地したパープルタコへニンジャスレイヤーは決断的速度でツカツカと接近してゆく。「スゥーッ!ハァーッ!」ゴウランガ!早歩きしながらのチャドー呼吸!パープルタコが横目でシルバーキーを睨む!「覚えてろよクソ野郎……」そしてニンジャスレイヤーに向き直る! 29
2011-10-29 14:35:54「あンたの負けだ、往生際の悪い奴」パープルタコはカラテを構える。全部で八本の触手が音を立てて伸び、放射状に拡がった。そのそれぞれの先端部の異様な緊張!何かが来る!ニンジャスレイヤーは早歩きで接近!「ブシューッ!」触手の先端からスリケンめいた何かが一斉に放たれる! 30
2011-10-29 14:40:17それは粘液!黒紫色の分泌物が圧力によってスリケンめいた物体となり放たれたのだ。なんたるバイオテックにもとづいた高度なジツ!八枚のスリケンをこの一瞬の予備動作で投擲できるニンジャなど、殆どおらぬ!「イヤーッ!」早歩きするニンジャスレイヤーの両手が残像を伴って高速で閃く! 31
2011-10-29 14:46:21「な、何ィー!」ワザマエを目撃したシルバーキーが思わず叫んだ。ニンジャスレイヤーは早歩きしながら両手を前に掲げて見せた。その指と指の間には八つの粘液スリケンが全て挟み取られている!ゴウランガ!なんたるニンジャ動体視力そしてニンジャ器用さか! 32
2011-10-29 14:50:59「ブシューッ!」パープルタコがさらに八つの粘液スリケンを発射!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは指に挟んでいた八つの粘液スリケンをツブテめいて投げつける。それぞれがぶつかり合い相殺消滅!その時には既にニンジャスレイヤーは床すれすれまで身を沈めてダッシュしている!「イヤーッ!」33
2011-10-29 15:01:00急加速で一瞬にしてパープルタコの足元へ潜り込んだニンジャスレイヤーは、組んだ両拳をハンマーめいて振り上げる!「イヤーッ!」立ち上がる膝のバネ力と両腕の勢いが乗った強烈な打撃は、パープルタコの咄嗟のガードをたやすく崩した!「なッ……」パープルタコの 両手が強制的に開かれる! 34
2011-10-29 15:07:15「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはこの機を逃さぬ!さらに半歩踏み込んだその姿勢は必殺のポン・パンチ!だがその時「シテンノ!」パープルタコの瞳が紫にストロボ発光する!ナムサン、これは彼女の奥の手、最大出力ヒュプノ・ジツだ!「ヌウッ!」 35
2011-10-29 15:34:39敵の自我を支配し、服従させる恐るべきジツ……パープルタコは魅了した相手の口に触手を捻じ込み、髄液やニンジャソウルを吸う恐怖存在なのだ!ニンジャスレイヤーはシルバーキーの警告を覚えており、彼女の眼に焦点を合わせぬようにしていた。しかしこの最大出力のジツはそれでもお構い無しだ! 36
2011-10-29 15:39:49だが!「グワーッ!?」悲鳴を上げたのは……パープルタコである!「なんだこれは……なんだこれは!」ヒュプノ・ジツを阻害されたパープルタコが悶える!「俺だ!」見よ、それはシルバーキー!床に膝をつき、己の両こめかみに人差し指と中指を当てている。両目と鼻から血を流す壮絶な有様! 37
2011-10-29 15:48:31「あンたちょっとウカツだぜ!ゲホッ!」シルバーキーが咳き込む。「精神攻撃やるなら気をつけねえと……ファイアーウォールが開いちまうぜ。俺もいい勉強になった。あンたと触れ合うのも三度目だしな」「アアアーッ!」そして再度踏み込むニンジャスレイヤー!ポン・パンチ! 38
2011-10-29 16:00:03「イヤーッ!」「グワァーッ!」身体をくの字に折り曲げ、パープルタコが吹き飛ぶ。割れていないほうの窓ガラスを突き破り、路上に叩き出されて転がった。「アバッ……アバーッ!」「ウオオーッ!」そこへ失神状態から復帰したサージョンが突如インターラプト!両手に握った電気メスが閃いた! 39
2011-10-29 16:05:38ニンジャスレイヤーは振り返りもせず、サージョンの顔面に裏拳を叩き込む!「アバーッ!?」顔面を破壊され仰け反るサージョン……そこへ「イ、イヤーッ!」シルバーキーが決死のジャンプパンチ!「グワーッ!」立て続けに頭部破壊ダメージを受けたサージョンは転がって爆発四散!「サヨナラ!」 40
2011-10-29 16:14:06「ハイクを詠むがいい。パープルタコ=サン」「アバーッ……!」ニンジャスレイヤーは窓枠を跨ぎ越える。 「カイシャクしてやる」「そうは行かぬ」 41
2011-10-29 16:26:12声は頭上から飛んできた。一瞬後、真っ直ぐ降下してきた象牙色の巨大なイーグルがパープルタコの傍らに着地した。否、それは巨大なイーグルではない!ニンジャである!天使めいて背中に翼を生やす象牙色のニンジャがニンジャスレイヤーを睨みつけた。人間離れした金色の瞳!嘴めいたメンポ! 42
2011-10-29 16:31:45象牙色のニンジャは瀕死のパープルタコを抱きかかえた。「……ドーモ、アイボリーイーグルです。貴公は……ニンジャスレイヤー=サン」「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーは素早くオジギを返し、コンマ1秒後に飛び蹴りで襲いかかった。「イヤーッ!」 43
2011-10-29 16:35:45「イヤーッ!」アイボリーイーグルはしかし、パープルタコを抱きかかえたまま垂直に跳び上がって攻撃を回避!なんたる跳躍力!そのまま向かいの建物の鬼瓦の上に立つと、ニンジャスレイヤーを無感情に見下ろした。「今はまだそのときではない」「臆病者め」「じきに相手をしてやる」 43
2011-10-29 16:39:00「何であンたがここにいる」腕の中でパープルタコがアイボリーイーグルを見上げる。アイボリーイーグルは鼻を鳴らした。「……サラバだ、ニンジャスレイヤー=サン。イヤーッ!」アイボリーイーグルはパープルタコを抱えたまま跳躍!羽ばたいて飛翔し、あっという間に飛び去った。 44
2011-10-29 16:42:58「あいつ……象牙色……」遅れて路上へ出てきたシルバーキーが、太陽の光に目を細めて呟いた。ニンジャスレイヤーは彼をゆっくりと振り返った。シルバーキーはあらためて、この赤黒のニンジャが放つ凶悪な殺気に打たれ、後ずさった。「何者だ。オヌシは」ニンジャスレイヤーが踏み込む。「言え」 45
2011-10-29 16:51:13「アイッ……エ……」ジゴクめいた目で射抜かれ、シルバーキーの背中に嫌な汗がにじんだ。そして悟る。まだ今日の凶運は去っていないのだと。彼はニンジャスレイヤーの後ろの街並みに、サンズ・リバーの映像を思わず重ね合わせた。 46
2011-10-29 16:55:09(第二部「キョート殺伐都市」より:「ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス」#3 終わり。#4へ続く) 47
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