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思想2012年8月号(1060号、岩波書店)

時には雑誌のひとつの号についてまとめてみるのもどうかと思いまして。フロイト(十川氏)、ラカン(松本氏)、デリダ(宮崎氏)、ドゥルーズ(國分氏)の論考等が掲載。「思想8月号」というワードのあるツイートを拾うようにしています。
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yusuke miyazaki @parages

建国の起源における暴力の問題は民主主義の自己免疫的な事態のひとつと言えますが、これはむしろ近代国家に普遍的にみられる現象でしょう。先住民族の虐殺と言わぬまでも広い意味での抑圧は、日本でもアイヌをはじめ、とくに戦争時には近隣諸国の多数の先住民族に対してもありました。

2012-09-14 11:53:47
yusuke miyazaki @parages

これは友人の早尾貴紀君の著書『ユダヤとイスラエルのあいだ』(青土社)から教わったことですが、とりわけ明治国家以降の戸籍制度がもたらした「日本国民」の恣意的な選別が、当時はもちろんいまでも少数者差別の温床になっていますね。

2012-09-14 11:54:36
yusuke miyazaki @parages

.@takuomitaguchi 歓待が他者の無条件な受容と肯定だとするならば、民主主義の自己免疫過程は普遍的な人権や平等といった観点からつねに他=多なるデモスの政治参加を促すという点で、明らかに歓待は民主主義的理念の産物といえます。

2012-09-14 11:56:36
yusuke miyazaki @parages

民主主義の自己免疫的過程は、非民主的な外部を内在化させることで維持される過程ですが、日本の戦後民主主義にとってのアメリカはまさにそうした外部ですね。沖縄はその矛盾が噴出する場だというのはその通りで、その矛盾をごまかしながらやってきたのが日本の戦後民主主義だったわけです。

2012-09-14 11:58:49
yusuke miyazaki @parages

ただ、自己免疫的という意味ではまだ不徹底であって、むしろアメリカによって与えられた民主的憲法の理念を推し進め、アメリカ自身に突き返すことによってこそ、当のアメリカの軍事的依存からの脱却をはかれるはずだし、沖縄に犠牲をこれ以上強いる政策もとれないはず。

2012-09-14 11:59:50
yusuke miyazaki @parages

要するに、日本も民主主義国であるかぎり自己免疫的ですが、その矛盾を曖昧にしつつ積極面をチャンスに変えられないで、ぐずぐずのまま続いてきた感じでしょうかね。ただ「3.11」以後、いよいよその矛盾も抑えがたく顕在化している印象はあります。@takuomitaguchi

2012-09-14 12:01:24
田口卓臣 @takuomitaguchi

@parages 宮崎さん、ていねいにありがとうございます! なんだか無理やり引きずりだしてしまってすいません。リプはすべて納得がいくものでしたが、同時に、そこからインスパイアされて新たな問いが浮かんでもきました。+

2012-09-14 13:21:15
田口卓臣 @takuomitaguchi

@parages それらの問いに関してはむしろ、宮崎さんのほかの論考を読んだり、デリダと再度つきあわせたりしながら、もう少し考えてみたいと思います。いずれにしろ、たいへんな力作、お疲れ様でした。

2012-09-14 13:22:17
yusuke miyazaki @parages

@takuomitaguchi いえいえ、こちらこそありがとうございました。おかげさまで自分の考えが整理できました。またなにか発見などがあればツイートしていただけると幸いです!

2012-09-14 23:37:50
眼鏡パンダ @sacreconomie

宮崎裕助「自己免疫的民主主義とはなにか」『思想』8月号。以前うかがった原型からかなり煮詰められ発展している印象。民主主義は自己免疫的であることによって、自己自身を絶えず破壊する未完成なものであり、それゆえ外部(敵)を必要とすると同時に他に開かれた唯一の政治体制である。

2012-09-14 00:38:19
眼鏡パンダ @sacreconomie

民主主義(デモクラシー)は、アリストテレスに従って、自己支配と多数支配と定義される。古代ギリシャの政治の主体(デモス)とは、大きな家の主人、すなわちオイコノミコスに限定されていた。現代では、エコノミーの主体は各個人にまで負わされ、その意味で民主主義は万人に開かれることになった。

2012-09-14 00:46:11
眼鏡パンダ @sacreconomie

つまり、個人がエコノミーの主体となった現代のデモクラシーにおいては、アリストテレスが慎重に区別したオイコノミケーとポリティケーが区別できない事態となってしまったのだ。それはまさしく、トクヴィルがアメリカの政治に見出した人民の支配と神の世界統治(オイコノミア!)の類比に現れている。

