アウェイクニング・イン・ジ・アビス #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブロンズデーモンの体にアナコンダめいて暗黒物質が巻きつき、口をこじ開け、侵入して黙らせる!デスドレインは相棒を振り返る。ランペイジはもう一人のニンジャに対していた。そのニンジャは下半身を暗黒物質に呑まれ、動けずにいた。ランペイジはサイバネアームから蒸気を噴き出した。 25

2012-01-29 12:56:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……やってくれ」ランペイジは首をゴキゴキと鳴らし、動けないニンジャ、ザイバツのトライデントを見据えた。デスドレインが片手を上げると、その暗黒物質は突如として締めつけを解き、地面に飛び散った。「!……イ、イヤーッ!」僥倖とばかり、トライデントがランペイジに飛びかかる! 26

2012-01-29 12:59:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

トライデントの右手から三つ又の槍状サイバネクローが展開!先端は過電流でバチバチと火花を散らしている!ランペイジは一歩踏み出した。サイバネアームが引かれ……「イヤーッ!」ストレートを繰り出す!手首関節部が蒸気を噴き出し、拳がやや前に迫り出す!CRAAAAAAASSSH! 27

2012-01-29 13:21:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

衝突直後、腕は反動制御の蒸気を噴いた。ランペイジは踏み留まる。トライデントは吹き飛んだ。吹き飛んだとしか形容のしようが無い。両足首から下が飛び散り、地面に落ちた。他の部位はどこにも無い。粉々に粉砕されて、血かなにかの染みになったのだろう。トライデントはこの世から消えた。 28

2012-01-29 13:29:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「消えちまった!」デスドレインが目を丸くして叫び、そして腹を抱えて笑い出した。「へへへへへははははははは!消えたァー!バカだお前!何だそりゃあ!意味がわからねえ、そんなもの!」「これが俺という力だ」ランペイジは無感情に答えた。「俺の意志が俺のニンジャソウルであり、俺の腕だ」 29

2012-01-29 13:41:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムアミダブツ……ランペイジの冷静な言葉はある意味で真実であった。ビルすら素手で破壊できた彼の不可解なまでのニンジャ膂力が、両腕を失い、かわりにただ破壊だけを目的としたサイバネアームの質量を得たことで、マッポー的なまでの相乗効果が生み出された……そのように仮定するしかない! 30

2012-01-29 13:52:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あ!忘れてた!」デスドレインは我に返った。「違う!お前じゃねェよアズール!」彼へ反射的に視線を向けた少女に対して邪険に言うと、壁からぶら下げられたブロンズデーモンを振り返った。「なァ悔しいか?ザイバツ・ニンジャ=サンよォ?」「……!」「俺は面白ェ!」 31

2012-01-29 14:01:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こんな狼藉!ギルドは許さんぞ」喋れるようにされたブロンズデーモンが息も絶え絶えに言った。「またそれだ。ギルド。ギルド。ギルド。……つまんね」デスドレインは絞り上げた。「アバッ!グワーッ!」「まだ殺すな」とランペイジが口を挟む。デスドレインは肩を竦めた。 32

2012-01-29 14:26:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゆっくりだ。殺さぬように痛めつけろ。拷問して聞き出す」犠牲者を見上げ、ランペイジは平然と言った。デスドレインは頭を掻いた。「難しいぜ」「お前が知りたい事だ」とランペイジ。「ゲーッ」デスドレインは苦り切って舌を出した。「まァいいかァ!おいザイバツ・ニンジャ=サン!」「……!」33

2012-01-29 14:38:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「密書って何かなァー?最下層に何があンの?」「アバッ……グ、グワーッ!グワーッ!」「ジルコニアって誰だ?あいつ!いるの?あいつ!なァあいついるかァ?」「アババッ!アババババーッ!」「もしもォーし!」「アバーッ!」「へへへへへ!なかなか良くなってきた!良くなってきちまった!」 34

2012-01-29 14:45:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人は丘から禍々しい裂け目を見下ろした。散在する鉄塔は「無理」「禁止」「素麺」といったミンチョ文字の漢字サーチライトを旋回させ、武装クローンヤクザを載せた屋形ジープがコンテナ群の間をせわしなく行き来している。「ホーム・スウィート・ホーム……とはいかねえか」ガンドーが呟いた。 36

2012-01-29 15:55:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「様変わりしている」ニンジャスレイヤーは眉根を寄せた。「そうだな」ガンドーはズバリガムを口に入れた。彼らは今、因縁のアンダーガイオン第13層にいる。丘の上には労働配備センターや労働者の列、炊き出し等が変わらず風物詩めいて存在している。だが丘の下はご覧の有様だ。 37

