第一回大罪大戦《正4の狭間》【戦闘フェーズ02】

紅(ルージュ)は憤怒、ラース[ @RougeWrath ] 黒(ノワール)は怠惰、アーチェディア[ @klown_sin ]
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黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

空虚な狭間が憤怒に染まる。そこは激しく怒りを噴き上げる火山の麓だ。そこに突如紅く光り輝く亀裂が現れる。その亀裂は炎を噴出しながら徐々に広がっていく。そこから現れたのは燃える巨漢。全身が焼け爛れ、赤熱した血汐を流す筋骨隆々の男だ。→

2013-06-28 20:21:40
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→「ぉぉぉォォォオオオオオ!!」爛れる男が雄叫びを上げると背後の火山が更に激しく噴火を始める。山頂は紅く光る大輪の花を咲かせ、辺りには火山弾と鮮やかに光る溶岩が撒き散らされる。

2013-06-28 20:21:53
【アーチェディア】 @klown_sin

――瞬間。まるで、時が止まった気さえした。吹き出す火柱が、動きを止める。撒き散る溶岩が、冷却された様にその流動を止める。空間を埋め尽くしていたまとわりつく熱量が、吹き払われる。異常だと、誰の目にも明らかだった。荒地を叩く、足音。向ける視線、その先には、一枚の扉。そして、男の姿。→

2013-06-28 22:01:54
【アーチェディア】 @klown_sin

「……あぁ、なんだ。やっぱり此処はお前の『世界』か。『憤怒(ラース)』」 流れる銀髪。腰から生える萎びた二対の翼。隈に縁取られたその瞳が、男を捉える。気怠げなその雰囲気は、その『怠惰』は変わらない。唯一違うのは、欠落した腕か。その姿はまるで――『強欲(アヴァリーティア)』の様で。

2013-06-28 22:10:57
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

世界が停まり行くのを感じたとき、男は目の前の扉に向けて駆け出していた。男はこの敵を知っている。「『怠惰』ァァァアアアアア!!」だからそこ全力で殴りかかろうと駆け出した。扉が開き、アーチェディアの姿が見えたとき、男はあと十五歩まで迫っていた。→

2013-06-28 22:27:12
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→「『裏切り者』めがァ!」男は隻腕のアーチェディアを見て吼える。男は更に激しく燃え上がる。男は更に強く力む。そうして赤熱した血の涙を流しながら男はアーチェディアへと迫る。――あと十歩。

2013-06-28 22:27:28
【アーチェディア】 @klown_sin

『憤怒』の檄が、男の総身を叩きつける。記憶のままだ。変わらない。コイツの怒りは、相変わらず留まる事を知らない。『裏切り者』と、憤慨する思いも。距離は、瞬く間に縮まっていく。一歩の度に、熱量は加速度的に増していく。『憤怒』の踏む足元は、一歩の度に蒸発していた。血涙が、地を焦がす。→

2013-06-28 22:45:57
【アーチェディア】 @klown_sin

彼我の距離は、既に五歩。嫌悪する臭い。迫る熱が、男の髪先を焼いている。男の身ですら、呼吸さえ苦しくなってくるほどに。男は、動かない。あぁ、その距離はもう既に拳の間合いに入っていた。

2013-06-28 22:52:50
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

アーチェディアに届く最後の一歩に向けて男は大きく拳を振りかぶる。「憤ッ!」そして、その踏み込みと同時に上から叩きつけるように赤熱した拳をアーチェディアに向けて振り下ろす。狙いは身体の中心。アーチェディアを叩き潰して殴りぬけようとする勢いだ。

2013-06-28 23:02:57
【アーチェディア】 @klown_sin

振り翳された拳。宿る熱量は、大気すら通り様に爆ぜさせる程に。それはさながら、隕石だった。落下。そして、衝撃。その対象、直下たる男に向けられた一撃が、男へと。溢れんばかりの威力が、その余波だけで大地を抉る。 舞い上がる粉塵。その砂埃が、渦巻く熱に蒸発する。かかる霞を、熱風が払う。→

2013-06-28 23:24:23
【アーチェディア】 @klown_sin

――そこには、男の姿。 掲げた左掌が、『憤怒』の拳を掴んでいる。否、それはただ、合わせているだけだ。脚は身体を支えきれずに崩れ落ち、膝をついた地面には大きなクレーターが刻まれている。支える腕は衝撃に震えており、掴む掌は、今この瞬間さえ熱によって焼け爛れている。→

2013-06-28 23:24:34
【アーチェディア】 @klown_sin

「……なぁ」 流れる銀髪。その隙間から、伺う瞳。 「……満足か、これでよ」 『怠惰』かと疑う様な、声色。 諦めを乞う様なその視線が、『憤怒』をまっすぐに見据えていた。

