Ib小話まとめ

@aetyelrab

(メアギャリ)浮き上がる意識。瞼を開いたら直ぐに見える、金色の髪先。「おはよ」おはよう、と答えようとして、叶わない。風邪ってやだわ。「お水もってきてあげる」メアリーの声。表情。その全部が優しい。何処にも行ってほしくなくて、何時の間にやら握ってたらしい服の袖をぐいぐいと強く引いた。

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(メアギャリ)目を覚まし、起き上がる。時計は十時のちょっと過ぎを差していた。眠い。すぐ隣には静かに眠るギャリー。額に触れてみると、熱い。そう、具合、悪いんだよね。昨日寝かすのに苦労した。お水、持って来よう。…身動ぎと同時の違和感。見れば、彼の手が、わたしの服の袖を掴んでる。

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(メアギャリ)やがて、繋いでいた手のひらから、ゆっくりと力が抜けていく。薄暗い中、顔を覗き込んでみれば、きつく閉じられて開かない瞼。「…やっと寝た」呟きながら息をついた。半ば気を失うようにして眠ったから、少しだけ焦った。「ホント、人騒がせ」だけど、それでいい。ギャリー、おやすみ。

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(メアギャリ)そりゃあ、いつもは適当なこと言って困らせてばかりだし、それを特別悪いとも思ってないけれど、こんな時、代わってあげたいなあと考えるくらいには、わたし、ギャリーのこと好きよ。「大丈夫。寝たら楽になるよ」大丈夫。一緒にいる。繋いだ片手を強く握られ、応える様に握り返した。

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(メアギャリ)体中がだるくて、どうしようもなくしんどい。喋ることすらつらくて、でも眠れなくて、黙り込んだまま横になっていた。「………」メアリーは、そんなアタシの隣に座り、片側の手の平で頭を撫でてくれる。この子はいつもそう。普段は毒舌で自由気ままなのに、こういう時はとても優しいの。

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(メアギャリ)そいつは結構体が弱い。しょっちゅう風邪だ何だで体調を崩しては寝込んだりしてる。「…メアリー、」具合が悪くて、だからか気まで弱くするの。早く寝ないといけないのに、なかなか寝付かない。わたしは、頭を撫でて、なだめてあげて。ずっと一緒にいてあげるからって、眠へと手を引く。

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(ギャリイヴ)胸の奥から生じる咳が、イヴに呑みこまれる。混乱しながらも、どうにか離れて、ななな、なに、なんて、情けなくどもりながら尋ねた。「だって…咳、辛そうだから」しゅんと眉を下げたイヴに鼓動が高まらない、わけがない。「だ、大丈夫よ…ありがとうね」…頬の熱は、上がってくけれど。

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(イヴギャリ)こほ、と、彼の唇から咳が落ちていく。辛いかと尋ねれば、そんなことないわって首を横に振られるけれど、でもやっぱり彼はつらそうで。咳き止めのお薬は切れてるみたい。薬屋さんはもう閉まってる。どうにか、してあげたくて。「けほ…、うー……っ！？」咳した彼の唇を自分ので塞いだ。

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(ギャリー)ああ、まったくもう、暑いわ。休憩時間が休憩にならない。まだまだ日は長いし、もう……。「ギャリー、お弁当届けにきたよ！」ああ、でも、…まったく。狙ったかのような愛しい火との出現に笑みがこぼれる。「ありがとう。頑張るわ」よし、食べて頑張りましょ。

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(三人)だるい、眠い、寝ていたい。お仕事なのに、なかなか起きられない。ああ、もうやだわ。全部やだ。「おっはよー朝だよー」「おはよ、ギャリー」部屋に響く二人の女性の声。うつ伏せのアタシの上に、どっさりと圧し掛かってくる。「おきろー」「おきてー」耳元で笑う声。「お、おきる、わ……」

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(ギャリイヴ)うー、と唸って、起きようとしない。私が声をかけてみても、やっぱり、うー、って。お仕事、遅れちゃうよ。「うー…」ぐったりと沈み込んだままの体。その人の、小さな我侭「ギャリー」顔を上げさせて、額に口付けた。「お仕事、応援してるわ」頬を赤くして起きる人。きれいに笑んでる。

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(ギャリメア)うとうとうと。今にも寝てしまいそうなのに寝ない、よく分からない子。「メアリー…眠いなら寝ればいいじゃない」話しかけてみれば、やだ、と即答。どうしてこんな意地を張っているの。「わたし寝ない。ギャリーも寝ないで」でも、ふにゃっとした声で言われたら、無理なんて言えないわ。

