「戦国の軍隊」とは?

「戦国の軍隊 軍事学から見た戦国大名の軍勢」に関するsweets_streetさんの見解。いろんな人の意見も混ざってます。
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お菓子っ子 @sweets_street

「戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢」http://t.co/pniymn2h 読んだ。さらっと感想書く(`・ω・´)

2012-03-23 21:39:02
お菓子っ子 @sweets_street

戦国時代の軍事を現代軍事学の観点から解釈する本ですが、専門用語少なめで軍事や歴史の初心者でもわかるように書いてます。ほぼ軍制の話

2012-03-23 21:41:08
SIROWENLI @sirowenli

@sweets_street タイトルだけで凄くそそられるますね。過去の戦争を現代の知識で読み解く類って大好物です。

2012-03-23 21:44:15
お菓子っ子 @sweets_street

第一章では戦国大好きっ子おなじみの武辺者渡辺勘兵衛が残した小田原の役の山中城攻防戦の従軍記録から、当時の戦闘の生の姿を描き出します。ここで作者は火力の組織的運用と、勇者のスタンドプレーが戦国の戦の特徴であると語ります

2012-03-23 21:44:19
お菓子っ子 @sweets_street

第二章では中世武士の戦争観と、鎌倉から室町にかけての武士がいかなるものであったかの説明。貪欲でプライドが高くて残虐なヒャッハーが家単位で一族郎党を形成している武装集団が中世の武士だそうです

2012-03-23 21:50:07
お菓子っ子 @sweets_street

第三章は戦国時代の兵隊は何者なのかということを、後北条の所領役帳から分析します。後北条家の◯◯衆というのは、◯◯城周辺の在地領主ではないそうです。◯◯衆の名のある武士の知行は数カ所に分散されていて、江戸時代の旗本みたいですね。前線に配備された実戦部隊であるようです

2012-03-23 21:54:34
お菓子っ子 @sweets_street

幹部である◯◯衆は在知性が低い職業軍人であるわけですが、兵隊はどうかといえば、後北条も武田も上杉も農繁期にも盛んに出兵しているので農民兵ではないみたいです。それなら何者なのかといえば、次章に続く

2012-03-23 21:58:38
お菓子っ子 @sweets_street

第四章は当時の主力歩兵である足軽がどういうものなのかというお話。武士でないあぶれ者を金で雇った傭兵部隊が起源で、古くは武田信虎と北条氏綱が使っていたそうです。金で雇われていた彼らが所領を与えられて封建武士化したのが後北条の足軽衆や武田の上意の足衆のような常備歩兵部隊になるわけです

2012-03-23 22:06:03
お菓子っ子 @sweets_street

そして、そのような常備歩兵部隊が使った武器が長柄槍。扱いが簡単で間合いが長いので、練度が低い平民上がりの足軽でも白兵戦に長けた職業武士に対抗できます。中世欧州のパイク歩兵が騎士を圧倒したのと同じ構図ですね

2012-03-23 22:10:11
お菓子っ子 @sweets_street

第五章は部隊編成と組織戦の確立。領主単位で編成されていた兵種混成部隊が、永禄年間から兵種ごとに編成される組織的な部隊に変わっていったことを記録を引いて証明しています。各領主が供出した兵力が兵種ごとに編成されて、領主出身の士官に指揮される形です

2012-03-23 22:17:58
お菓子っ子 @sweets_street

このような軍制に適した武器が鉄砲。練度が低い足軽でも容易に高い火力を発揮できるので、そこらのあぶれ者をかき集めて鉄砲を持たせたら、強力な歩兵隊が出来上がります。かくして、鉄砲は急速に普及しました。織田家も武田家も御北条家もそんなに鉄砲配備率に差はないそうです

2012-03-23 22:27:03
お菓子っ子 @sweets_street

第六章では、兵種別に編成された部隊で士官となる侍と、兵隊となる雑兵の社会的身分についての説明。侍は従来からの領主層。武芸の鍛錬を積み、高価な武具を保有しているので白兵戦では強いです。戦闘の時は兵を指揮する士官の役割と、侍のみで敵陣に突撃して切り崩す突撃部隊の役割を担います

2012-03-23 22:33:53
お菓子っ子 @sweets_street

旗本として戦えば、雑兵が逃げ散った後も死ぬまで戦う最後の盾です。指揮官として兵を率いる侍と、突撃戦力や親衛隊となる侍はそれそれ評価基準が異なり、前者は兵を指揮して部隊全体を動かすことが、後者は一人の戦士として武功を立てることが求められます

