関東ロームってどうやってできたの?

@HayakawaYukio さんによる関東ロームの成因に関するツイートのまとめ
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早川由紀夫 @HayakawaYukio

「関東ローム」という言葉は一部の教科書に載っている。しかし「関東ローム」がどうやってできたかを正しく知っている日本人はごく少ない。社会の知というものは、せいぜいそんなものだ。

2010-09-15 17:03:50
早川由紀夫 @HayakawaYukio

きのう話題にした「関東ローム」。関東平野の西にある富士山や浅間山が噴火して降り積もった火山灰だとふつう説明されるが、それは間違い。ほんとうは、河原や畑の土が春の強風で巻き上げられて風下側に降り積もってできた。4月5月に盛ん

2010-09-16 07:19:31
早川由紀夫 @HayakawaYukio

火山というものはめったに噴火しない。富士山はもう300年も眠っている。いっぽうロームは毎年0.1ミリ、100年で1センチ、1万年で1メートル積もる。関東地方の河原や畑の土には火山灰がたくさん露出しているから、関東ロームの構成物にも火山灰が多い。

2010-09-16 07:19:58
早川由紀夫 @HayakawaYukio

火山が噴火しなくても、ロームは毎年積もる。火山が噴火すると、ロームの間に軽石や火山灰が挟まれる。宝永スコリアや東京軽石だ。最近1万年間のロームは、不思議に黒い。黒土という。人間が植生をいじった結果のようだ。

2010-09-16 07:22:01
早川由紀夫 @HayakawaYukio

関東ロームを水洗いして中から鉱物をみつける実験手順が学校教科書にのっている。そうやって石英だの角閃石だのを子どもたちに自分でみつけさせて顕微鏡の下で観察させる手順はよいのだが、「火山灰がはいっているからローム層は火山の噴火でできた」と結論させるのは間違っている。

2010-09-16 07:25:37
早川由紀夫 @HayakawaYukio

噴火で東京に火山灰が1ミリ積もっても、それはたいへんなことになる。2009年2月2日の浅間山噴火で横浜に降り積もった火山灰はわずか0.001ミリ。もし、あの1000倍の噴火が10年に1度起こるのなら、東京にはとても住めないはず。でも住んでる。

2010-09-16 07:37:24
早川由紀夫 @HayakawaYukio

毎年0.1ミリのロームは、4月5月の50日に毎日0.002ミリずつホコリとして堆積してできた。だから、関東の春は、掃除がたいへんなんです。関西も春の掃除はたいへんだろうが、関東と比べたら、まし。風で飛びやすい火山灰の露出が少ないせいです。

2010-09-16 07:40:49
Nobusuke Iwasaki@つくば @wata909

関東ロームが風成二次堆積物だとするなら、一次堆積物に比べて、粒度とか鉱物組成とかが変わるはずだが、そういう話は聞いたことがない。というか、光学顕微鏡で見られるほどの鉱物が風に飛ばされて二次堆積するんだろうか。

2010-09-16 07:42:08
早川由紀夫 @HayakawaYukio

ホコリがなぜ4月5月に集中するかというと、地面が緑でまだ覆われていないから。そして強風が吹きやすい。太陽高度が高くて、地表が乾燥しやすい効果がこれに上乗せされる。6月の梅雨の時期をすぎると、日本の地表は緑ですっかり覆われるから、ちょっとやそっとの風ではホコリがたたない。

2010-09-16 07:44:14
早川由紀夫 @HayakawaYukio

冬は、緑が枯れて土が露出するが、気温が低いために湿っていて、風が吹いてもホコリがたちにくい。地面が乾くのは、桜が開花するころ。だから日本の花見は、ときにじゃりじゃりなんです。

2010-09-16 07:46:30
OHTSUKA Ko-hei @kokogiko

@wata909 火山学者さんということなんで、「へぇ〜」ボタン押しながらリツイートしたんですが、どうなんでしょう。黄砂もはるばる飛ばされてくるので、あり得る話かなとも思ったんですが、黄砂とは粒子サイズがが違うんでしょうか。

2010-09-16 07:48:42
早川由紀夫 @HayakawaYukio

ローム層の堆積には気候が重要。世界中どこにでもあるものではない。日本にはもっとも有利な条件が整っている。ニュージーランド北島もそう。アイスランドとカスケード(北米)には、ロームに似るがやや違う泥炭が堆積している。大陸の真ん中や地中海の火山にロームはほとんどない。砂漠だから。

