電子書籍の「印税」について

出版って大変だな~…… ※私はazukiglgさんのツイートをまとめただけなので、まとめ内容に関する質問などをされてもお答えできません。ご了承下さい。
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加藤AZUKI @azukiglg

著者が1冊の本を書いて初版で得られる収入(印税とする)を100万円だとする。昔はそこらへんが大体の目処でした。業界の慣習で、著者印税は頒価の1割前後。ここでは1割とする。つまり、著者印税1割で初版分で著者に100万円渡せるくらいが、概ねの基準でした。慣習的な。

2012-07-10 08:20:57
加藤AZUKI @azukiglg

まあ、これは、バブル期や今の出版不況期、ベテランと新人、イラスト多めのラノベ・児童書と文字きつきつの小説などでは微調整される話なので、概ねの目安だと思って下さい。

2012-07-10 08:21:51
加藤AZUKI @azukiglg

224頁の上製本が1500円だとする。一割で著者の取り分は150円。100万円分の著者印税を確保するには、6666部必要。以前はそのくらい刷ってたと思うけど、最近の上製本は確か3000部くらいからスタートするものも珍しくないです。

2012-07-10 08:23:19
加藤AZUKI @azukiglg

ソフトカバー、ノベルズは1000円くらいのをよく見かけます。電車男とか嫌韓流とかだいたいそのへん。これで、1割で100万を確保するには、1万部必要になります。上製本より7割くらいの安さになるけど、1.5倍程度の読者数が必要になります。安くなれば買う人がそれだけ必要になります。

2012-07-10 08:24:59
加藤AZUKI @azukiglg

文庫本は昔はページ数少なめで単価も200円前後のものがあったけど(ミニ文庫じゃなくて、もっと大昔の話)、最近は224頁くらいで600円前後。人気BL作家だと300頁くらいで500円台なんてのもありますが、これは「規模の経済」という奴。今は初版部数が全般に減ってるのでそんな安くない

2012-07-10 08:26:33
加藤AZUKI @azukiglg

文庫本600円として、著者取り分は60円。初版で100万円確保するには、16666部必要、ということになります。1000円のソフトカバーより、さらに1.5~6倍。人数で+6666人。上製本と比較して+1万人の読者が余計に必要、ということになります。

2012-07-10 08:28:10
加藤AZUKI @azukiglg

もし、電子書籍を文庫本の半額300円で出すとしたら。仮にこれが従来の慣習通り印税1割だったら、33333DL必要になります。文庫の倍の「読者」が必要、ということです。ただ、電子書籍の印税は紙の書籍より高めに設定されていることが多いです。

2012-07-10 08:29:26
加藤AZUKI @azukiglg

AmazonDTPは確か「著者印税70%」を掲げてた気がする。最終的にどうなるかはともかくこれで計算すると300円で出したとして、著者取り分は210円。つまり、4761DLあればよい、と。

2012-07-10 08:31:54
加藤AZUKI @azukiglg

つまり上製本1500円の1/5の値段で売っても、上製本6666人の70%くらいの売れ行きで同じ売り上げが確保できることに。

2012-07-10 08:31:58
加藤AZUKI @azukiglg

とかいうと、「いいじゃんいいじゃん、電子書籍ウハウハじゃん!」という気がしてくるんだけど、こっからが色々難しい(^^;) まず、AmazonDTPの70%って設定は、「ただしAmazonで販売する価格は、他の類似同業各社の全ての頒価より最低の価格設定でなければいけない」。

2012-07-10 08:33:09
加藤AZUKI @azukiglg

また、僕としてはこっちのほうが気がかりなんですが、現時点では電子書籍のDL販売数っていうのは、紙の本の販売数よりも、2桁以上売れない。例えば、1万部紙で売れてる本は、電子書籍だと100部くらいしか売れない。若干極論気味ではありますが、感覚としてはこのくらい。

2012-07-10 08:34:14
加藤AZUKI @azukiglg

これにはいろいろ原因が考えられて、ひとつは「刊行済み電子書籍の認知度の低さ」。僕は共著も含めて既刊50冊以上は本を出してると思うんですけど、そのうちの1/3以上が電子書籍になっているにも関わらず、僕の長年の読者の方々も「電子書籍になってることそのもの」を知らないと思います。

