第一回大罪大戦《正4の狭間》【戦闘フェーズ02】

紅(ルージュ)は憤怒、ラース[ @RougeWrath ] 黒(ノワール)は怠惰、アーチェディア[ @klown_sin ]
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【アーチェディア】 @klown_sin

瞬間、男の周囲に浮かぶは10を超える結晶鏃。男が現状用意し得る最大総数にして最大威力。服から下がる結晶は、最早一つたりとも残っていない。 「『停滞』れぇぇぇぇぇぇェッ!」 咆哮、飛翔。紅き空に舞い上がり、渦を巻く結晶群。天から降り注ぐ流星が如く、『憤怒』目掛けて一斉に放たれた。

2013-06-29 15:58:23
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

世界が動き出すと同時に男の纏う炎も揺らめき始める。そして、その炎が爆ぜるように一瞬大きく噴き上がる。男はその一瞬だけ時間を取り戻した。「破ァッ!」男は握り締め、止められた右の拳を地面へと叩きつける。本来ならば拳の衝撃で地面を抉り取るほどの重さ。→

2013-06-29 17:14:26
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→しかし、男の拳は赤熱し地面を溶かしながら沈み込んで行く。そこで男の時間はまたしても停まる。しかし、完全には停まっていない。男は歯を食いしばり、小さく重く軋みを上げる。その瞬間、飛来する十数もの結晶から男をさえぎる様に地が火柱を吹き、爆ぜた。その爆心地は男の右拳だった。→

2013-06-29 17:14:35
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→その赤熱した岩の弾は防壁のように結晶に立ちはだかる。数多、結晶を真正面に受け止め相殺する。三つ、結晶を側面から殴りつけるように軌道を男から逸らす。二つ、男の下に飛来し身体を庇う様に地に突き立った右腕に刺さる。一つ、男は首だけを動かし、最後の一つに喰らいついた。→

2013-06-29 17:14:43
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→男は炎を吐き出しながら、喰らい着いた結晶を溶岩へと吐き捨てる。そして、停まった右腕をそのままに立ち上がった。右腕は千切れ地面に突き立ったままだ。男は肩口から大量の血汐を垂れ流す。男は既に時間を取り戻していた。「我が『憤怒』は停まろうとも、決して収まらぬ!」男はまた敵へ駆け出す。

2013-06-29 17:14:53
【アーチェディア】 @klown_sin

響く、轟音。世界を抉らんばかりに立ち昇る焔柱が、視界を埋め尽くす。それを前に、全ての音は消え去った。蒸発すら生温く、奔流に触れた結晶は消滅。ラースの拳に触れた結晶は原型も留めず粉砕。唯一直撃したものは、地に残された腕に刺さったまま何の効力も及ぼさない。咆哮が、男の身を竦ませる。→

2013-06-29 18:16:33
【アーチェディア】 @klown_sin

最早、その身体を戒める停滞は存在しない。再び掛ける手段は、命を賭すに等しき方法のみ。 この『憤怒』を、男は知っている。同時に、男は知らない。 『憤怒』を向けられるのは、我らに楯突く他者であったから。同胞に害なす敵であったから。 ――そしてその『憤怒』は今、自分に向けられている。→

2013-06-29 18:26:28
【アーチェディア】 @klown_sin

咆哮に竦んだ意識が戻ったのは、一瞬の空白の後。しかしその刹那は、大罪たる彼らの戦において致命的な時間となる。迫る『憤怒』。胸中に抱いた感情は、男を前に踏み出させない。一歩、後退る。 瞬間、男の右足は蒸発していた。囲う溶岩流。退路など、何処にも無く。 『憤怒』との距離は、最早無い。

2013-06-29 18:32:29
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

地が爆ぜる轟音が響き渡る中、この狭い戦場は静寂に支配されていた。男の雄叫びをでさえ耳には届かない。男は駆ける中残った左の拳を上げ、腕を引き絞る。力を溜める。男が敵に向ける拳はいつであろうと全力だった。そして、今回も例外ではない。やがて『怠惰』が見た空白の刹那の間に男はそこにいた→

2013-06-30 03:00:45
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→男は敵を間合いに捉えると、一瞬の戸惑いも容赦も無く、その無慈悲な拳を解き放つ。その瞬間、男は何かを叫んでいた。しかし静寂が支配する戦場ではその声は届かない。ただ男の顔には鬼の様な表情が浮かぶ中、その両目からは紅く輝く筋が伸びていた。

2013-06-30 03:01:07
【アーチェディア】 @klown_sin

迫る拳を睨みつける視線。されど効果はない。『停滞』は、その勢いを如何許も止めない。割り込ませるように、翳す左手。残る手段は、接触による直接『停滞』。百分の一、或いは万分の一の刹那を以って、その拳を止めてみせると翳した掌が、迫るラースの拳を、掴んだ。 ――瞬間、男の左手が爆ぜた。→

2013-06-30 20:23:21
【アーチェディア】 @klown_sin

間違いなく、掴んだ。完璧なタイミングで、男は『停滞』を発現させた。 ――されども、『憤怒』は停まらない。爆ぜた手を吹き散らさんが如く、振られる拳を妨げるものは最早無い。男の顔が、驚愕に歪む。最後に与えられた時間は、たったそれだけ。顔面に、突き刺さる拳。聞くに耐えない音が、響く。→

