アウェイクニング・イン・ジ・アビス #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「右45度!」ガンドーはハニワを回す!「何だと?」ニンジャスレイヤーは迫り来る天井とガンドーを交互に見た。ガンドーは叫んだ。「王子と乞食!あの寓話だ!服の下はお互いそっくりだ!わかるか!同じだ!同じように動く!動かす!」天井が迫る!ニンジャスレイヤーは理解! 右45度! 50

2012-02-02 23:01:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーがハニワを回し終えると、ガーランド銃めいたチーン音が再び鳴り、天井の高さがリセットされた。だがまた下がってくる!先程より速い!ガンドーは壁を見る。「左180」!回す!ニンジャスレイヤーはニンジャ動体視力で回す角度を目視確認!同様に左180度! 51

2012-02-02 23:05:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チーン!再び天井の高さが戻る!そしてさらに速く下がってくる!ガンドーは表示板を見る。左105度!ナムサン、口で言っていては間に合わぬ!だがニンジャスレイヤーはそれを承知している。つまりこれはニンジャ動体視力の勝負!目視確認!左105度!チーン! 52

2012-02-02 23:08:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

右40度!チーン!左90度!チーン!右240度!チーン!右90度!チーン!左720度!チーン!おお、ゴウランガ!眼に焼き付けるがよい!古代人の仕掛けとの、全く馬鹿げた、だが命がけ、死と隣り合わせのジゴクめいた強制遊戯!「イイイイヤァァァーッ!」 53

2012-02-02 23:19:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガゴン!鉄格子が跳ね上がる!天井がリセットされた。下がらない。ニンジャスレイヤーとガンドーは荒い息を吐きながら分岐点に戻ってきた。おお、見よ、金属板があったはずの分岐点に口が開き、下へと降りる階段が現れているではないか!「ヘッ!」ガンドーは獰猛に笑った。「何でも来やがれ!」 54

2012-02-02 23:47:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

高高度を落下し、ドップリと床にたわんだ黒い巨塊は、四方八方へその触手を跳ね散らかし広がった。その表面潮力が破られると、中から二人の男が現れた。タールめいた物質は意外にも、こびりついたり染みる事無く、彼らの足元に澱んだ。三人のザイバツ・ニンジャは咄嗟にそれを包囲し、構えた。56

2012-02-03 00:15:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アー……」拘束衣めいたニンジャ装束を着た男が小首を傾げ、耳穴をほじくりながら、彼ら三人を順繰りに見た。メンポは着けているが頭巾は無く、黒髪は逆立ち、眠たげな目が、よからぬ期待に濁っている。「いる?アイツ。いねェんじゃねェの?これ。よォ」「……ああ。いないようだ」 57

2012-02-03 00:20:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

もう一人は顔全体を覆う不穏なメンポを装着していた。そして白いニンジャ装束の上体をはだけている。それもそのはず、その両腕は絶対的に間違ったバランスであったのだ。重機、あるいは鉄塊めいたサイバネアーム……腕先が床まであり、指は無骨なマニピュレーターだ。 58

2012-02-03 00:27:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……まあいいか?」拘束衣のニンジャは片割れを見やった。「なンか あるだろ、こいつら殺せば」「ああ」片割れは頷いた。「何者だ、貴様らは!」ソルヴェントが誰何した。拘束衣のニンジャは無視し、続けた。「なァ、ちゃんと待ってるよな?アズールは。待ってるよな?俺らが戻るまで」 59

2012-02-03 00:32:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「待っているさ」片割れはまた頷いた。「あれは一人では何も出来ない」「そうかァ!」彼は邪悪な光で瞳を爛々と輝かせた。そして見渡す「ドーモ、デスドレインってンだよォ俺は!こいつはランペイジ!テメェらアイサツしろよォ!ダークニンジャがいねェのはわかったよ!どいつがジルコニアだ?」 60

2012-02-03 00:40:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「エッ!?」ソルヴェントは戸惑ってジルコニアを見た。ジルコニアは冷静にアイサツを返した。「ドーモ、はじめましてデスドレイン=サン。ジルコニアです。……貴様らは例のオミヤゲ・ストリートの賊どもか」「知ってンの?」デスドレインは身を乗り出す。 61

