オペレイション・レスキュー #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「頼んだぞ」フォレストはもう一度言った。セントールは頷いて見せた。フォレストは己のニンジャ野伏力を頼りに、しめやかに夕闇の森の中へ突き進んで行った。 21

2012-06-18 17:58:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そこへ行くとよ……俺やお前は、言わば都会的ニンジャのはずだろ?少なくとも俺は私立探偵だったわけだ。アーバンなクリーチャーだった」ガンドーが垂れ下がった蔓草を嫌そうにどかし、言葉を継いだ。「だがよ。振り返ってみれば、地表に出るたび殆どいつも、こんな事をやるハメになっている」 23

2012-06-18 19:19:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「四方の自然とコネクトするのがフーリンカザンの真髄だ。キョートの四聖獣の教えもそういう事だろう」ニンジャスレイヤーは藪を掻き分けながら言った。「文句はやめたらどうだ。それで快適が得られるわけでもあるまい」「満点回答だな」ガンドーはむっつりと言った。「センセイの教えか、それも」24

2012-06-18 19:23:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「重点!重点!」「おっ」ガンドーは懐からモーターチイサイを取り出す。ホログラフィ装置が働き、空中に森林の俯瞰画像が映し出される。「方位修正重点!」「アイ、アイ、アイ」ガンドーは唸った「これで何時間歩いてるかね?」「30分も経っておるまい」「多分そうだろうとは思ったんだ」 25

2012-06-18 19:26:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

既に日は落ち、二者はニンジャ知覚力、ニンジャ野伏力、ニンジャ聴覚、ニンジャ嗅覚、そしてニンジャ第六感を駆使して、陰鬱な森を進んでゆくのだった。彼らは気づいていた。鳥の声が無く、バイオリスやバイオキツネ、シカといった獣の姿も一度として見ない。どこかおかしなアトモスフィアなのだ。26

2012-06-18 19:29:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは赤黒の装束と「忍」「殺」のメンポ。タカギ・ガンドー即ちディテクティヴはカラスめいたロングコートに覆面マフラーという出で立ちだ。木々のあわいを進む二者の装いは驚くほど夜の闇と森の風景に溶け込み、訓練を受けていない者であれば発見するのも難しいだろう。 27

2012-06-18 19:36:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

なにしろ彼らはどちらも容赦無きニンジャであるからだ……しかし、こうも静まり返った森に包まれてみれば、やがて、この森全体が一個の巨大な生き物めいて、二者を監視しているような……そんなバカげた錯覚すらも持ち上がってこようというものだ。「単調極まる光景だな」とガンドー。 28

2012-06-18 19:43:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウロウロ歩き続けてよォ、モーターチイサイが本当に正しく仕事できてるか、実際確かめようも無い……」ガンドーはぼやいた。「仕事していますよ」モーターチイサイが喋った。ナンシーの音声通信だ。「ビビらせるなよ」とガンドー。ナンシーは笑い「ご苦労様。電磁パルス反応の源が特定できたわ」29

2012-06-18 19:46:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ここからどのくらいだ?」ガンドーは言った。「端末に座標を送ったわ。あなたたちの足なら一時間くらいで……」ガンドーはモーターチイサイを懐にしまい、二丁マグナムを構えた。ニンジャスレイヤーも同様にカラテ警戒していた。ザワザワ、ザワザワという葉ずれの音が、彼らの四方を取り巻く! 30

2012-06-18 19:52:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

直後、 危機の予感は現実のものとなった!「MYYYYYYYAAAAAAHHHHH!」「MYYYYYYYYYYAAAAAAHHHHH!」気味の悪い叫び声が森に木霊する!二者は周囲を警戒!やがて、おお、見よ!木陰からじわりと進み出てきた複数の人影を! 31

2012-06-18 19:59:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「MYAAAHHH!」人?否?それは人なのか?否……?蔓草めいた植物の塊?否……確かに頭と四肢を備えた人間……少なくとも人間の形をしている。ギョロリと瞼の無い目が二者を捉え、口らしきものがダラリと開いている!「MYAAAAHHHH!」なんたる恐怖モンスター! 32

2012-06-18 20:02:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの投げた二枚のスリケンが植物人の頭部と胴体を破壊!「MYAAAH!」植物人は激しく痙攣しながら倒れ伏す。死んだらしい!「ウオオーッ!」ガンドーは背後から迫ってきた植物人に発砲!BLAMBLAM!頭と肩が爆ぜ、やはり死んで倒れる!「これは!」 33