2012-03-23 22:41:38
お菓子っ子 @sweets_street

雑兵はどういう人達かというと、ぶっちゃけた話誰でもいいそうです。領主が軍役を務める時に主君から「これだけの人数を出せ」と言われて出す人間のうち、侍身分じゃない人間が雑兵。頭数が揃えばどんな人間でも良いので、失業者や逃亡者や出稼ぎの人などがお金をもらって戦争の時だけ領主に雇われます

2012-03-23 22:48:18
お菓子っ子 @sweets_street

領主とその一族郎党である侍が武士身分。常時雇用の傭兵である足軽と、戦時だけ軍役要員として雇われる雑兵が非武士身分の兵隊です。著者は侍を正社員、足軽を契約社員、雑兵をパートやアルバイトと表現しています。納得行く比喩ですね

2012-03-23 22:53:32
お菓子っ子 @sweets_street

第七章は兵站について。兵隊がどうやってごはんを食べていたかというお話。中世までは領主が自腹で商人から物資を買って兵站を賄っていたのですが、戦国時代に入ると領主の自腹だけでは苦しくなってきたので、大名が前線の補給拠点に集積された物資や、後方から送った物資を供給するようになります

2012-03-23 23:00:53
お菓子っ子 @sweets_street

そして、戦国の兵站の完成形とされる小田原の役の詳細な分析。空前の補給体制を整えたのに、兵糧が不足したことを指摘します。組織や技術の未熟、アクシデントや兵の過失で失われる物資のロスなどから、どんな補給体制を敷いても、それだけでは数万規模の大軍に十分な補給を行うことは不可能だそうです

2012-03-23 23:08:58
お菓子っ子 @sweets_street

それではどうやって、戦国大名は大軍を動かしていたかというと現地調達。掠奪ですね。領主が戦争すると時に禁制を出して兵隊に禁じたのは、ほとんど全部が掠奪に関連する行為で、味方の領内を通過する際に「これは掠奪しちゃダメだけど、これは掠奪してもOK」という禁制が出るほど当たり前でした

2012-03-23 23:14:45
お菓子っ子 @sweets_street

著者は「そもそも、現地調達なしで大軍を養えるようになったのはノルマンディー上陸以降の連合軍が始めてなんだから、秀吉にできるわけない。ナポレオンでもモルトケでもヒトラーでも、現地調達なしで大軍は動かせなかったのに」と結論付けています

2012-03-23 23:17:17
お菓子っ子 @sweets_street

最終章の第八章で、著者は信長と秀吉の強さに迫ります。おそらく、読者が一番関心をもつ箇所でしょう。既に述べたとおり、長柄と鉄砲を装備した歩兵の組織的運用も、金で雇った傭兵が主力なのも、現地調達頼みの兵站も、当時では当たり前で信長や秀吉も同条件で戦っていました

2012-03-23 23:22:12
お菓子っ子 @sweets_street

軍制も武装も兵站も優越していない、信長や秀吉が勝ち残ったのはなぜなのか。作者はまず、「士官である侍の強さ」を指摘します。通説では門閥に支配されているとされる他大名も、実際は当主が有能な人材を側近に登用したり、有能な官僚や士官を排出するシステムが存在していたことを著者は指摘します

2012-03-23 23:28:38
お菓子っ子 @sweets_street

どの家でも有能な侍を登用するシステムがあるので、織田や豊臣の侍の強さは、システムの強さではないのです。それなのに強いのはなぜかといえば、「ずっと戦ってたから弱い侍はどんどん死んで、強い侍しか生き残れなかった。死んだ侍の穴埋めに、どんどん強そうな侍を新たに取り立てる必要があった」

2012-03-23 23:33:50
まとめ管理人 @1059kanri

@sweets_street 特に天正以降は、明らかに『勝ち馬に乗る』現象が起こってましたね。だからかさにかかって強くなる。

2012-03-23 23:35:26
根無草 @nenashi

しゅ、修羅の国…@sweets_street それなのに強いのはなぜかといえば、「ずっと戦ってたから弱い侍はどんどん死んで、強い侍しか生き残れなかった。死んだ侍の穴埋めに、どんどん強そうな侍を新たに取り立てる必要があった」

2012-03-23 23:38:02