スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ #4
「イヤーッ!」シルバーカラスが懐のナイフを投げた。「イヤーッ!」ソードダンサーはカタナで撃ち落とす。「イヤーッ!」シルバーカラスが間髪いれず自剣で斬りつける。ソードダンサーは二刀流だ。もう一方のカタナでこれを難なく受け流す!「イヤーッ!」そしてナイフを弾いたカタナで攻撃! 25
2012-01-23 15:38:24「イヤーッ!」シルバーカラスは身を捻じって回転、座るような姿勢で横薙ぎのカタナを回避した。そしてソードダンサーの脛に斬りつける!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ソードダンサーは一方のカタナでこれをガード、もう一方のカタナでシルバーカラスの脳天をかち割ろうと試みる!「イヤーッ!」 26
2012-01-23 15:48:08「イヤーッ!」ハヤイ!シルバーカラスはガードされたカタナを素早く戻し、頭を狙う斬撃を側面から打って弾き逸らした。さらにしゃがみ姿勢からいきなり跳び上がり、奇襲めいて飛び蹴りを叩き込む!「イヤーッ!」「グワーッ!」奇怪なメンポに蹴りを受けたソードダンサーは仰向けに転倒! 27
2012-01-23 15:56:46「キィエーッ!」ウインドミル回転斬撃を繰り出して追撃を牽制しながら、ソードダンサーが立ち上がった。そのメンポがバッカリと割れて地面に落ちた。中からオレンジと黒の染料で極彩色にペイントされた顔が現れる。ノロイ!「イアーッ!」ソードダンサーが跳んだ! 28
2012-01-23 16:04:04「イア!イア!イア!イアッ!」ソードダンサーは空中から二刀を用いて四度斬りつける!ゴウランガ!なんたる苛烈な二刀流カラテのワザマエか!だがシルバーカラスはただ一振りの小ぶりのカタナ「ウバステ」と己のニンジャ動体視力をもって、これに対する!「イヤーッ!」 29
2012-01-23 16:10:49「グワーッ!?」シルバーカラスはカタナを振り抜き、その背後にソードダンサーが着地した。一瞬後、斜めに斬撃を受けて鮮血を噴き上げたのはソードダンサーだ!敵の攻撃をかいくぐり、研ぎ澄ませた一撃をここぞという機会に見舞う。これぞイアイドーなり!ゴウランガ! 30
2012-01-23 16:30:22「イア!イア!イアーッ!」ソードダンサーは決して浅くない己の身体の傷を顧みず、バックフリップ!センシ!「イア!」アクロバティックに斬りかかる!「イヤーッ!」シルバーカラスは振り向きながら斬る!「グワーッ!」着地点を捉えられ、胸を斬られてよろめくソードダンサー!「イヤーッ!」 31
2012-01-23 16:33:09ナムサン、さらに踏み込んだシルバーカラスは懐からダガーナイフを引き抜き、脇腹から斜め上、えぐるように突き刺す!「グワーッ!」さらに膝頭をハンマーめいて踵で蹴り砕く!「グワーッ!」ソードダンサーがカタナを取り落とし、四つん這いに!「ハイクを詠め!ソードダンサー=サン!」 32
2012-01-23 16:36:47「ア、アバッ……に、二刀流、イアイドーに勝てなかった、生まれ変わったら勝つ」「イヤーッ!」ハイクを詠み終えたソードダンサーの首を、シルバーカラスは一撃で切断した。綺麗な一撃だ。「サヨナラ!」ソードダンサーは爆発四散した。 33
2012-01-23 16:39:50「ナムアミダブツ、」シルバーカラスは手を合わせかけたが、果たせなかった。彼はメンポを開き、おもむろに喀血した。「ゲホッ!ゲホーッ!」彼もまた膝をつき、さらに血を吐いた。「ゲホーッ!ゲボーッ!」彼は何度も吐きながら、薬を探ってもがいた。 34
2012-01-23 16:45:43オリガミ・ミサイルが弧を描いて旋回し、挟み込むようにサードアイに突入する。だが彼はうろたえず両手を広げた。「ヌゥーン!」するとどうだ!両肩からアンテナめいた装置が伸び、キィィィンと耳障りな音が水面を波打たせた。オリガミ・ミサイルは狙いをそれ、互い違いに交差して墜落!無効だ! 36
2012-01-23 17:17:44「驚いたか」サードアイはニンジャソードを構え直し前進する。「キネシスとて結局は物理学!俺のニンジャソウル感応力とインダストリが合わされば、俺のカラテは実際三倍近い凄さになる。これは実際ソウカイヤの中でもかなり強い」だがヤモトの戦意はまるで萎えていない!「その顔!気に入らん」 37
