東海道中膝栗毛 エピソードゼロ

十返舎一九が1802年に発表した「東海道中膝栗毛」は1809年の第8編まで続きましたが、実はその後1814年に「道中膝栗毛發端」と題した、いわゆるエピソードゼロを発表しています。 ここではその「發端」を現代語に超意訳しご紹介いたします。意訳ではありますが、ストーリーはかなり原作を忠実に再現しました。 弥次喜多が故郷を捨て江戸に住むことになったいきさつや、東海道を旅することになった理由が明らかに。
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現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

おつぼ父「私はな、田舎者ではあるが、地元の農協の理事まで務めた者だ。これだけ失礼なことをされるとは思ってもいなかった。おい、家主を出せ。家主にことわって、お前たちを痛い目に遭わせてやる! さあ!早く家主を呼んでこい!」

2012-11-25 19:42:32
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

おつぼの父親がどんどん激昂し、声を荒げて興奮するので、周囲の人達がいろいろとなだめはじめる。しかし父親はいっこうに聞き入れない。やがて、騒ぎを聞きつけた大家の主人が小走りで駆けつけて来た。

2012-11-26 19:26:43
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

大家「まあまあ、いったいどうなさったんです? 今さっき聞きましたけど、仏様の首がないとはいったいどういうことですか?」芋七「こういうことです。どうぞ見てやってください」大家「どれどれ」

2012-11-26 19:26:54
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

大家「あらっ、まあー。お父さん、心配要りませんよ。首ならございます」おつぼ父「何⁉」弥次喜多芋七「何⁉」おつぼ父「どこだ、いったいどこにあるのだ」大家「ほら、下の方をよーくご覧になってくださいな。どうやら仏様を逆さまに入れてしまったんですねぇ。ホーッホッホッ」

2012-11-26 19:27:06
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「なんと」芋七「まあ」喜多「そんなことに…」おつぼ父「逆さま? ああ、いや、そういうことでしたか芋七「うわあっお父さん、まことに申し訳ありませんでした

2012-11-26 19:27:15
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

おつぼ父「いや、逆さまとは言え、こいつがおつぼと分かって安心しました。私もそこまで心が狭い訳ではありません。皆さん、お騒がせいたしました」全員 (あれ、逆さまはいいのか? (・∀・;) ナンデ) その後しめやかに葬儀が営まれ、おつぼは手厚く葬られた。

2012-11-26 19:27:29
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「おつぼには悪いことをしたな」喜多「ああ」芋七「腹の赤ん坊にも申し訳なかった」喜多「親父さんにもな」「そうだな」喜多「どうか次の世では幸せになれよ (ノд<。)゜。//「 (-人-) ナムー

2012-11-26 19:27:40
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

さて、喜多八がせっかく苦労して企んだ社長の椅子だったが、社長夫人にあっさり見抜かれた上に会社までクビになる。行くところがなくなった喜多八は再び弥次郎の家に居候することになった。弥次も長年連れ添ったおふつと別れ、新しく迎えた妻にも死なれ、いい事など一つもない。

2012-11-27 19:28:38
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

あれ以来、お互いすることもなく、退屈な毎日を過ごしていた二人。弥次「なあ喜多よぉ、お前なにか仕事しねえのか? 最近つまんねえバイトばっかりじゃねえか」喜多弥次こそ酒ばっかり飲んでねえで仕事すりゃいいじゃん」

2012-11-27 19:28:52
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「あの一件以来、いい事がひとつもねーんだよ。すっかりツキが落ちた感じだなあ」喜多「うん…俺も」弥次「なんか面白いこと落ちてねえかな」喜多「そうだなー…」弥次「あ、」喜多「どうした?」弥次「面白いこと探しにいかねえか?」喜多「ん?」

2012-11-27 19:29:07
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「旅に出るんだよ。厄落としの旅にさ」喜多「うほ、そりゃ面白いな」弥次「そのための金をまず集めよう。俺、友達から借金かき集めてくるわ」喜多「じゃ俺、女の子捕まえてちょっと貢いでもらってくる」そうと決まれば、目標達成のためにはあれよあれよと金を貯めてくる二人。

2012-11-27 19:29:20
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「よーし、これで新しい年を迎えることができたぞ」喜多「酒を飲んで、パーっとめでたい春を迎えようぜ」二人で相談した結果、開運祈願厄落としのためには伊勢参りに行くのがいいだろうという話にまとまった。

2012-11-27 19:29:37
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

そして春浅い3月、出発の日。弥次「さて、この家ともおさらばだな。そんじゃみなさん、ごきげんよう」喜多「いろいろとご迷惑をおかけしました」近所A「寂しくなるなぁ」近所B「くれぐれもお気をつけて」芋七「たまには手紙でもよこせよ」おタコ「おみやげ待ってるよおぉ~」

2012-11-28 19:45:06
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次喜多「では、行ってきまーす( ´ ▽ ` )ノ「達者でなー」 2人の姿が見えなくなるまで、皆は手を振り続けて見送った。

2012-11-28 19:45:15
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

喜多「なぁ弥次、伊勢にはかわいい子がたくさんいるかな ( ´ ∀`)弥次「そりゃあ全国から人が集まってくるからな、道中が楽しみだ (´∀`)喜多「いいことがあるといいなあ」弥次「おう、そだな」

2012-11-28 19:45:28
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

難波江の よしあしくとも 旅なれば おもひたつ日を 吉日とせん [完]

2012-11-28 19:45:45
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