映画テルマエ・ロマエの原作100万円に端を発した『クリエイターと資本とマネタイズ』の話

映画テルマエ・ロマエの原作料が100万円だったという話に端を発して、ネット上では色々議論が成されているようですが、ビジネス的な立場も踏まえて何が問題でどこが解決地点なのか、クリエイターと資本とマネタイズを軸にツイートしたもののまとめです。
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青木文鷹 @FumiHawk

[10]これまで資本が握っていた世に出るルートが多様化した事について行けてない企業側が旧態依然のやり方やっているので、今回のような問題が出てくる。彼らのやり方は狩猟的で確かにコストは安く済むが、最終的にはその地域から獲物が逃げるか刈り尽くしてしまう。もしくは焼き畑農業的というか。

2013-02-25 11:14:57
青木文鷹 @FumiHawk

[11]今後の日本はコンテンツ産業が経済の柱の一つになる。だからこのタイミングで旧来の悪習を変えなきゃならない。手塚治虫を呪っていてもなにも変わらない。そして資本の影響力が低下するという事はこれまでのセオリーが変わるという事ので、クリエイター側もある程度考え方変えなきゃならない。

2013-02-25 11:16:40
青木文鷹 @FumiHawk

[12]クリエイターの仕事が「賃労働の成果」から「作品」に成った時、稼ぐ為には作品が商品としてどのような価値かを決めてお金にしなければならない。作品はあくまで作品で、それが“いくらなのか”を決めてお金に換えるのがマネタイズ。作品の価値と金銭的価値は別物、ここは混同しちゃダメ。

2013-02-25 11:17:36
青木文鷹 @FumiHawk

[13]これまではマネタイズを(資本投下も含めて)企業がやってくれた。それを企業に丸投げしてたから食い物にされてた点は否めないけど、資本の影響力低下は、企業がこれまでのようにリスクを取る事が出来なくなると言う事でもある。だから、クリエイターも少しマネタイズを考えなければならない。

2013-02-25 11:18:27
青木文鷹 @FumiHawk

[14]企業が単体でリスク取りにくくなると、映画や出版等では既存ルートで新たな作品が出にくくなる。もちろん別ルートがあるのだからそちらで出せばいいのだが、そちらはそちらでクリエイターがリスク分担する必要がある。いずれにしても新しい仕組みが必要。これが一番最初に言った仕組みの問題。

2013-02-25 11:19:07
青木文鷹 @FumiHawk

[15]『クリエイションは投機じゃない』という論は実にもっともだと思う。創作活動自体は投機でもビジネス的な平準化された作業でもない。地道な努力が一瞬のひらめきに、精緻な作業が片手間の落書きに、練りに練った楽曲が思いつきの鼻歌に負ける事だってある。才能のない我が身が恨めしいorz

2013-02-25 11:20:13
青木文鷹 @FumiHawk

[16]たしかに創作活動自体は投機でもビジネス的な平準化された作業でもない…けど、それを“お金に換える作業”は創作とはある意味対極にあるビジネス的なものな訳で、作品を広く世に広めようとするなら資本やリスクの問題からは逃れられない。なら、クリエイターも積極的にコミットすべきだろう。

2013-02-25 11:21:42
青木文鷹 @FumiHawk

[17]例えば、出版でリスクをクリエイターがある程度負担するというのであれば、「初版部数の損益分岐点を算出し、売上が損益分岐点を超えるまでは印税が発生しない。ただし、損益分岐点を超えたあとは通常より高い印税が払われる」なんて契約が考えられる。契約形態いじっただけなので楽に出来る。

2013-02-25 11:24:21
青木文鷹 @FumiHawk

[18]出版社が赤字にならないところまではクリエイター側も無収入という形でリスクを負担する。ただし初版の損益分岐点を超えた=赤字が出ない状況になったあとは、これまで以上の利益を貰う。増刷に関しては損益分岐点が大幅に下がっているんだから、以後のリスクは企業が持つ事でバランスを保つ。

2013-02-25 11:25:08
青木文鷹 @FumiHawk

[19]この形式だと、初版の損益分岐点まではクリエイター側が若干不利になるが、増刷分に関してはクリエイター側が有利になる。出版社側としてはリスク分散で損益分岐点が下がる事から冒険的な作品でも出版しやすくなり、その後の増刷でもそれほど大きな損失はない。以前のような大儲けは無理だが。

2013-02-25 11:28:46
青木文鷹 @FumiHawk

[20]映画原作なら「配収○○億円までは1%、○○億を超えて××億円までの分は2%、それ以上の分は3%」といった段階的なレベニューシェア型契約が向いていると思う。これも大当たりするかコケるか分からない時点では原作者がリスクを取り分減らす事で分担し、成功したら応分の利益をという事。

2013-02-25 11:30:17
青木文鷹 @FumiHawk

[21]現在の日本の産業に求められているのは“高付加価値化”で、コンテンツというのは付加価値の塊(というか、それ以外の何ものでもない)なので、次世代の日本の命運を担っているといえる。その重要分野に対して日本では極めて理解が少ない。木を切っても植林しなければ禿げ山になる。

2013-02-25 11:31:08
青木文鷹 @FumiHawk

[22]クリエイター側も契約等を勉強するか、それに強いエージェントと契約するか、団結して互助会作るか…とにかく企業にむやみと食い物にされない自衛手段を確保すべき。それが創作の裾野を広げ、先達の呪縛を解き、後進の為になる。作品を、自分を、出来るだけ高く売る事は正義である。

2013-02-25 11:32:22
青木文鷹 @FumiHawk

[23]クリエイターは応分のリスク負担してでも「もっと沢山稼ぐべき」だと思う。それはコンテンツの将来の為であり、後進の為であり、作品を楽しみにしている多くの人の為でもある。クリエイターが創作しやすい日本になって欲しい、そしてウチはもっともっと面白いコンテンツと出会いたいのですよ。

2013-02-25 11:33:33
青木文鷹 @FumiHawk

[オマケ]作品を“依頼されて買い取りで作製する場合”は、下請法に準拠した契約書を作りましょう。書面交付しないと違法になるのできっちり書類作ってもらいましょう。最低限の知識は【コンテンツ取引と下請法】(公取・PDF)を読めばおkです。→http://t.co/XNF0dUrjq6

2013-02-25 11:34:17