あみだくじと群論(あるいは一刻館に関する考察)
(35) (続き) (ab)→(bc)→(ab)という3本の横線の組をB左タイプ、(bc)→(ab)→(bc)という3本の横線の組をB右タイプ、ということにしましょう。Aタイプは何も書いてないのと一緒、B左タイプとB右タイプはおんなじことで、続けて書くと無効ですね。
2013-02-16 00:58:19(36)さあ、まずは横線が一切ないあみだくじからスタートです。そこにAタイプを好きなだけ書き、B左タイプとB右タイプの連結を好きなだけ書きます。途中でB左タイプが生じたら、好みに応じてB右タイプに書き換えてOK,逆にB右をB左に取り替えるのももちろんOKです。(続く)
2013-02-16 01:01:34(37) (続き)これを好きなだけ続ければ、いくらでも、見た目が複雑なあみだくじが作れますね! ということでめでたしめでたし......でもいいのでしょうが、数学の立場からすると、「それ以外の方法では複雑な無効くじは作れないの?」っていうところが気になるのです。
2013-02-16 01:02:52(38)そしてその答えは「はい、これ以外にありません!」です。証明はちょっと難しいので割愛しますが、こういう命題が証明できてしまうところが、数学の魅力の一つだと私は思います。詳しく知りたい方は、群論の書物かサイトかで『生成元と関係式』というところを調べていただけるといいかもです。
2013-02-16 01:10:18(38番外)意欲ある人、あるいは数学に詳しい人のために。無効なあみだくじを作るためにはタイプAとタイプBのことだけ考えていれば十分、だと思うんですが、対称群の関係式を、ということであれば当然タイプCとして「互いに離れた隣接互換は後先が関係ない」ことをいうべきですね。
2013-02-16 01:23:10(39)これも通向けの話ですが、タイプBの性質を、数学や物理では「組み紐関係式」といいます。なんで組み紐(braid)なんでしょうか、ここでは述べられませんが、これが数学者のみならず物理学者も興味を持たざるを得ない対象です。
2013-02-16 01:27:18(39番外)もう一つついでにいうと、私が大学や大学院で勉強していたことの一つの中心が Yang-Baxter 方程式というものなんですが、これが本質的には組み紐関係式なんですね。ボロアパートの引越しの話も、そういうつもりで考えていくと、けっこう最先端までいけるんですね。
2013-02-16 01:29:07(40)ずいぶん長くなってしまいました。某めぞん一刻のことなんかまぜてるからだよなあ。こんな時刻まで読んでくださった方がおられるかどうかわかりませんが、ありがとうございました! あみだくじ、すなわち対称群の話はどこまでも尽きないのですが、今夜のところはここまでで!
2013-02-16 01:31:11@yon_ichiro こんばんは、お久しぶりです。とても興味深く聞かせていただきました。群論は何度も学んでみようとして挫折した分野だったのですが、もう一度チャレンジしてみたいなと思えました。遅くまで丁寧にありがとうごさいました!
2013-02-16 01:38:49@melting___point こんばんは、読んでいただきありがとうございます! 群論はあまりに抽象的に学ぼうとするとちょっとつらいかも知れないんですが、具体的なモノを動かすことを考えると、かなり納得しやすいと思います。長々としたツイートですが、少しでもお役に立てば幸いです!
2013-02-16 01:48:31@yon_ichiro 分子の対称性などを議論する際に、よく群論が出てくるので学んでみたことがあります。 あみだくじは線の引き方によって全部のパターンを得られるそうですが、15パズルやルービックキューブは違う、みたいなこともどこかで読んだ記憶があるので、調べてみようかと思います。
2013-02-16 10:52:42@melting___point はい、群とはそもそもの発祥も現代での使われ方も、「対称性」であるといってよいと思います。15パズルは可能な移動が15次対称群の部分群になっています。ルービックキューブの群はけっこう複雑ですが、これは書籍も出てますね。どうぞお楽しみください!
2013-02-16 15:17:19任意の置換群は単純置換の積に置き換えられるとかうんたらかんたら……。あみだくじと考えるとわかりやすい、って言われてなるほど!!って思ったけど、あみだくじが本当にすべての組み合わせを取りうるかっていうのは考えたことなかったなあ。
2013-02-15 23:29:19@gacky_vortis そうですね、n元からなる集合からそれ自身への全単射すべての集合をn次対称群といい、その部分群を置換群というのですが、まあ要するにあみだくじだよな、って思えばわかりやすいですね。ただ、そう思う以上は、どんな組み合わせも作れることは確かめておきたいのです。
2013-02-16 02:01:35@shishi_koma そうですね、これが現実的ですよね。そして、これが中央から(私の連ツイでいうところの)タイプA,タイプBのパーツを変形したりほどいたりしていくと、必ず全部の横線が消えてしまうのが面白いところです。
2013-02-16 02:15:49