スリー・ダーティー・ニンジャボンド #1

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

これほどに過酷な環境下を着の身着のままで旅してきたワタアメは、ワンダラス町への旅の中途で死んでいても実際おかしくなかった。しかしながら今回の帰り道は二人のニンジャと共にある。サイバー馬もいる。あきらかに発狂してはいるが、フォレストの野伏めいた技術と知識は信頼に足るものだ。75

2011-12-12 22:59:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ジェノサイド=サン」フォレストがジェノサイドに話しかけた。ともに馬上で、ワタアメはフォレストの後ろでまどろんでいる。ジェノサイドは身体が大きく、二人乗りには不向きだ。「目的地があると言っておったな、オタカラの先に」「フン」「何がある。救援物資か。財宝か」「俺にとってはな」 76

2011-12-12 23:08:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

単調な荒野の旅と言う事もあり、この男にしては珍しく、まともにフォレストの質問に答えた。「その先の廃墟に用がある。狂った科学者の城よ」「科学者とな」「そうだ。言わばリー先生の同類だ。……リー先生と言っても知らんか」「いや。おれはナムで徴兵される前はヨロシサンにいた」 77

2011-12-12 23:13:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ナム……とにかく、その城……廃墟には研究の成果が残されている。おれの呪いを解く研究が」「呪い?」ジェノサイドは喉を鳴らした。「……こっちの事情だ。期待はしちゃァおらんが、呪いを解くとまではいかんでも、多少、肉が欲しい。体にあちこちガタが来ているんでな」「フーム」 78

2011-12-12 23:22:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フォレストは編笠を直し、「お互い難儀な事よな」と言った。ジェノサイドは喉を鳴らした。笑いに似た仕草である。「おお、あの川だ。あとは川に沿って進めばよい」フォレストはサイバー馬の背中の液晶表示と太陽を見比べながら言った。右手に川が見えて来た。「魚が獲れるかもしれん。スシだ」 79

2011-12-12 23:31:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「川のほとりで野営か」ジェノサイドは言った。「娘を休ませねばなるまい」「左様」……二人は馬を走らせ、川沿いの岩場でキャンプの準備をした。フォレストは岩の淵に屈み込み、手で冷たい川の水を掬い、舐めた。「砂利で濾過すれば飲める。網も張ってみるとしよう。スシだ」彼は強調した。 80

2011-12-12 23:37:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ワタアメが目を覚ますと、三人は再び焚き火を囲んだ。バイオフナを串刺しに焼いたものと、とろけるような舌触りの、バイオアナゴ蒲焼スシである。三人はそれに舌鼓を打ち……ジェノサイドは申し訳のように少量を口にいれただけであったが……食後にはワタアメが素朴な歌を歌った。81

2011-12-12 23:52:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「うまいもんじゃねェか」ジェノサイドは呟き、岩に身をもたせかけた。「ありがとう」「村の歌か」「お母さんに教わったの。死んでしまったけど」「そういう楽しみは他にも案外あるのかもよ。あいつが昨日言ってた話のようなさ」ジェノサイドは背中を向けた。「1時間後に出発」とフォレスト。 82

2011-12-13 00:38:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は川の上流の白い泡の塊に気づき、手をかざして注視した。「……何だ」「あン?」横になったばかりのジェノサイドが面倒そうにその方角を見た。何か大きなものが川を流れてくる。「嫌な感じだぜ」フォレストは頷き、眉間にシワを寄せた。「ベトコンはああして水中から近づき奇襲をかける」83

2011-12-13 00:41:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前のドージョーにゃ、水棲ニンジャもいるのか」ジェノサイドのバズソー刃が岩場の上にゴトリと落ちた。「あっちがやる気なら、悪いがサシミにするぜ」「……」フォレストは無言だ。彼もマチェーテを構えた。「川から離れておれ、ワタアメ=サン。だが離れすぎるのもいかん」「……!」 84

2011-12-13 00:47:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

まさに彼らのキャンプのすぐ手前、流れて来たものが飛沫をあげ、岩を掴んで水から這い上がった!「グハァーッ!」草の上に転がり出たそれは……そのニンジャは野営に瞬時に気づき、バック転で飛び離れる!「……」ジュー・ジツを構えたそのニンジャを見、フォレストとジェノサイドは目を見開く! 85

2011-12-13 00:53:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「お前は!」」二者は同時に叫んだ。そして顔を見合わせた。「「知っているのか、こいつを」」「……ゴホッ……」濡れそぼった赤黒のニンジャは咳き込んだ。そして、雫を滴らせながらアイサツした。「ゴホッ、……。……ドーモ……ニンジャスレイヤーです」 86

2011-12-13 01:00:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(第二部「キョート殺伐都市」より:「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」#1 終わり。#2へ続く

2011-12-13 01:01:25
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