2012-06-18 20:08:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「MYAAAH!」既に二者は大量の植物人に周囲を囲まれている。これはいかなる事か?彼らのニンジャ知覚力を欺いて、これほどに多くの敵が包囲網を敷いたのか?否!おお、見よ、あの木々の奥の闇を!今まさに地面を蔦が這い絡み、地中から腐乱死体を引きずり出して、その全身を覆い尽くす様を!34

2012-06-18 20:12:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らは今まさに、次々に産声を上げているのだ!地中の腐乱死体に寄生し動かす、冒涜的生命体としての産声を!「MYAAAAHH!」「カートゥーン!カートゥーン!」ガンドーは絶叫した。手近の植物人に発砲し殺す!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーもスリケン投擲!殺害!押し寄せる新手! 35

2012-06-18 20:16:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おかしいぞ!おかしい!俺にはわかる。俺は詳しいんだ!」ガンドーは弾丸をリロードしながら叫ぶ。影から作るカラス弾丸の装填を夜の闇で行えるか?これが不可能なのだ。厳密なニンジャ物理秩序とでも言うべきものがあるらしい!「これがボタニックとやらか?」ニンジャスレイヤーが呻いた。 36

2012-06-18 20:29:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「MYAAAH!」「イヤーッ!」包囲網から飛び出した一体をニンジャスレイヤーの回し蹴りが破壊!「MYAAAH!」「イヤーッ!」包囲網から飛び出したさらなる一体をニンジャスレイヤーのシカめいたキックが破壊! 37

2012-06-18 20:33:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「MYAAAH!」「イヤーッ!」包囲網から飛び出した一体をニンジャスレイヤーの飛び蹴りが破壊!「MYAAAH!」「イヤーッ!」包囲網から飛び出したさらなる一体をニンジャスレイヤーの投げた二枚のスリケンが殺害! 38

2012-06-18 20:35:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「MYAAAH!」「イヤーッ!」包囲網から飛び出した一体をニンジャスレイヤーの後ろ回し蹴りが破壊!「MYAAAH!」「イヤーッ!」包囲網から飛び出したさらなる一体をニンジャスレイヤーのバック転からの蹴りが破壊!「ガンドー=サン!」「わかる!わかる!」「走れ!」「……おうよ!」39

2012-06-18 20:37:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二者は脱兎のごとく駆け出した。走りながらのスリケン投擲とマグナム射撃が進行方向の植物人を次々に倒してゆく。個々の戦闘能力はクローンヤクザと大差無し!ガンドーもさる者、イクサの中で恐慌状態から平常心を取り戻す!「MYAAH!」「MYAAH!」背後に恐ろしい叫びを置き去りにす! 40

2012-06-18 20:47:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アー、アー、ナンシー=サン」ニンジャスレイヤーと共にニンジャ速度で駆けながら、ガンドーが携帯端末に向かって話す。「大騒ぎの様子は伝わったか?今のはな、本当の俺じゃない。それだけわかってくれればいい。植物めいたゾンビーに襲われた。蔦が絡まって、死体を動かしてだな」「ええ」 41

2012-06-18 20:57:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「光合成実験、副産物、ニンジャ、そのあたりひっくるめるとだな、今のオバケ植物がボタニックと見ていいのじゃないかと思うが……」「そうね。具体的なデータが残っていないけど……そんなものがただの自然現象やバイオ植物の類のわけがない……投げ出すように施設を放置したのも頷けるし」 42

2012-06-18 21:06:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「特性に関するデータ、一切無しか?」「ニンジャとしての……人間の姿は持っているはず。デジタル三面図のデータはあるから。ただ、それがどんなものなのか……」「ああ、次のラウンドだ」ガンドーは通信を中断した。前方にわだかまる植物人!「MYAAAAAHH!」 43

2012-06-18 21:29:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「施設に辿り着くまで、何回これを切り抜けるのかよ?」ガンドーはマグナムを構えた。「森全体に死体が埋まってるなんて事は、ねェよな。荒唐無稽だぜ」「廃棄処分されたクローンヤクザかも知れん。数はたしかに多いようだ」ニンジャスレイヤーは言った。「だが、あえて考える必要は無い。弱敵だ」44

2012-06-18 21:36:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……そうだな」ガンドーは同意した。井戸の淵を覗けば落ちる。理解できぬ宇宙的恐怖に対しては、あえて割り切る事で、イクサに求められる正気を保つのだ。ニンジャが用いる精神汚染プロテクション手段である。「伏せろ、ガンドー=サン」ニンジャスレイヤーが低く言った。 45

2012-06-18 21:47:26