2010-09-16 07:53:32
早川由紀夫 @HayakawaYukio

熱帯はよくわからない。すくなくとも最近1万年だと、噴火で降り積もった軽石や火山灰の上下に黒土があるが、古い時代はよくわからない。ジャングルで露出がほとんどないので調べられていない。

2010-09-16 07:56:47
松浦晋也 @ShinyaMatsuura

そうだったのか!RT @HayakawaYukio きのう話題にした「関東ローム」。関東平野の西にある富士山や浅間山が噴火して降り積もった火山灰だとふつう説明されるが、それは間違い。ほんとうは、河原や畑の土が春の強風で巻き上げられて風下側に降り積もってできた。4月5月に盛ん。

2010-09-16 08:00:37
Nobusuke Iwasaki@つくば @wata909

@kokogiko RTされてる中にもありますが風に飛ばされるものの多くはホコリといえるぐらいの細かいものです。一方でロームと呼ばれるのもはそれよりも粒径の大きなものも含まれています。そう考えると、全部が全部に風成の二次堆積と考えるのは無理があると思います。

2010-09-16 08:03:32
早川由紀夫 @HayakawaYukio

過去の情報を現在に伝える唯一の物質が地層です。地層がどうやってできたかは、その構成物の種類だけからではわからない。堆積学的な考察が必要。物理のひとには流体力学といっておこう。ロームを実験室に持ち帰って水洗いする手順は、過去を知るための重要なプロセスを切り捨てたやり方だ。

2010-09-16 08:06:32
早川由紀夫 @HayakawaYukio

そのやり方にも、それなりの価値はある。石英や角閃石の鉱物学的特徴を知ることができる。ただし過去に起こった事件を復元したいと思うのなら、ロームが野外に置かれたままでその特徴を調べる必要がある。崖を下から上まで丹念に観察する。あたりをうろうろ回って分布を調べて地図をつくる。

2010-09-16 08:08:56
早川由紀夫 @HayakawaYukio

実験室に持ち帰って分析する手法は簡単だし、確立されているし、安全だから、教科書には載る。でも、地球を探求しようとするときにほんとうに大切なことを、置き忘れてないか。

2010-09-16 08:11:04
Nobusuke Iwasaki@つくば @wata909

@kokogiko 昔々はそういうことをやっていたのですが、今は「どっちにしたって、最近のもんだから良いじゃん!」ぐらいの感覚で見ています。最近といっても千年、万年スケールではありますが、十万とか百万じゃないので、同じようなものかとw

2010-09-16 08:11:43
時雨尚未知/makrone @n_shigure

mjd!?RT @ShinyaMatsuura RT @HayakawaYukio 「関東ローム」。関東平野の西にある富士山や浅間山が噴火して降り積もった火山灰だとふつう説明されるが、それは間違い。本当は、河原や畑の土が春の強風で巻き上げられて風下側に降り積もって…4月5月に盛ん

2010-09-16 08:13:12
矢口裕之 @yaguhiro

この話は失礼な笑い話ではあるが、この地域が内陸の冬寒く夏暑い温度環境にあり、岐阜を除いて火山灰土の地域で風塵量が多い場所なのではないかと思う。晴天率の高さ、季節風、火山起源の風塵は女性のお肌に良い訳はないよな〜。と思った次第。

2010-09-16 08:14:56
早川由紀夫 @HayakawaYukio

私のローム研究は、1990年代に精力的にやったものです。いまウェブでは、1996年に書いたこの文章を紹介します。 http://ht.ly/2EVh2 大学生向け教科書の一部です。私はその後、他者を説得することをやめて、これを前提とした噴火データベースづくりに進みました。

2010-09-16 08:22:20
早川由紀夫 @HayakawaYukio

噴火データベースはこれです。 http://ht.ly/2EVmq 噴火2000年とテフラ100万年からなります。後者は日本を6地域に分けてつくっています。ちょうどきのう更新したばかりです。今回の更新では、100万年北海道のレコードを大幅に増やしました。長谷川さんスゴイ。

2010-09-16 08:27:14
まと@P @mato003

地盤工学的には、関東ロームと言う名の風化シルト層が関東地方の洪積台地に広く厚く分布している、という事実だけが重要で、通説が間違いと言われても、工学的性状に影響しなければ、鈍感になるのは仕方ない。

2010-09-16 08:27:57
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