2012-01-29 16:00:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

かつてあの場所には巨大な要塞、ハンマーシリンダー施設「ベヒーモス」が存在していた。今は影も形もない。彼らが(……正確にはダークニンジャが最後に手を下したわけだが……)破壊したからだ。ベヒーモスは壊れたが、殺戮は止められなかった。隔壁は貫かれ、下の層の人々は皆殺しになった。 38

2012-01-29 16:03:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

かつてベヒーモスがあった地点には巨大な裂け目が口を開けていた。その淵に、鉄塔よりもやや大きい、クレーンめいた施設がある。ニンジャ視力をもってすれば、それが鉱山に設置するようなタイプのエレベーターだとわかる。エレベーターの周囲の護りは厳重だった。セントリーガンのヤグラも複数。 39

2012-01-29 16:11:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それじゃ、落とし前をつけようぜ」ガンドーが言った。ニンジャスレイヤーは頷いた。トレンチコートにハンチング帽姿。その服装の下には、ニンジャ殺しの悪鬼が潜んでいる。彼の目は決断的な殺意に澄んでいた。 40

2012-01-29 16:15:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……恐怖を煽る書体で「め組」とショドーされた垂れ幕を垂らしたヤグラ上にはクローンヤクザが一人おり、こめかみを据付のセントリーガンとLAN直結して、双眼鏡で定期的に下をクリアリングしていた。「アバッ?」飛来物がその喉もとを貫通し、直結されたセントリーガンが火花を噴いた。 41

2012-01-29 16:25:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

やや遅れて、そのヤグラの足元にニンジャスレイヤーとガンドーが駆けてきた。ニンジャスレイヤーは既に赤黒のニンジャ装束姿、「忍」「殺」のメンポも禍々しい。「ポイント倍点」ガンドーは地面に落ちていた双眼鏡を拾う。クローンヤクザを音もなく殺めたのはニンジャスレイヤーのスリケンだ。 42

2012-01-29 16:30:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「今回は別行動の必要もあるまい」ガンドーは言った。「どうってこたァ無い。突っ込みゃいいんだ。まず管理施設を叩く。で、そこのUNIXをぶっ叩く。エレベーターを主動コントロール状態にしたら、そのまま下だ」「うむ」ニンジャスレイヤーは頷いた。 43

2012-01-29 16:34:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コンテナの陰から陰へ、二人は身を低くして進んでゆく。コンテナにはそれぞれに「アンコ」「サツマイモ」「米粉」「バイオ」「覚醒剤」など、さまざまなミンチョ書きが為されている。「アバッ」ニンジャスレイヤーは角を曲がってきたクローンヤクザの首を、後ろから240度捻じって殺した。44

2012-01-29 16:40:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ザイバツゆかりの暗黒物資の一時保管所と言ったところか」ニンジャスレイヤーが呟いた。ガンドーは顔をしかめ、「そうだな。闇の経済の一端をご覧あれってか……」だが必要以上の時間は無い。彼らは淡々と遭遇したクローンヤクザをカラテで殺しながら先を急ぐ。 45

2012-01-29 16:46:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「40時間働いた」「オタッシャですねえ」「スシが効く」……コンテナの向こうではクローンヤクザ五人が簡易テーブルを囲み、奇妙な会話を互いにかわしながらスシを食べている。ニンジャスレイヤーとガンドーは視線をかわした。「1、2の」「3だ」二者は突入した。「「イヤーッ!」」46

2012-01-29 16:54:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバッ!」「アバーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはジャンプ右手パンチでクローンヤクザAの首を折って破壊、同時に左脚の鹿めいたキックを繰り出しクローンヤクザBの心臓を肋ごと破壊。ガンドーは左銃底殴打でCの後頭部を破壊、右肘打ちでDの額を割って破壊した。 47

2012-01-29 17:02:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スッゾコラー!」残るクローンヤクザEがチャカ・ガンを構えた時には、投擲されたスリケンが脳天に刺さっていた。瞬殺である。タツジン!緑色の血液が散り、やがて赤色に変わる。「しかしまあ、こいつらにも命はある。毎度毎度たまらんな」とガンドー。「そうだ」ニンジャスレイヤーは頷いた。 48

2012-01-29 17:12:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーはコンテナ群から顔を出す台形の建物へ顎をしゃくった。建物の屋根には巨大なダルマが設置され、巨大な看板に「大きく管理」とショドーされている。「あれか」ニンジャスレイヤーは呟いた。「おそらくな」とガンドー。「大穴も近いぜ」 49

2012-01-29 17:21:08