2012-01-23 17:27:58ヤモトは己のカタナを構えた。もとはクローンヤクザの持ち物だ。鍔が無く扱いにくいドス・ソード。ドス・ダガーよりは長いがカタナに比べれば短い。おぼつかない得物だ。サードアイが嗤う「お前には俺に勝るものが何も無し!斬ってやるぞ!」だが彼女の表情は決断的であった。「……やってみろ!」38
2012-01-23 17:39:30「ジツ無き小娘など!」サードアイが一気に間合いを詰め、斬りかかる!(……まず動きの軌跡が描かれ、その後、遅れてカタナが通る。カタナの角度を、目線を、足の向きを読め。ネイチュアは多弁だ)ヤモトは敵の切っ先の軌道に己のニンジャ動体視力を傾けた。「イヤーッ!」 39
2012-01-23 17:45:49彼女は鈍化した時間の中に投げ込まれた。白刃が流れる。黒髪がなびく。ヤモトは首を傾げるようにして切っ先を躱す。サードアイが驚きに目を見開く。間合い。斬るには近過ぎる。ヤモトはドス・ソードの柄頭でサードアイの脇腹を打った。……「グワーッ!?」サードアイが吹き飛ぶ! 40
2012-01-23 17:50:26ヤモトは踏み込んだ。(……ニンジャの死因の四割はトドメのタイミングの読み違いだ。反撃に遭って死ぬ。カラテを忘れるな。ザンシンせよ)……「イヤーッ!」着地するサードアイの牽制めいた斬撃が襲いかかる。ヤモトはその切っ先範囲のやや外側で踏みとどまり、これを避けた。 41
2012-01-23 17:54:46「イヤーッ!」ヤモトは土を蹴った。「グワーッ!?」サードアイがひるむ!「バカな!手馴れてやがるのか?」(……イアイの一撃は綺麗な一撃だ。綺麗な一撃は、待っていても来ちゃくれない。お膳立てをしろ。お前自身でやるんだ)……ヤモトはくるくると回り、サードアイの側面を取る! 42
2012-01-23 17:59:59ヤモトは己の首筋にチリチリする熱を感じた。回りながら膝を曲げて身を沈めた。「イヤーッ!」彼女の頭が一瞬前にあった場所を斬撃が通っていった。血中をニンジャアドレナリンが駆け巡る。(……アブナイの意味を知れ。電車に轢かれれば死ぬが、ホームから出なければ轢かれない。わかるか) 43
2012-01-23 18:06:28ヤモトは下から上へ斬り上げる。「イヤーッ!」サードアイは欲深な一撃を当て損ねた直後。この攻撃を回避しきる事ができない。まずは一手。ヤモトの手に敵を斬る感覚が伝わる。生々しい手応えであるが、そこに苦痛や感傷は無い。まして快楽も無い。彼女は淡々と刃を滑らせた。「グワーッ!」44
2012-01-23 18:55:45「……!」ヤモトは驚いていた。長期間の訓練や修行ではない。ヤモトがカギ・タナカに授けられたのはインストラクションだ。端的なインストラクションによって、ヤモトはカラテの方法を理解し、戦い方のルールを知った。世界は変わった。彼女は今、これまでの無知と無駄を省みさせられていた。 45
2012-01-23 19:07:24(……奥ゆかしさだ。奥ゆかしさを知れ。これで終わりじゃない。ここから始めるんだ。お前自身が。カラテのドーを知った、ただそれだけで慢心すれば、そこまでだ)……ヤモトは頷いた。負傷したサードアイはバック転を繰り出し、飛び離れる。「イヤーッ!」クナイ・ダートが投げつけられる。 46
2012-01-23 19:22:00ヤモトはこの苦し紛れの反撃の軌跡を、鈍化した時間の中で完全に捉えていた。まるでレーザーポインターの道をなぞってくるかのようだ。彼女は半身になり、二本のダートを最小限の動きで躱す。サードアイがこのダートを伏線に斬りかかって来るからだ。来た。「イヤーッ!」ヤモトはやや身を沈めた。47
2012-01-23 19:30:47ここだ……この瞬間だ。ここにイアイがある!ヤモトは踏み込み、敵のカタナを躱し、すれ違いざま、得物を振り抜く!「イヤーッ!」……「グワーッ!?」 48
2012-01-23 19:34:20鈍化した時間感覚が元に戻る!サードアイは胸を斜めに深々と斬り裂かれ、天高く鮮血を迸らせてクルクルと激しく回転!「アババッ、アババ、バカなーっ!?キキキ、キンボシがーッ!?」苦悶し倒れ伏すサードアイ!激しく痙攣!「シッ、シルバーカラス=サン!シルバーカラス=サンまだか!」 49
2012-01-23 19:38:48