2013-06-28 23:24:49
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

「まだだ……」男は更に力む。「まだ足りんッ!」力む。炎が男を包み、その炎がアーチェディアにも襲い掛かる。「貴様ら『裏切り者』を滅ぼすまでは!!」空いた左の拳を出すわけでもなく、だた押しつぶそうと殴りつけた右の拳に力を込める。男の全身の筋肉が脈動し盛り上がる。「否!滅ぼしても尚!」

2013-06-28 23:38:41
【アーチェディア】 @klown_sin

「……あぁ、そうかよ」思わず、苦笑が漏れた。お前はいつでもそうだった。一度決めた事を、直情的に貫いていく。かつては規律を。そして今は『裏切り者』というレッテルを。そうだよ、俺は、お前のそんなところが――「……昔から気に食わなかったんだよォッ!」掴む熱拳。流れる波動は、『停滞』。

2013-06-28 23:50:06
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

男の身体に直接『停滞』が流れ込む。それは身体の芯までとても速やかに侵攻して来る。男の身体は停まり、その纏う炎も時が停まったようにその揺らめきを停める。そして、静寂が訪れた。

2013-06-29 00:02:04
【アーチェディア】 @klown_sin

吐いた息が、熱い。滞る熱気に、思わず咽る。止まった炎と『憤怒』の姿、拳から手を離して。「あぁ、そうだ。前からそうだ」気に食わない。お前が、俺を『裏切り者』と呼ぶ事を。 ――そんな風に、見て欲しくなどないのに。 ラースの顔へ、向けるは拳。愚直なまでの、ただの一撃が、振り下ろされる。

2013-06-29 00:23:48
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

アーチェディアの拳が容赦なく男の顔面にめり込み、鼻骨が砕け、赤熱した血液を撒き散らす。だが、停滞しても尚、その頑強な肉体の硬さは変わらない。そして、ゆっくりとその身体が熱を取り戻し始める。「アー……」男の肉体が軋みを上げてゆっくりと動き出す。→

2013-06-29 00:52:20
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→「チェ……」音を口にするたびに口から炎が噴出す。そして徐々に右の拳が重さを取り戻す。「ディ……」拳の速度はとても緩慢だ。「ア……」しかし、その力は万力のように重い。「唖ぁァアア!」叫びと共に一際大きく炎が口から噴出す。男の体内をかつてその炎がそうしたように焼き尽くしてゆく。→

2013-06-29 00:52:29
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→そして、停まった世界が動き始める。男の動きに呼応するように地を這う溶岩流がその流動を取り戻し始める。

2013-06-29 00:52:43
【アーチェディア】 @klown_sin

「……っ!?」不意に起きた変容に、男は虚を衝かれた。止まったはずの世界が、『停滞』の世界が、再び巡りだしている。馬鹿な。いったい、何が起こっているというのだ。二人は『原初の大罪』であり、その在り方に上下の差は殆ど存在しない拮抗。だが、これは――まさか、アイツの『憤怒』が、俺を。→

2013-06-29 01:25:59
【アーチェディア】 @klown_sin

凌駕しているとでも、いうのか。その在り方が、その罪科が。俺を、この『怠惰』を。 吠え猛る声。響き渡る咆哮に、男の背筋に悪寒が走る。マズいと、心の何かが警笛を鳴らしている。瞬間、男は後方へ跳んでいた。展開するは、衣服からちぎれた3の結晶。鏃たるそれは、炎纏う男を貫かんと、空駆けた。

2013-06-29 01:29:23
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

男の動きはアーチェディアが後ろに飛びのく速度には到底及ばない。「『紛い物』めぇぇぇ!」男の動きは未だに緩慢。飛来する結晶を避けることなど到底適わない。男の身体は飛来する結晶に貫かれ、結晶は男の体内へと侵入する。傷口から紅き血汐をあたりに撒き散らし、その身体はまた『停滞』する。→

2013-06-29 01:55:55
黒の憤怒:ツォルン @whiteplays_sin

→しかし、地を這う溶岩流は停まらない。それどころか、火口の上空に留まる大輪の花に重なるように新たな噴火が始まる。目の前の男は完全に沈黙しているにも関わらず、世界は確実に流転し始める。

2013-06-29 01:56:05
【アーチェディア】 @klown_sin

飛び散る血汐が大地を紅く染め、周囲に赫怒の熱を振りまいている。融解する大地は、さながらマグマの如く。放った結晶が『憤怒』を貫き、『停滞』する様子を見ても、男の焦燥は止むことを知らない。何も、変わっていないのだ。むしろ状況は刻一刻と悪化の一途を辿っていた。また一つ、火柱が上がる。→

2013-06-29 15:38:40
【アーチェディア】 @klown_sin

流れ出るマグマの総量は甚大。既に二人の周囲は、まるでリングが如く囲われていた。逃げ場など、何処にも無い。男の心臓が、早鐘の様に打ち鳴らされる。満ちる熱が、男の思考をも焼いていく。速く、一刻も早く『憤怒』を止めねばならない。『停滞』ではない。その命を以て、『終焉』を与えなければ。→

2013-06-29 15:44:25