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(メア偽ャリ)子供ってのはズルいもんだわ。だって、ずうっと向こうが鬼で、アタシが逃げる側なのよ。時間なんて概念が無い中、逃げ切るなんて不可能じゃない。くだらない遊びだわ。「ほらほらぁ、ちゃんと逃げないと！またわたしに捕まっちゃうよー？」ああ、調子乗って笑ってられるのも今のうちよ。

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(メア偽ャリ)美術館の中で二人だけの遊び。今回はね、お外の世界でも大人気、鬼ごっこ。わたしが鬼。偽物のギャリーが逃げる。長いこと逃げ続けられたら彼の勝ち。その間に捕まえたらわたしの勝ち。勝った人はね、負けた人を好きにできるの。どんなに痛めつけても苦しめても、文句を言わないお約束。

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(ギャリイヴ)肩を叩かれてそちらを向く。途端、頬にふに、と。よく見れば、それはイヴの指先。「ひっかかった」笑うイヴはとっても可愛いけれど。…なんだか悔しい。だから、それから少し経った今。アタシはイヴの肩を叩く。こちらを向いた彼女に、ちゅ、と触れるだけのキスをして。「ひっかかった」

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(イヴギャリ)お勉強を教えてもらう。ギャリーのゆっくりとした説明は分かりやすくて捗るの。「…難しい。ギャリー、これがきちんと出来たらご褒美頂戴」でも私は解んないって、ふりをする。「ええ、わかったわ。何でもあげる」何でも、なんて、言って大丈夫？ 解けるのは確実なのに。

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(メア偽ャリ)イヴは、賢い子よ。アタシが偽物だと理解して、一人で帰ってしまった。「…使えない奴」振り向くと、メアリーが居た。機嫌が良いのか不機嫌なのかよくわからない顔してる。「アンタだけには言われたくないわよ」言いながら思わず笑ったわ。此処にはもう、アタシとアンタしか居ないのね。

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(イヴ&ギャリ)ハニーミルクラテ。甘そうな響き。少し飲んでみたくて、お願いしてみると、それを頼んだギャリーはすぐに頷いてくれた。ちょっと苦いわよって言葉と一緒に。「…にがい」結構、苦い。甘いけど、苦い。笑ったギャリーが、スプーンで自分のケーキをわけてくれる。甘い。とてもおいしい。

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(三人)昼下がり。とあるレストランのとある席に二人の少女と一人の男性が座っている。「ギャリーそれ頂戴、ううんよこせ」「ギャリー…私にも」「アタシの分が段々となくなってくわ！」遠慮ない二人と文句を言いながら笑って食事を分け与える一人。穏やかな昼下がり。

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(メアギャリ)彼は頻繁に悪い夢を見る。魘されていたり、叫んで起きたり。今回は後者だった。青ざめた顔して、一生懸命に呼吸をしているの。「…おはよ」わたしは、夢について触れない。何時も通りのことを言うだけ。「めあり、」縋るように抱きついてくるその人を、両方の腕で包み込んであげるだけ。

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(イヴギャリ)突然の声にびっくりして起きた。お隣へ目をやると、上半身を起き上がらせたギャリーが、片方の手のひらをおでこに押し当てている。「…ぎゃりー？」眠さを引きずりながら呼ぶと、彼は私を見た。…泣きそうな顔してる。「…だいじょうぶ」体を寄せて抱きしめた。大丈夫って、繰り返した。

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(ギャリイヴ)掛け布団を頭まで確り被り、一瞬にして寝息を立て始めたイヴの隣で、アタシはただぽかんとした。…額には、イヴの体温と、とってもやわらかな感触が、残っている。「ッ……」少しずつ、頬が熱くなっていく。今のアタシはきっと情けないくらいに赤いんだろう。……目、覚めちゃったわ…。

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(ギャリイヴ)ギャリーのお家にお泊り。二人でご飯をたべて、沢山お喋りして、歯磨きしたりして、いっしょに寝る。「おやすみなさい」ベッドの上、お隣に座るギャリーが微笑む。「ん…、おやすみ」うとうとしながら答えた私は、ギャリーのおでこにお休みなさいのキスをして、お布団をかぶった。

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(偽ャリイヴ)手をつなぐ。二人して歩く。出口なんてもう何処にも無いのに、無い其れを求めて、唯々ぐるぐると。…アタシは其れで幸せだわ。だって、可愛いこの子とずっと一緒にいれるじゃない。アタシが偽物だって事、きっと解ってるでしょうに、騙されたふりしてついてくる可愛い子。いとおしい子。

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(ギャリメア)たまに何だかすごいこと言う時もあるけど、メアリーはやっぱり女の子だわ。ケーキに夢中になりすぎて、口端にクリームが引っ付いてることに気づいてない。「…ありがと」取ってあげたら珍しい事を言ったから、どういたしまして、とこちらも素直に返す。顔を赤らめた、かわいい女の子。