解雇規制について

ダイヤモンドの記事を発端として話題に上った「解雇規制」の是非についてTLで流れてた関連のツイート、関連記事を全て盛り込みました。決して読みやすくはないので時系列を気にして読み進めてください。
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theophil21 @theophil21

おっしゃる通りで、難しいのは、非正規雇用という概念が、中身は明確でないのにみんなわかったような気になって、その結果、何の法的根拠もないのに「非正規なのだから処遇は正規より低くて当然」という意識が労使に根づいてしまっていることでしょう。RT @U26ajlc

2010-11-03 10:11:29
theophil21 @theophil21

大陸ヨーロッパでは、「短時間正社員」は珍しくない。たとえば職場の中に、週40時間労働の人と35時間労働の人がいる、という場合、35時間労働の人はおおむね40時間労働の人の八分の七の給与でその他の処遇には相違はない。もちろん、横断的賃金制度など日本とは異なる事情があることが前提。

2010-11-03 10:30:29
theophil21 @theophil21

正規雇用という概念は、「手厚い処遇」と「雇用の安定」が中心。高度成長期から今までこれらの両立が可能だった要因の一つは、「雇用の核は青壮年男性」の意識が定着していたこと。全員参加の雇用社会の中で、多様な雇用形態が必然になった現在、処遇の手厚さと雇用の安定も両立しにくくなっている。

2010-11-04 09:52:24
theophil21 @theophil21

正規雇用の中心的な概念は変わらなくても、その内実に大きな変化が出ていることは間違いないでしょうね。他方で非正規雇用も多様で、内部での格差も大きい。問題は、そうなのになぜ、「正規」と「」非正規」の区別がこれほど強固に意識されているかでしょう。RT @uniontiren

2010-11-04 15:34:25
theophil21 @theophil21

「同じ正規雇用でも中身は多様で一口にいえない」「非正規雇用も中身はいろいろあって格差も大きい」というのが実際でしょう。それなのに、一般の議論は「非正規に対する差別」というように「正規」か「非正規」かの区別が決定的であるという前提に立っています。なぜか、を確認すべきでしょうね。

2010-11-04 15:37:40
theophil21 @theophil21

@U26ajlc (1)パート労働法を制定する折、対象となる短時間労働者の定義が議論されました。日本では労働時間が正社員と同じでも「パート」と呼称される人がいるので。しかし、パートタイムの語源から、通常の労働者の労働時間より短い労働時間を働く者を対象とすることに決着したのです。

2010-11-05 08:27:30
theophil21 @theophil21

@U26ajlc (2)ひるがえって、非正規労働者を包括的に対象とした基本法を制定するとした場合、それが困難な要因の一つは、何よりも対象となる労働者を正確に定義できないからでしょう。ダイレクトに法制定によって非正規労働者を守ることには、このように基本的な点で限界があります。

2010-11-05 08:32:19
theophil21 @theophil21

派遣、有期、パートが「非正規雇用」の代表的な雇用形態だが、「原則禁止とすべき」という意見は、この順に強い。その最大の理由は、法制度としてみると、雇用の安定がこの順に保障されていないと認識されていることと、雇用責任がこの順に弱いこと。雇用の安定は、処遇の平等よりも重視されている。

2010-11-06 13:31:28
theophil21 @theophil21

(1)使用者側が、派遣や有期の規制強化に反対する最大の理由の一つは、幅広く柔軟な雇用形態を選択できることで、積極的な雇用意欲が増し、失業率の低下につながる、とうい点である。稀にしか解雇できないとか正社員と同じ処遇にしろというのではリスクとコストが大きすぎて雇用できないという。

2010-11-06 13:42:23
theophil21 @theophil21

(2)雇用こそが最優先(失業者をできるだけ減らす)、という場合、この使用者側の主張に対して、規制強化を主張する側がどのように説得力ある反論をするのか、が問われている。充分な説得力のある反論がないと、「雇用か処遇か」の二者択一の罠に陥ってしまう。

2010-11-06 13:45:30
theophil21 @theophil21

(3)かつて「オランダモデル」がもてはやされたとき、オランダは、政労使が「ワッセナー合意」により、処遇の平等を条件に徹底的な「パート化」を実現した。それでも不安定雇用が大きな問題とならなかった最大の理由の一つは、産別組合が強大で力があったことである。ここにヒントがある。

2010-11-06 13:59:35
theophil21 @theophil21

非正規と正規の格差は「雇用の安定度」と「処遇」にあると考えられている。解決策として非正規の雇用安定度と処遇を正規並みに上げる、ということが現実的でないとすると、正規労働者の雇用を柔軟化し、処遇を下げることになる。この点について国民的コンセンサスを得るための構想が求められている。

