ビガー・ケージズ、ロンガー・チェインズ #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
1
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「やれやれ、相性負けとはアワレ」スワッシュバックラーは芝居がかった仕草で肩を竦めながら、そちらへ歩みを進める。「イヤーッ!」シーパンサーがサイバネ爪でコロッシヴに襲いかかる。「グワーッ!」そしてそのままシーパンサーは前のめりに倒れた。両足のアキレス腱が切り取られていた。 23

2012-03-18 16:34:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワッ?アバーッ!?」シーパンサーが床をのたうち回る。ゴ、ゴウランガ!それをやったのはスワッシュバックラーの斬撃だ!なんたる速さ!「お節介しやがったな?まあいい、ありがとうよ!」コロッシヴがせせら笑う。彼が押さえる大剣の刀身からは刺激臭とともに激しく煙が噴き出している! 24

2012-03-18 16:38:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオーッ!ウオーッ!?」クレイモーンの目が驚愕に見開かれる。押せも引けもしない!コロッシヴが押さえつけているからだ!「ちと待ってろ、サンシタ!」コロッシヴが叱責した。「ハイ、折れたァー!」折れた!大剣が!赤く錆び腐食して、ボロリと折れたのだ!「ウオーッ!?」 25

2012-03-18 16:43:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「実にその、素早いカラテだな。コロッシヴ=サン」スワッシュバックラーが欠伸しながら言った。「晩飯までにはその敵を倒してくれ」「ちと試してみたかったんでな。イヤーッ!」「アバッ!」コロッシヴは無造作に回し蹴りを繰り出し、クレイモーンの首の骨を折った。「サヨナラ!」爆発四散! 26

2012-03-18 16:48:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!アバーッ!」シーパンサーは床をのたうち回り続けている。「アバーッ!アバーッ!ア……アバッ!」「すまんな、忘れていた」側頭部をスワッシュバックラーの刺突剣が貫き、床に串刺しにした。「サヨナラ!」爆発四散! 27

2012-03-18 16:53:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こんなの聞いてないッ!」ヤナマンチ役員が叫び、後ずさる。だが素早くドラゴンベインがそのネクタイを掴み、引き戻した。ヤナマンチ役員は失禁した。「……これで物事はシンプルとなった」バスター・テツオが厳かに言った。「雨降って地固まる、とも言いますね」 28

2012-03-18 16:59:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だが……だがしかし、アンタは一体、何者だ」サブリ化学のCEOが呻いた。「私は市井の人間です」バスター・テツオはそっけなく言った。「より良き社会の実現のため、こうして八方手を尽くし、足掻いております。ゆえに皆さんの資金協力が大変重要だ。わかっていただけますね」 29

2012-03-18 17:09:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエ……」うつ伏せ姿勢のまま、ヤマミ鋼材の跡取りが弱々しく再失禁した。テツオは立ち上がった。「さあ!血判状で強く結び付けられた我々は、この試練を反動存在の処刑で乗り越え、今こそ足並みを揃えて前進します。まずはオムラの退廃的勢力を決断的に迎撃だ。貴方がたを必ず守ります」30

2012-03-18 17:16:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「処刑により?」ヤナマンチ役員が瞬きした。テツオは頷いた。そして片手を上げた。「イヤーッ!」ドラゴンベインがヤナマンチ役員の頭を掴み、その首を無慈悲に捻じり切った。「アバーッ!」サツバツ!テツオは役員を見渡す。もはや、あえて足並みを乱す者はいない。「……賽は投げられた」 31

2012-03-18 17:22:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KABOOOM!ひときわ大きな轟音と震動だ。近い。「このフロアだな」ファイアブランドが手甲に弾丸を装填しながら言う。「先導せよ、オナタカミ」ディスメンバメントを見る。「逃走ルートを確保するんだろ」「……」ディスメンバメントは分離していた身体を再び合体し、専務の隣に立った。 32

2012-03-18 17:41:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「屋上からヘリで脱出を図ります」ディスメンバメントは通路を先導しながら一同に説明した。「階下は実際危険だ。安全のため、物資運搬用のリフトエレベータで移動しましょう。脱出時のみ、高射砲による自動迎撃システムを一時的にオフにする」「よかろう」ファイアブランドは頷いた。33