2012-07-10 08:35:22
加藤AZUKI @azukiglg

次に考えられるのは、「電子書籍を読める端末を持っているユーザーの少なさ」が大きいです。紙の本を既に持っているから電子書籍版は要らないって人も一定数以上いると思いますけども、上製本→文庫→電子書籍がそれぞれ「可処分所得の異なる別の読者層で構成されている」とするなら、

2012-07-10 08:37:15
加藤AZUKI @azukiglg

電子書籍のみを購入する層の中にも一定の人数がいるだろう、とは思われます。実際、全く売れてないわけでもないので。ただ、それでも現時点ではその「電子書籍でなら買う」という人数規模が文庫本よりも遙かにちっちゃいわけですよ。桁が2個違うくらいには。

2012-07-10 08:38:10
加藤AZUKI @azukiglg

電子書籍が文庫本の1/2の価格で普及するためには、文庫の2倍の【読者の人数】が必要であるというのは、さっき雑な試算をした通り。もしくは、著者印税を引き上げる必要があります。が、これは「著者の稼ぎを確保するとしたら?」に限った話。

2012-07-10 08:39:16
加藤AZUKI @azukiglg

従前より繰り返しているように、本というのは著者の草稿だけがあれば成立するわけではなくて、編集者や校正、デザイン、書影イラスト、挿絵、写真、営業、宣伝と色々な専門家の手を経て「製品」になるわけで。一部の携帯小説などではそれを省略することでコストダウンしてます。

2012-07-10 08:40:28
加藤AZUKI @azukiglg

が、誤字が増える、微妙に読みにくい、その他の瑕疵と引き替えになります。そこまで瑕疵があるものだったら、お金を出す気にならないという人も増え、これまた売り上げが抑制されてしまうので、あんまり質は下げられない。

2012-07-10 08:41:17
加藤AZUKI @azukiglg

著者が7割も取ってしまうと、そうした「草稿を製品にする、それを販売するための労力」に掛かるコストが捻出できなくなります。もちろん、著者自身が超人wで、校正もデザインもイラストも宣伝も販売も金管理も全部できるんであれば、著者が全部取ってイイと思うけどそういう人は希有(^^;)

2012-07-10 08:42:28
加藤AZUKI @azukiglg

そういう「周辺コスト」を贖ってるのが出版社なんだけど、出版社の取り分というのを計上していくと、紙に刷らない電子書籍の場合も、「著者の印税だけを基準に価格設定・割合設定」をするのは難しい、ということになっていく。

2012-07-10 08:43:29
加藤AZUKI @azukiglg

著者の取り分1割で見ると、出版社の取り分は確か3割前後、印刷費が1割前後、半分が取次で、取次の取り分から小売店の売り上げ、出版社の取り分から編集経費が出る感じ。正確な内訳は各社、または本で違ったりするので省略。

2012-07-10 08:44:55
加藤AZUKI @azukiglg

電子書籍では印刷や搬送といった取次の作業がなくなるけど、編集や宣伝が不要になるわけじゃない。また、取次と小売店を兼ねたストアサイトの取り分が結構でかいので、実は全体の価格設定としては、そんなに安くもできない気がする。

2012-07-10 08:46:01
加藤AZUKI @azukiglg

日本には出版エージェントはほとんどいないし、ペーパーバックと文庫は色々違いますしねえ。あと、読者の人数(市場規模)も結構違う RT @reisacker:あのamazonの設定は、作家には出版エージェントがいて、レイアウトは流しこみでいいペーパバックを前提としている気がしますね。

2012-07-10 08:46:54
加藤AZUKI @azukiglg

電子書籍を出して行くに当たって出版各社も印税率とか色々悩んでると思うけど、それらを総合して考えても現状で電子書籍が文庫より安い値段で十分な「収益性のある商品として成立する」ためには、結局「読者の母数を増やす」しかない。

2012-07-10 08:47:54
加藤AZUKI @azukiglg

が、「多少高くても購入意欲のある人を6千人集める」のと、「安かったら買ってもいい人を3万人集める」のとだと、実は、6千人集める方が容易だったりする、という。安かったら、という人は同じ価格で別の娯楽や選択肢があったら、そっちに行っちゃう可能性が高いので(^^;)

2012-07-10 08:49:15
加藤AZUKI @azukiglg

「高くても買う!」という、例えば上製本を必ず新刊で買うような上得意は、1500円が1800円でも買ってくれるけど、600円が300円になったら買ってもいいかな、という人は、実際に300円になると「100円なら買ってもいいかなあ」と言い、100円にすると「タダなら読んでもいいよ」と

2012-07-10 08:50:20