ガイデッド・バイ・マサシ

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……遠く離れた地、トコロザワ・ピラー天守閣では、乳房も露なオイランにかしづかれるラオモトが、押し終えた起爆スイッチを無感情に一瞥すると、放り捨てていた。彼はオイランの胸に挟まれたIRC通信機を取り、耳に当てた。「……そうか。チョージョー。戻れ。……いや、つまらぬ花火であった」98

2012-11-30 23:27:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……重い黒煙が壁の穴から徐々に吐き出されてゆく中、ニンジャスレイヤーはゆっくりと身を起こした。彼の腕の下ではモガタが庇われていた。「アイエエエ……!」「これは」声の主は新たにエレベーターで上がって来たエルダーヤマブシである。「……」ニンジャスレイヤーは無言で頭を振った。 99

2012-11-30 23:34:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おお……おおお」エルダーヤマブシは震えながら真っ二つのマサシ像に近づき、ナンバンとカロウシの喪失を確認した。「おおお……」「アイエエエ……」モガタはおぼろげに状況を認識し、彼なりの困惑した罪悪感を持って、そのさまを眺めた。ニンジャスレイヤーは無言であった。 100

2012-11-30 23:35:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何たる……事」エルダーヤマブシはもはや押し寄せる感情をどうする事もできず、膝から崩れ落ちた。ニンジャスレイヤーはモガタの拘束を破壊した。彼は壁の穴のきわに立ち、外を見下ろした。棚田、岩山、谷、そうしたものを。 101

2012-11-30 23:40:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは室内を振り返った。モガタがおずおずとエルダーヤマブシに近づき、何かしら話しかけた。老人は膝立ちで這い進み、遺灰の壷に手を伸ばした。「遺灰は……遺灰はある」「そうですよ」モガタが慰めた。繕うような、無力な言葉ではあった。相手はカルティストで、信者も全滅だ。102

2012-11-30 23:43:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「遺灰はある……」うわごとめいて老人は繰り返した。ニンジャスレイヤーは向き直った。「ともあれ、オヌシも一度塔を降りねばなるまい」「……」「そうね、行こうね、ね」モガタが老人に声をかけた。ニンジャスレイヤーのIRC通信機が鳴った。ナンシーだ。「首尾は?どう?」103

2012-11-30 23:45:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「失敗だ」ニンジャスレイヤーは低く言った。「シックスゲイツのクイックシルヴァーは殺した。だが……」「ニンジャを殺した貴方が、失敗とはね」ナンシーが言った。「後でまた連絡する」ニンジャスレイヤーは通信を切り、打ちひしがれた二人のもとへ歩いて行った。 104

2012-11-30 23:47:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

砕けたマサシ像が、恐ろしげな瞳はそのままに、彼らを凝視していた。 105

2012-11-30 23:48:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第一部「ネオサイタマ炎上」より:「ガイデッド・バイ・マサシ」終わり (106

2012-11-30 23:49:12
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