2012-03-18 18:30:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディスメンバメントはオナタカミ専務を見た。専務は頷いた。「当然、許可する」「施設情報をIRC送信する。アマクダリ=サン」ディスメンバメントは言った。「既にセンサーがこのフロアの侵入敵の熱反応を捉えている」「よろしく頼みます」バスター・テツオがアマクダリのニンジャに促した。 34

2012-03-18 18:50:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドラゴンベインは頷き、四人のアマクダリ・ニンジャは二手に別れて散開した。役員たちの防衛を行うのはディスメンバメントとアムニジアだ。「大丈夫だろうな」すっかり憔悴したニッキキ役員が言った。テツオは言った「保証の無い世界です。ビジネスと同様に。ゆえに我々は闘争する」 35

2012-03-18 19:00:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエ……」ヤマミ鋼材の跡取りが震えた。だがテツオは力強く言った。「貴方がたは我々の闘争を見ておられよ。保証はできないが、しかしこの燃える心はあけすけに申し上げます。必ず守ります。この試練を乗り越える事ができます。そして退廃堕落企業オムラの圧政の鎖を引きちぎる時が来ます」36

2012-03-18 19:04:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

パリパリパリ、パリパリパリ。遠方で機関銃の銃撃音、そして「イヤーッ!」という叫びが聴こえてきた。「交戦が開始されたようだ」とディスメンバメント。「侵入敵第一波を彼らが排除したのち、リフトエレベータへ進みましょう」 37

2012-03-18 19:26:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

||侵入敵を排除。オムラ。ロボニンジャ。モーターヤブ改善。3機を破壊した|| ドラゴンベイン、ファイアブランドのチームが通信を送ってきた。 ||こちらも全て排除。モーターヤブ改善が2機。オムラ武装社員6名。皆殺しにした。弱い|| そしてコロッシヴとスワッシュバックラー。 38

2012-03-18 19:54:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ルートを確保した。急ぎます」ディスメンバメントが促した。役員達は素直に従った。(同志)アムニジアがバスター・テツオに囁いた。(アマクダリ・セクトとはどのような?)(どのようなとは?)テツオが応じた。アムニジアはためらいがちに尋ねる(どのような取り決めをされたのですか?) 39

2012-03-18 19:59:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(利害の一致)とテツオ。(アマクダリは今後オムラを必要としていない。ゆえに付け入る隙があった)(しかし、アマクダリは)……テツオは、しばし足を止め、アムニジアを見た。(君の懸念も尤もだ、同志。だが案ずる事はない。私は同志達に純粋信念を与え、その発露の場として闘争を与える) 40

2012-03-18 20:17:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

テツオのスコープゴーグルの円いレンズは赤く、至近距離においてもその中の目を覗く事はできない。「確かにアマクダリとは即ち体制に他ならぬ。だが、革命の諸段階において、表層的な敗北主義を恐れては本質を見誤るぞ、同志。これは政治だが、君達が先回りして悩む事は無い。純粋闘争したまえ」41

2012-03-18 20:25:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「純粋闘争します」アムニジアは頷いた。「弱い心がありました。恥じます」「恥じる事などない」テツオはアムニジアの肩に手を置いた。「それは人間らしい感情だ。だが、君は生まれながらにして革命戦士。余剰の記憶を持たぬがゆえ、余剰の思想を持たぬ。迷いを乗り越えるのは容易い……行こう」42

2012-03-18 20:31:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「急がれよ」ディスメンバメントが前方から呼ばわった。集団最後尾にいたマトモ電器の役員も振り返り、二人を手招きした。「失礼した」テツオは足早に追いついた。アムニジアも追いすがる。ジジ……「不如帰」のネオン文字が光を閃かせる。 43

2012-03-18 20:43:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一同の目の前にはゲート隔壁が立ちはだかった。隔壁表面には作業着を着た蛙・兎の絵とともに、「物を運ぶ」「死ぬかも」「指差し確認」とミンチョ書きされている。「開けられます」とディスメンバメント。通路を二人のニンジャが歩いてきた。ひと仕事終えたドラゴンベインとファイアブランドだ。 44

2012-03-18 21:01:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハ。ここが輸送用エレベータか」ファイアブランドが文字を見上げる。「ヤツらは?まだか?」コロッシヴとスワッシュバックラーについての言及である。「まだだ」ディスメンバメントはIRC通信のインプラントを再度操作した……応答無し。45

2012-03-18 21:17:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(第二部「キョート殺伐都市」より:「ビガー・ケージズ、ロンガー・チェインズ」#3 終わり。 #4に続く

2012-03-18 21:21:05