2012-09-14 00:52:05
眼鏡パンダ @sacreconomie

疑問としては、①民主主義が確かにその自己免疫的システムによって自己破壊し他に開かれた政治体制であるとして、それが「唯一の」と言われる理由が示されていない、ということですね。少なくともこの議論の中では、他者に開かれた政治体制をただ「民主主義」と呼んでいるだけのような気がします。

2012-09-14 00:57:53
眼鏡パンダ @sacreconomie

②ipseとhospitēsの語源的な関係について、バンヴェニストへ参照がなされていますが、むしろimmūnisに関連してなされるべきではないか、ということです。mūniaとは、義務を意味し、これを免れていることが免疫であるのに対し、共に義務を負う者がcommūnisを構成する。

2012-09-14 01:05:23
眼鏡パンダ @sacreconomie

つまり、自己免疫的な民主制はimmūnisに、義務を共有する共同体はcommūnis に基礎付けられており、mūniaを挟んで対照的に位置付けることができる訳です。

2012-09-14 01:08:42
眼鏡パンダ @sacreconomie

補足。デモスの主体の条件である「自己支配」とは、クセノフォンにおいてもアリストテレスにおいても、家政(オイコノミア)の主体、すなわち家の主人の条件とされていたものでした。

2012-09-14 01:13:07
yusuke miyazaki @parages

.@sskyt 質問ありがとう。民主主義の構造的な成り立ちを踏まえたうえで、歴史的な事実として指摘しているつもりなのだけど、たとえば、共産主義に、自己免疫的な構造はそなわっているだろうか。自分には民主主義を介さずして「他者に開かれた政治体制」を考えることはできないな。

2012-09-14 12:04:52
yusuke miyazaki @parages

.@sskyt たしかにこういう方向で(しかしimmunisを経由してこれに対立させないで)コミュニズムを考えることはできると思うよ。註でも触れたようにブランショ、ナンシー、エスポジトのコミュニズム論の再検討が必要だね。デリダはこの方向を取らないわけだけれど。

2012-09-14 12:07:01
眼鏡パンダ @sacreconomie

@parages ご返答ありがとうございます。「来るべきデモクラシー」の肝は、政治的主体の自己が破壊され、「主権なきデモスの政治」となることだと理解しました。それは主権がない訳ですから、定義上、anarchiaです。だとすれば、政治的主体とみなされない者達の政治、

2012-09-14 15:27:40
眼鏡パンダ @sacreconomie

@parages すなわち、「ならず者達」の政治も同様であると考えます。具体的には、宮崎さんが以前ご紹介されていた「万民の敵」たる海賊国家ですね(実際の海賊社会はかなり「民主的」らしいですが)。また逆に、デモクラシーの中でも自己破壊機能を欠いた、主権の同一性が担保された政治は、

2012-09-14 15:29:54
眼鏡パンダ @sacreconomie

@parages それは「来るべきデモクラシー」ではないですよね。もしトクヴィルが言うようにアメリカの民主主義が神の統治と類比的だとすれば、それはmonarchiaです。しかし、単一支配であっても、その主体が自己分裂していれば、他者に開かれていることになると思います。

2012-09-14 15:38:01
Hemmi Tatsuo @camomille0206

"Scribd Premium Reader"って、どういうのでしょうね?LexilogosからBenvenisteの『諸制度語彙集』原著に辿り着いてしまい、有料だが全文ダウンロードできるとは。ほかにもOxford大学出版会の本も見つかってしまう。これは明らかに著作権が。

2012-09-14 14:54:18
眼鏡パンダ @sacreconomie

@camomille0206 それの1巻、p. 96に、munusとは「義務、公務」であり、immunisとは「義務のない」、古くは「ingratus恩知らず」の意であり、communisとは「muniaを共にする者」を意味すると書かれています。

2012-09-14 15:44:34
Hemmi Tatsuo @camomille0206

@sskyt わざわざ恐れいります。研究室に行けば現物はあるのですが、ついネットを検索してしまいました。ところで、Gafiotのmunusの定義も参考になりました。1) fonction 2)obligation 3)produit 4)donなど、豊かな多義性をもつ語彙ですね。

2012-09-14 15:54:46
yusuke miyazaki @parages

.@sskyt ふーむ、佐々木君の言いたいことがなんとなく分かった気がしました。拙論において「来たるべきデモクラシー」の肝が「主権なきデモスの政治」というのはその通りです。ただ、その「政治」はデモクラシーの伝統を放棄しないことでこそ可能になる、という限定があります。

2012-09-14 23:29:13
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