普段からずんだを作っているくらいですから、別に、ずん子は料理が下手なわけではありません。 むしろ得意な方です。家事も一通り無難にこなしますし、お嫁さん力は高い方です。 そのはずなのですが――。
2012-06-20 19:44:26(――ずんだのこととなると、盲目になってしまいますからね……。ずんださえ乗っていれば、自動的に「おいしい」と感じる味覚を持ってますから)
2012-06-20 19:44:41あ、それお餅じゃないんですよ、イタコ姉さま。ずんだ餅は創作料理にしなくても十分おいしいですから、別の素材を試してみました。
2012-06-20 19:45:36イタコ姉さまが箸先で赤い塊をツンツンと突いていると、それに気付いたずん子が注釈を加えます。 無難にお餅にしておけばいいのに、それをしないのは見えてる地雷への第一歩です。 「思ったよりまともかも」と錯覚して安心しかけた食卓に、再び緊張感が戻ってきました。
2012-06-20 19:45:51だから、ホタルイカのずんだ和え。きりたんがこの間「ホタルを見てみたい」って言ってくれたおかげでインスパイアされたの! ぷりっぷりのホタルイカとずんだを一口でぱくっと!ヽ(≧▽≦)ノ ささ、食べてみて食べてみて!
2012-06-20 19:46:46自信満々のずん子の表情を見ると、イタコ姉さまもきりたんも何も言えなくなってしまいます。 二人は「へー」とか「そうですかー」とか、適当な相槌を打って、なんとか「それ」を口に入れるタイミングを遅らせる以外に、逃げ道はありません。
2012-06-20 19:46:59(――いえ、やはりここは年の功。それに、イタコねえさまって略してタコじゃないですか。お仲間でしょう? 供養してあげてくださいな)
2012-06-20 19:47:39ちゅっ!?∑(゚д゚*) ち、違うんですのよずんちゃん! これがジオラマだって言うから、すぐに食べてしまうのがもったいなくて!
2012-06-20 19:48:14青森&秋田の世界遺産「白神山地」の名前を出しかけたずん子でしたが、何かに気がついたように、動きを止めます。 イタコ姉さまときりたんが不思議そうに目を合わせますが、ずん子は二人のようすなど気にせず、眉間に皺を寄せて、何かを考えていました。すると――。
2012-06-20 19:49:11ずん子の金色の瞳の焦点が、ふわりと、宙に浮きます。室内だから風が吹いていないはずなのに、彼女の艶やかな長髪が、ざわざわと、不気味にざわめきます。 きりたんとイタコ姉さまには見覚えがありました。ずん子のこの姿、それは――。
2012-06-20 19:49:33フハハ! 「ちょっと強引にずんだ餅を普及させても委員会」会長(現会員一名)としては、甘んじて「餅」という言葉を受け入れているだけではいけないと、以前から思っていたのです……(*`エ´*)(キリッ
2012-06-20 19:50:54