キリング・フィールド・サップーケイ #6

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バチバチと電子ボンボリが火花を散らした。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、シャドウドラゴンです」タバツとアキラの死体を放り捨てながら、影の輪郭を持つ恐るべき竜人型ニンジャが、破れたショウジ戸の向こうでアイサツした。 45

2012-10-22 03:08:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、シャドウドラゴン=サン……」ネオサイタマの死神の右の瞳が、センコの火のように禍々しく変形してゆく!「……ニンジャスレイヤーです」オジギ終了直後、背後からアンブッシュ!音も無く、ソウル痕跡すら隠して接近してきたシズケサが、絞殺単繊維ワイヤーを引いた!「イヤーッ!」 46

2012-10-22 03:10:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはそれを紙一重のしゃがみ込みで回避し、背後に対して肘打を放つ!シズケサはムーンサルト回転でこれを抜け目無く回避した。「アマクダリの犬めらか!」ニンジャスレイヤーは鋼鉄メンポのスリットからジゴクめいた蒸気を放つ「……その首、刈り取って帰る!」 47

2012-10-22 03:14:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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2012-10-22 03:16:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

自我科を抜け出したワモは、万札のたくさん入ったバッグを持ってタクシーに乗っていた。その胸は豊満であった。「もうちょっとスピード出ないの?」「もう十分ですよ!これ以上出したらマッポに捕まっちゃいますよ!」初老の運転手はインナーミラーで彼女の刺激的な腿をちらちら見ながら返した。 50

2012-10-22 03:26:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アッ……アブナイ!」運転手は前方をふらふらと歩くトレンチコートの人影を暗闇の中に認め、急ブレーキを踏む。ナムサン!タクシーに傷がついたら解雇だ!「ンアーッ!」シートベルトを正しく閉めていなかったワモが座席から転げ落ちる! 51

2012-10-22 03:30:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヘッドライトに照らされたそのハンチング帽の男は、衝突を回避しようとして弱々しくよろめき、重金属酸性雨に濡れた歩道でゴミ箱にもたれかかっていた。「大丈夫、ぶつかってないな!」降りてきた運転手が胸を撫で下ろす。「スゴイ・バカ!」ワモも降り、その浮浪者じみた男に唾を吐きかけた。 52

2012-10-22 03:35:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……シツレイした……」満身創痍のその男……フジキド・ケンジは、ワモの顔を見て何か言いかけたが呑み込み、再びハンチング帽を目深に被り、泥と血まみれのトレンチコートで歩き出した。シャドウドラゴンとシズケサが予定外の交戦を嫌い、速やかに撤退したため、彼は辛うじて命を拾ったのだ。 53

2012-10-22 03:39:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

DRRRRR……タクシーは再び夜のネオサイタマを走り出す。ワモにはカネがあったし、ショック状態からも戻り、全てを思い出した。彼女はそもそも年収が低そうなDJのトバツを見限って自らハッカー・バロンの愛人となり、自分は恥辱でセプクしたとの嘘をサイバーゴスクラブに流していたのだ。 54

2012-10-22 03:42:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

自我科に入院していた彼女はIRCもLAN直結もできない退屈な生活に嫌気がさし、治療半ばでネオサイタマ総合病院を飛び出した。カネも服も無いのでひとまずトバツの家に向かうと、彼はどこかに消え去っていたため、ワモはカネと薬物をせしめてタクシーに乗ったのだ。 55

2012-10-22 03:46:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どこ行こう……」それがワモの目下の悩みだった。だが、カネと薬物さえあれば何でもできるだろうという確かな安心感があった。そして彼女はふと窓の外を見やり、重金属酸性雨の中を飛ぶマグロツェッペリンの大型モニタに釘付けになる。「映画館……」「ハイヨロコンデー!」運転手が応える。 56

2012-10-22 03:49:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ズームムムムムムーン……映画館には広大な宇宙を感じさせるスペイシーなサウンドが重苦しく鳴り響き、これから始まる安っぽい非現実エクスペリエンスを期待させた。ワモは一番大きなスクリーンを選んだ。同じ列になかなかカワイイなサイバーゴスたちが数名座ったので、早速LAN直結した。 57

2012-10-22 03:54:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タダーン!勇壮な銅鑼の音が鳴り響き、スクリーンが展開した。タダオーン!「ジーザスIV」の大仰な題字が映し出された。「アハー、アハー、アハー…」ワモたちは興奮の3D体験を約束するレッド&グリーンのサイバーグラスをかけ、ザゼンドリンクを決めながらぽかんと口を開けてトリップした。 58

2012-10-22 03:58:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

重金属酸性雨がしとしとと降る夜だった。スクリーンではあの男がバスタードソードを掲げ、そのセクシーに鍛え上げられた上半身と憂いを帯びた瞳で、浮ついた女性客たちの心を虜にしていた。 59

2012-10-22 04:03:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「前の方がよかったな」前の席では何人かのパンクスが不満を述べていたが、ジーザスVの作製はすでに決定していた。 60

2012-10-22 04:05:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「キリング・フィールド・サップーケイ」終わり

2012-10-22 04:05:36