2010-11-08 11:16:16
theophil21 @theophil21

国際比較を単純化すると、ここに1000万円あって、これで人を雇うという場合、年収500万円を保障して2人だけ雇う(ドイツなどはどちらかといえばこの方式)か、年収100万円で10人雇用するか(アメリカはどちらかといえばこの方向)。前者は失業率を高め、後者は低賃金労働者を増やす。

2010-11-08 11:18:37
theophil21 @theophil21

賃金の面で正規と非正規の平等を主張する場合、「原資が限られている」という点を踏まえなければならないので、結局「正規の労働条件を下げる」ことでしか実現できないと言われる。原資自体を増やすのなら景気がよくなるしかない。景気がよくなるには規制緩和だ・・・ この主張に正面から応えねば。

2010-11-08 12:39:15
theophil21 @theophil21

人件費は限られているので、その中で非正規労働者の立場を改善することを考えるとすると、1000万円のうち非正規にはこれまでの500万円ではなく400万円にする、ということになります。それでいいのか? という経営者の問いにどう応えるかがポイント。RT @Hidesuke_Kyoto

2010-11-08 12:16:48
theophil21 @theophil21

先ほどのツイート、基本的間違いがありました! 「非正規労働者の立場を改善するなら、1000万円のうちこれまで「正規」労働者に費やしていた500万円を400万円に下げて非正規に回すがそれでいいか?」という経営者の問いにどうこたえるのか、です。

2010-11-08 12:35:21
theophil21 @theophil21

菅政権の「雇用!雇用!雇用!」は、今のところ財政出動と規制強化で雇用創出と非正規労働者保護を同時に実現するという方向に具体化されているが、900兆円に迫る借金財政をもっと悪化させることは間違いないので限界がある。問題は「国家が直接金をばらまくのではない方法の選択肢に何があるか」

2010-11-08 12:45:13
theophil21 @theophil21

(1)日経経済教室で整理解雇について二人の経済学者が論じている。ICUの八代尚宏教授は、雇用と賃金が切り離せない関係にあることなどから、整理解雇に金銭解決を導入することを提唱し、一橋大の神林龍准教授は、人事の在り方を総合的に見直す中で整理解雇法制を再構成すべきと主張する。

2010-12-01 16:06:17
theophil21 @theophil21

(2)解雇についてはすでに過去に連続ツイートの中で論じているので繰り返さないが、経済学者の解雇に関する見解には、共通する課題があるように思われるが、それは整理解雇が論じられる場合に特に強く現れることを痛感する。

2010-12-01 16:09:46
theophil21 @theophil21

(3)日本の解雇法理は、企業社会が自ら作り上げた慣行(雇用保障と賃下げまで伴う強大な人事権の取り引き)を法的にアレンジしたものであり、とりわけ整理解雇はその性格が強い。もちろん、中小企業と大企業との間で明確に解雇実務に相違があることは大前提である。

2010-12-01 16:11:49
theophil21 @theophil21

(4)日本の解雇法制は、単に「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がなければ解雇は無効、という抽象的な内容にとどまっており、その中身は日本社会における労働契約関係の在り方によって規定される面が強い。企業は解雇の自主規制を強大な人事権確保のために維持するのかが問われる。

2010-12-01 16:15:27
theophil21 @theophil21

(5)何人かの企業関係者から指摘されたように、おそらく日本の大企業は今後もできる限りの雇用保障を持続しながら、人事権の合理化をはかることを目指すであろう。そうだとすれば、現在の整理解雇に関する判例法理の「四要件ないし四要素」手法は、なお有効であるということになるであろう。

2010-12-01 16:17:54
theophil21 @theophil21

(6)注意すべきは労働側の志向である。現在は、雇用の安定のためにはほとんどのものを犠牲にする、あるいはせざるを得ないという状況にあるように見える。それをどのように変えていくのか、あるいは維持していくのか、労働組合のスタンスも含めて本格的な検討が求められているように思われる。

2010-12-01 16:20:54
theophil21 @theophil21

雇用法制の在り方について積極的に見解を提示している八代尚宏教授の考え方には、確かに賛同できない内容も多い。ただ、八代教授は十分に根拠を示し、対立する考え方にも目配りしたうえで、具体的な提案を行っている。これに反論する側も、反対する具体的な根拠を示し、明確な対案を示すべきであろう。

2010-12-02 10:23:13
theophil21 @theophil21

八代教授に賛同できないのは、理念的には、制度を見る視点について規範と経済合理性とのバランスを欠いていること、具体的提案については、派遣にしても解雇にしても日本に転職市場が成熟していない点を軽視していること。ツイートではここまでしか言えませんが・・・ RT @Haken_Law

2010-12-02 12:08:40
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