創作論や小説技法以前の「論理的な文章」について@藤原祐
- yukiminagawa
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ともかく、漫然と文章書いていても、その量が膨大ならば、自然と文章は上手くなると思うんですけどね。実際、私がそうでしたし(お前の文章ヘタだよ、というツッコミはとりあえず聞こえないふりをするとして)。だからって「さあ、今から○年文章修行するぜ!」ってのもしんどいでしょうから、
2010-08-26 14:48:24僕の文章など別段上手いわけでもないというのは棚上げして、榊さん(@ichiro_sakakiさん)に便乗。文章(ひいては言語)っていうのは個人的に『表現という服を着た論理』だと思うのです。だからまずは「論理的であること」を心がけると上達が早いんじゃないでしょうか。
2010-08-26 15:01:30読みにくい文章っていうのは大概の場合、「読み手が状況を理解するのに必要不可欠な情報」が省かれていたり、もしくは過剰な修辞に囲まれて見えにくかったりするものです。省略も装飾も文章にとってのオシャレであるのは確かなんですが、まずは体型をきちんとしないとどんな服着ても逆効果。
2010-08-26 15:12:20で、論理的である=体型を整える方法ですが、具体的には『5W1Hをきちんと説明すること』なんじゃないかと思います。それはつまり「読んでる側に『わからない』というストレスを与えないこと」でもあります。
2010-08-26 15:25:38「私は毎日給料をもらうために勤務先の工場で刺身にタンポポを乗せる仕事をしています」と「タンポポェ……」では、わかりやすいのは前者ですよね。で、前者の文章から『誰が見ても自明なこと』を取っ払い修飾してやると「今日もまた刺身にタンポポを乗せる仕事が始まるお……」になる訳です。
2010-08-26 15:32:14で『文章』というのは、この「5W1Hを説明し読み手に情報を的確に伝達する」というプロセスを、一文単位でやったり数文単位でやったり一段落を使ってやったり数段落を使ってやったり……と、「説明する長さ」に緩急をつけながら進めていく行為と言えます。
2010-08-26 15:36:57ここで「Whereが説明されないまま延々と進む」とか「Whoがわからないまま話が次へ行く」とかが重なってくると「わからない」=「読みにくい」になる訳です。
2010-08-26 15:38:38もちろん小説などでは「わざとWhoを明かさない」とか「Whyを漠然としか提示せず想像に任せる」とかいった「読み手にあえてストレスを与える行為」が頻繁に行われたりするのですが、普通に「もう少し読みやすい文章が書きたい」という場合、下記のようなことを気を付けるといいんじゃないかと。
2010-08-26 15:41:32また「小説を書きたいけど書いたことがない」「書いてみたいけどどう書けばいいのかわからない」という場合にも、下記のことを意識してみると有効なんじゃないかと思います。5W1Hというのは最小単位のストーリーであり、この小さなストーリーを積み重ねていけば自然と大きなストーリーになるので。
2010-08-26 15:43:47@fujiwarayu おお、これはご丁寧に、たまたまちょっと疑問に思っただけでこんなに丁寧にお答えいただきまして恐縮ですm(__)m
2010-08-26 15:51:09あー、ちなみに下記のことは小説の技法とか創作論とかそんなたいしたものでもなく、誰もが国語の授業で「なんとなく教わっていること」でもあります。わざわざカリキュラム組んで練習したりはしないので(今の指導要領ではどうか知らんけど)なかなか意識されにくいのですが。
2010-08-26 16:00:06ログを眺めて、榊さんや藤原さんの文章話の流れでふと思い出したこと。5W1Hとか表現力とかとは別の話なんですが、学生時代に書いた自分の文章をプロになってから読み返して、やたら読みにくくて「うえー」となった記憶があります。
2010-08-26 17:55:43理由は単純で、「三人称で視点がやたらズレる」という状態のせい。たとえば↓のような感じ。:悪い例。 『アルカインはカルカンを口に頬張った。ほのかに広がる旨味と確かな満足。猫まっしぐらは伊達ではない。セロも続いて食べてみた。あんまりおいしくない。人間には向いていないのかもしれない。』
2010-08-26 17:56:11下の例だと、アルカインとセロの視点が短い範囲で入り乱れているので、一読して「読みにくい!」感じに。これだけだと短い文章なので気にしない方もいるかもですが、こういうブレを何回も繰り返すと酷く読みにくい文章になるハズ。
2010-08-26 17:56:40で、これをセロ視点で推敲するとこんな感じに。 『アルカインがカルカンを口に頬張った。よほど旨かったのか、彼は満足げに眼を細める。猫まっしぐらは伊達ではない。セロも続いて続いて食べてみた。あんまりおいしくない。人間には向いていないのかもしれない。』
2010-08-26 17:57:54そして同じ文章をアルカインの視点で推敲するとこんな感じに。 『アルカインはカルカンを口に頬張った。ほのかに広がる旨味と確かな満足。猫まっしぐらは伊達ではない。続いてセロが同じ物を口に入れたが、彼はどうにも微妙な顔をしている。人間向きの味付けではないらしい。』
2010-08-26 17:58:29どっちも即興なので後で直したくなる文章っぽいですが、とりあえず例としてはこんな感じに。「三人称でも、視点の元となる人物が混在するとやたら読みにくい」というのは、初心者のうちに陥りやすい罠のような気がします。
2010-08-26 17:59:23上手い人だと違和感なくこの混在を使いこなせることもありそうですが、意図的にやった上で、読む人に違和感を持たせないのはけっこう大変…… 逆に視点にさえ気をつければ、たとえ語彙は少なくても、小説の文章としてはそこそこ読みやすくなりそうな気がする今日この頃。長々と失礼しましたー。
2010-08-26 18:00:00