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NHKスペシャル「シリーズ東日本大震災 原発の安全とは何か~模索する世界と日本~」 書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

5月19日に放送されたものを文字起こししています。 進行:鎌田靖(NHK解説委員) ゲスト:大崎要一郎(NHK科学文化部)
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とし @toshihiro36

大崎:スイスはこれまでも安全対策のレベルが高かったため、福島第一原発の事故のあとも原発を止めてまで緊急の安全対策をする必要はないとしてきました。しかし同時に事故の教訓から、想定を超える事故をどこまでも想定するのだということに乗り出しているんです。

2012-05-20 09:20:58
とし @toshihiro36

大崎:1万年に1度とされるような、川の水がなくなるといった事態まで本当に考える必要があるのかと思われた方もいると思います。しかし、そうした事態が絶対に起きないのかと言われれば、これは誰も絶対とは科学的に言えませんよね。

2012-05-20 09:25:30
とし @toshihiro36

大崎:福島第一原発の事故から、そうした万が一のことが起こりえるのだという教訓を得て、いち早く対応したのがスイスだったんです。また、その万が一の対策として用いられたのがストレステストです。

2012-05-20 09:30:10
とし @toshihiro36

大崎:スイスがそういう方法を使って迅速に対応できたのは、原発の安全を司る規制機関に高い独立性と強い権限が与えられていたからなんです。

2012-05-20 09:34:16
とし @toshihiro36

鎌田:スイス、その前にアメリカと見てきたわけなんですけれども。原発の安全性という点から、二つの国からどういうことが読み取れるんでしょうか?

2012-05-20 09:37:33
とし @toshihiro36

大崎:広い国土で都市部から離れた原発が多いアメリカは、情報公開で社会でリスクを共有することによって原発を推し進めようとしていました。一方で国土が限られていて都市部に近い原発も多いスイスは、原発のリスクをどこまでも小さくしないといけないとして、安全対策をしながら脱原発を選びました。

2012-05-20 09:43:21
とし @toshihiro36

大崎:両者はまったく異なるようにも見えますけれども、私には「絶対の安全はない」ということを認めた上で原発と向き合おうという姿勢が感じられました。

2012-05-20 09:45:49
とし @toshihiro36

鎌田:さて、それを踏まえた上で、日本の場合を見ていこうと思います。日本では運転再開をめぐる安全評価というものが注目されているわけですけれども。スイスで見てきましたストレステスト、これ日本も導入しているんですよね?

2012-05-20 09:48:49
とし @toshihiro36

大崎:はい。しかし、日本とスイスで見たヨーロッパのストレステストには違いもあるんです。ヨーロッパは運転を続けながら、このストレステストを行っています。これに対して日本は停止中の原発の運転再開の条件になっているんです。

2012-05-20 09:54:16
とし @toshihiro36

大崎:もう一つの違いは、ヨーロッパのストレステストがどこまでもストレスをかけていって、あらゆる事態をみていくというのが目的だったんですが、日本ではまずメルトダウンをするまでの防止するまでの対策を調べています。これを一次評価といいます。

2012-05-20 09:58:20
とし @toshihiro36

大崎:メルトダウンしたあとの対策も含めて調べるのは二次評価として、2段階に分けられたんです。そしてまさにいま議論されている運転再開の条件に取り入れられたのは、この一次評価の部分だけでした。政府はこの一次評価の結果に基づいて、大飯原発は運転再開しても問題ないと判断したんです。

2012-05-20 10:03:45
とし @toshihiro36

大崎:このストレステストの導入をめぐって、どのような議論があったのか取材しました。

2012-05-20 10:09:41

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> なぜ日本のストレステストは一次評価と二次評価に分けられたのか。私たちはその決定に携わった、原子力安全保安院の関係者に取材し多くの証言を得ました。そこからは保安院が原発の安全とどう向き合ったのかが見えてきました。

2012-05-20 10:13:51
とし @toshihiro36

<ナレーション> 原発事故から3カ月後の去年6月、保安院ではヨーロッパのストレステストを国内でも実施できないか、模索が始まっていました。しかし課題が浮かび上がってきました。これは当時、保安院内部で検討に使われた文書で、ヨーロッパの方法を解説しています。

2012-05-20 10:18:41
とし @toshihiro36

<ナレーション> 国が報告書をまとめるだけでも半年かかると記されていました。

2012-05-20 10:21:24
とし @toshihiro36

保安院幹部に証言:「日本でもヨーロッパと同じことをやると、運転再開まで1年はかかる」 「再稼働までにそこまで時間をかけるのは、許されないという雰囲気があった」

2012-05-20 10:24:32
とし @toshihiro36

<ナレーション> 保安院は経済産業省の一部局です。国のエネルギー政策を担う経済産業省は原発が全国で次々に停止するなか、電力不足を強く懸念していました。

2012-05-20 10:28:47
とし @toshihiro36

海江田経産相(当時):安全基準に適合した原子力発電所を再起動して、電力の供給に対して万全を期していきたいと。

2012-05-20 10:31:17
とし @toshihiro36

保安院幹部の証言:「原発を早く動かせるようにしろというプレッシャーがあった」 「保安院も経産省の意向に従わざるを得なかった」

2012-05-20 10:35:08
とし @toshihiro36

<ナレーション> 結果的に保安院が考え出したのが、一次評価という日本独自の方法で運転再開を判断することでした。一次評価ではヨーロッパのストレステストのうち、メルトダウンを防ぐ対策までを確認します。保安院は運転再開に必要な評価がより短期間で終わると考えました。

2012-05-20 10:39:16
とし @toshihiro36

<ナレーション> メルトダウンが起きたあとの対策を確認する二次評価は、分けて実施することにしたのです。二次評価はいまも実施されていません。専門家からは批判の声が上がっています。

2012-05-20 10:41:56
とし @toshihiro36

安全委員会・班目委員長:総合的安全評価(ストレステスト)というのは、あくまで一次評価・二次評価をあわせてやるものであり、ぜひ二次評価まであわせてやっていただきたい。

2012-05-20 10:44:37
とし @toshihiro36

<ナレーション> 保安院の深野弘行委員長は、一次評価だけでも安全性を示せるとしています。

2012-05-20 10:49:02
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