2012-02-03 00:46:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺、お前宛の何かマキモノを運んでたザイバツの、エート」ランペイジを見る。「……ブロンズデーモン」「そう!そのゴミと遊んでやったよ。糞だめに突っ込んで殺してやったんだ。命乞いするのをさ。観察してたンだ俺達。まあいいや、それでな、ダークニンジャがここにいるンじゃねえの?って」 62

2012-02-03 00:55:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「旧いな、その情報は」ジルコニアは眉ひとつ動かさず答えた。「行き当たりばったりのクズ虫。わざわざそのためにここまで来たか。あまりにも愚か」「上から真下へ穴掘って来たンだ、こいつの腕で。……ランペイジ!あの弱っちい奴、殺せ。見てらンねェ。オドオドしてっから」「わかった」 63

2012-02-03 01:01:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ランペイジはソルヴェントめがけ真っ直ぐに歩いてゆく。「何だと!?畜生!来るな!」ソルヴェントは後ずさる。一方デスドレインはジルコニアに向き直った。「お前、ダークニンジャのかわりだ、お前!お前ちったァやンのか?え?やンのかよ?」メイガスは床に膝をつく。その姿が白く輝きだす。 64

2012-02-03 01:08:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ランペイジが踏み込む!恐るべきストレートパンチがソルヴェントに向けて撃ち出される!「……イヤーッ!」ソルヴェントは瞬間的に足元の床へ沈み、逃れようとした。石にすら潜り込む、強化されたドトン・ジツだ!だがその判断は遅かった。彼の腰から上は無惨に吹き飛び、消失した。65

2012-02-03 01:16:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」白熱するコロナ塊がランペイジに背中から襲いかかる!ストレートパンチを出し終えた直後のランペイジはこれを躱しきれない。コロナ塊が爆発!「グワーッ!?」ランペイジは吹き飛び、壁に叩きつけられる!爆発したコロナ塊の光は再び収束し、ニンジャとなった……メイガスだ。 66

2012-02-03 01:23:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何?立つのか。浅かったか」メイガスは呟いた。「ヌウウ……」ランペイジはぎこちなく起き上がった。背中が黒く煤けているが、致命傷ではない!「へへへへ!喰らってやがンの!」味方の苦境であるにも関わらず、笑ったのはデスドレイン!「わけわかンねえ腕してっからだ!」「問題無い」 67

2012-02-03 01:29:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。申し遅れたがメイガスです」メイガスはオジギした。その身体が再び白熱コロナ塊と化し、その場で爆発、竪穴内に拡散した。輝きが竪穴内を満たす!何かが起こる!「ンだァ?あいつ……」デスドレインはイライラと耳を掻いた。そこへ間合いを詰めるのはジルコニアだ! 68

2012-02-03 01:34:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……シャドウウィーヴは雷に打たれたように竪穴の門の下で立ち尽くし、離人症めいて、実感の湧かぬ光景を眺めていた。ソルヴェントが死んだ。ソルヴェントが、死んだ。ナンデ?侵入してきた敵は?ワカル。オミヤゲ・ストリートを破壊した犯罪者ニンジャの生き残り達だ。69

2012-02-03 01:47:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

どうして奴らがここに?……まさか神器か?神器を破壊する者たち……?アラクニッド、パラゴンの懸念の正体は、実のところこいつらだったのか?(ならば戦え)架空のブラックドラゴン師の声がシャドウウィーヴを叱咤した。(倒すべき敵だ。神器を護れ) 70

2012-02-03 01:53:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「でも、どうやって」どうやって?ああ、もし自分がブラックドラゴン師であったなら、どうするだろう?彼は己を省みた。褒めてもらう……認めてもらう……才能をわかってもらう……?「なんだ、それは?なんだ、その、甘っちょろいブルシットは?この俺は!?ええっ?シャドウウィーヴ!」 71

2012-02-03 01:58:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は己を罵った。何とくだらない……何とくだらぬ事か。(やめだ、そういう考えは!)こんな時、ブラックドラゴン師ならどうする?彼は一歩踏みだした。二歩。三歩。顔を上げた。広間へ進み出た……戦いに加わるべく! 72

2012-02-03 02:02:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(第二部「キョート殺伐都市」より:「アウェイクニング・イン・ジ・アビス」 #4 終わり。#5に続く

2012-02-03 02:04:42