2013-06-30 20:28:21
【アーチェディア】 @klown_sin

そのまま、首ごと落ちてしまうのはないかと、錯覚させる程の拳打。『復讐』に駆られた『憤怒』の拳は、何よりも重い。激突。一瞬の間。遅れて衝撃が伝わったかの如く、吹き飛ばされる、男の身体。追突の音は、遥か彼方の火山から。それが引金となったのか、かつてない程巨大な大輪が、紅の天に咲いた。

2013-06-30 20:36:44
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

男は掴まれた左の拳に怒りを炸裂させ、流し込まれた『停滞』を自らの拳の肉ごと吹き飛ばす。そして、停まらぬ拳をそのまま殴り抜けた。飛んでゆく敵を見ることもなく、男は衝突音と噴火音を聞き届ける。「ォォォオオオオオ!!」男は空に叫ぶ。世界は時間を取り戻し、すべての火山が一斉に火を噴いた。

2013-06-30 22:24:28
【アーチェディア】 @klown_sin

噴煙が上がる。火焔が天を衝く。咆哮が、世界を貫く。『狭間』の色が、『憤怒』へと染まっていく。ただただ焦土と灼熱によって構成される世界。遥か彼方、火山の裾。崩れる瓦礫と噴煙を、あの男ごと、火口から流れる溶岩流が飲み込んで―― 「――『The Seven Deadly Sins』」→

2013-06-30 23:21:41
【アーチェディア】 @klown_sin

それは轟音の中でさえ、静謐に響く声。瞬間、世界を渡る罪科は、『停滞』。 「――七星奈落<アディシェス・アバドン>!!」 鍵語と共に、男の罪科が覚醒する。 熱気が、焦土が、溶岩が、男の周囲から吹き飛ばされる。広げるは、二対の翼。纏うは、紫色の霧。万物を『停滞』させる、死毒の吐息。→

2013-06-30 23:21:52
【アーチェディア】 @klown_sin

翼が、空を掴む。霧の向こうに見える姿は、総身を結晶に覆われた男。見下ろす視線は、憤怒を捉えていて。閃く翼。瞬間、飛翔。霧が凝固し、生み出されるは、大槍が如き一振りの結晶。憤怒へと向けた、突撃。 ――最早、長くは保たない。死に体を強引に動かしているに過ぎない。果たして、あと何合か。

2013-06-30 23:21:58
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

男は空飛ぶ悪魔を視界に捉えると、大地に右足を突き立てる。同じく、左足も突き立てる。そして、敵に向かって吼えた。「唖ァァァアアアアアーーー!!」それと同時に男が燃え上がり、自身が大きな火柱となる。そして、男は左腕を大きく広げる。その手は肉が消し飛び、骨と僅かな肉が残っていた。→

2013-07-01 00:08:15
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→ただ、動く。動けば戦える。「唖ァァッ!!」燃え盛る炎はかつて男の身体を焼き尽くし清めた時のように、煉獄の炎としての色を鮮やかに取り戻しつつあった。男はその炎にその身を焦がしながら構えた。飛来する結晶塊を受け止めようと大きく構えた。

2013-07-01 00:20:08
【アーチェディア】 @klown_sin

此方、『停滞』の氷を纏う『怠惰』。彼方、『復讐』の炎を纏う『憤怒』。駆け抜け、そして待ち構える。彼我の間合いが詰められるのは、まさしく刹那の出来事。衝突。圧縮された大気が、二人の間に吹き荒れる。猛る火柱に、穿つ氷柱。拮抗する。二人の罪科が、今此処にせめぎ合う。世界を、削るように。

2013-07-01 00:55:33
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

二つの罪がぶつかり合い、停滞と流転を繰り返す世界は徐々にその衝突点から崩壊を始める。その崩壊により世界の欠片が飛び散る。そして、火柱も氷柱も割れる。世界に虚空が広がり往く中、悪魔と鬼を繋ぐ道ができた。

2013-07-01 01:15:20
【アーチェディア】 @klown_sin

『狭間』の内に生まれる空隙。それはさながら『特異点』。世界を満たす熱気も、広がる冷気も、其処には何もない。二人を、邪魔するものは何もない。 「……ラアァァァァァァァスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」 振りかぶる、左手。『停滞』で停めたそれは、ただの肉塊。渾身の一撃を、叩きつけた。

2013-07-01 01:42:40
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

「ァアーーチェディアァァァ!!」男は敵の渾身の左手を腹、身体の芯で受け止め、敵をその懐へ迎え入れる。男の身体は大地へ沈み込み、あたりに溶岩と土煙が噴き上がる。そんな舞い散る塵芥の中、男は懐の敵を左腕で包み込む。男の身体はもはや炎に包まれていない。→

2013-07-01 02:01:27
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→ただ、悪魔の左拳が突き刺さった男の腹に亀裂が走り、紅き血汐と僅かな炎が噴出した。僅かな種火。それが『罪』に引火する。男は決して敵を逃がさない。男の左腕はギリギリと軋みを上げながら、締め付け『停滞』してゆく。その左腕と腹は黒く炭化し始めていた。

2013-07-01 02:01:41
【アーチェディア】 @klown_sin

振りぬいた拳が、ラースへと突き刺さる。身体へ、沈み込む感覚。瞬間、男は締められている事に気付いた。引き抜く事の出来ない左腕。解く事の出来ない身体。『停滞』の罪科を持つ男が今、その動きを停滞させられる皮肉。拳の先から、溢れる火花。左手の感覚がなくなっていたのは、ある種幸運だった。→

2013-07-01 23:14:00