空にそびえる鉄の城について、ちょっと気になるんだけど意外と深い疑問と、それに関する考察

囚人番号６ @F4EJ2Phantom

驚いた将軍たちは、半信半疑ながらもヘルの発掘調査へのバックアップを約束した。ヘルのいう「古代ミケーネ人の高度な戦闘ロボティクス」が、ベトナム戦争の泥沼状態を打開することの出来る、新兵器の開発に繋がるかもしれない、と考えてのことだった。　＃Drヘルの背後に潜む者

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資金を得たヘルは、すぐさま調査団の編成を開始した。むろん、このときすでに、心中では世界制服の野望の灯火を宿らせていたに違いない。同時に合州国に要請して、ギリシャ政府に発掘を認めるように働きかけさせ、許可を得た。　＃Drヘルの背後に潜む者

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この調査団は、遺言状に拠れば「世界の科学者や考古学者と共に」とあるので、真の目的を知るヘル以外の者にとっては、非常に奇異に見えただろう。　＃Drヘルの背後に潜む者

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こうしてヘルたちロードス島遺跡発掘調査隊は、島に渡って世紀の発見をするに至るのである。しかも用意の良いことに、ヘルは科学者陣を動員して、壊れていたミケーネの巨人の復元したばかりか、秘かに自分で開発したテレパシー操縦装置を仕込み、我が物としたのである。　＃Drヘルの背後に潜む者

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調査隊員は悉く殺され、唯一十蔵博士だけが生き延びたことは、本編で語られている通りである。　＃Drヘルの背後に潜む者

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ともあれ、こうして古代ミケーネ文明のロストテクノロジーは、ヘルとおそらくは合州国の手に渡った。本来ならアメリカはこの時点で手を引くつもりだった。なにしろ皆殺しなどという、予想外のことをしでかすヘルとこれ以上組むのは、非常な危険が伴うからだ。　＃Drヘルの背後に潜む者

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が、アメリカの対日および北東アジア戦略を揺るがしかねない事件が、ヘルと手を切ることを許さなかった。その事件とは、光子力機関実用化の目途がついたという報道だった。　＃Drヘルの背後に潜む者

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日本の原子力政策には、アメリカ国防総省の意向がかなり反映されているのは、現代ではよく知られていることだ。原子力発電所事業の推進には、核兵器の代替とするためという側面が存在するのである。　＃Drヘルの背後に潜む者

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冷戦の最前線である日本には、中ソに対抗する核兵器の配備が必要だが、種々の国内事情からそれは現実的ではない。合州国政府の一部には、これを不満とする勢力があるが、大方は合州国にとって好ましいと考えていた。　＃Drヘルの背後に潜む者

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つまり原子力政策は、日本を自陣営に留める首輪付きロープなのだ。また、原子力政策に影響を及ぼすことで、日本の独立独歩を抑制するという効果も期待しているし、実際に生じている。が、光子力の実用化は、これらを全て吹き飛ばしてしまう可能性を秘めているのだ。　＃Drヘルの背後に潜む者

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それどころか、原子力を上回るエネルギーをもたらす光子力を、もしも兵器に転用されたら…？　自国の防衛が単独で可能になったら、日本はアメリカから距離を取り、ふたたび自己の勢力を拡大させようとしはじめるかもしれない。　＃Drヘルの背後に潜む者

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当時は後の時代ほど、日米政府や軍の間に信頼感は醸成されていなかった。それどころか、保守系政治家の多くは、占領政策の後遺症で、国が独立国としては半身不随であることに憤りを感じており、アメリカとの同盟解消は、決して全くあり得ない悪夢というわけはなかった。　＃Drヘルの背後に潜む者

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予想もしない事態に驚いた国防総省は、国務省に怒鳴り込んだ。こうした懸念が現実化しないため、長年、自民党の親米派議員をコントロールし、光子力の研究開発予算を削減させるなどの手段を講じていたのではないのか！　＃Drヘルの背後に潜む者

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さしもの国務省も、これにはぐうの音も出なかった。かつてＣＩＡから、開発の中心人物である十蔵博士の暗殺が提案されたことがあったが、同盟国との関係悪化を恐れて同意しなかったという過去の経緯があったのである。　＃Drヘルの背後に潜む者

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だが、その判断を責めるのは適当ではない。なにしろこの時代、先に述べたようにアメリカはベトナムで共産陣営と血みどろの戦いを進めており、日本はその後方基地として欠かすことのできない同盟国だったのだ。　＃Drヘルの背後に潜む者

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大統領府には決して報告されない、国務省、国防総省、中央情報局の三者会談が、秘かに設けられた。様々な角度から検討した結果、日本の光子力事業を頓挫させることは、大局視すれば日米同盟に資するとの判断が下された。　＃Drヘルの背後に潜む者

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そう、光子力事業が失敗することは、ステーツだけでなく、日本自身のためでもあるのだ。些か強引な論理だったが、彼らを納得させるには十分だった。問題は、いかにしてそれを行うか、である。　＃Drヘルの背後に潜む者

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米軍は論外、ＣＩＡのイリーガルも問題がある。当時のジョンソン政権の最も重要な閣僚である司法長官ロバート・ケネディは、ＣＩＡの秘密工作に懐疑的で、もしこれが政府に知られれば、かならず何らかの処置を行うと思われるからだ。ではどうするか？　＃Drヘルの背後に潜む者

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そこで浮上したのが、Drヘルである。国防総省とＣＩＡは折半でさらなる援助を与え、彼が作りたがっているマシンビースト――機械獣なるロボット兵器を建造させ、光子力研究所を襲撃させるのだ。　＃Drヘルの背後に潜む者

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世界を驚嘆させた光子力研究所の所長が十蔵博士だと知ったDrヘルは、持ち前の嗅覚で、彼がやがて光子力と超合金Ｚを以て、自分の前に立ちはだかると予測していた。また、世界征服の野望を達成するには、それらの技術は欠かせない。　＃Drヘルの背後に潜む者

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アメリカからの申し入れはヘルにしても渡りに船であり、様々な条件交渉を行った末、彼は手を組むことを承諾した。　＃Drヘルの背後に潜む者

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条件の中には例のロードス島を自分の管理下に置き、そこに機械獣を開発・建造する施設の設置の承認も含まれていた。一方、合衆国側からは、機械獣に国内メーカーが開発した兵器を搭載することを許す代わりに、運用データの提供を求められた。　＃Drヘルの背後に潜む者

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様々な思惑のもと、両者の利害は一致を見た。こうしてDrヘルはロードス島に地下帝国を建設し、光子力研究所攻略作戦を開始したのである。　＃Drヘルの背後に潜む者