第一回大罪大戦《負－１の狭間》【戦闘フェーズ02】

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

人間が好きだった。 だから人間になりたかった。人間を羨ましいと思った。 あの人たちは、羨みを成長に変えていくだろうと期待した。だから機械に嫉妬を装備させたのだ。 しかし、機械が選んだのは八つ当たりにも等しい行為だった。 『レヴィアタン』、この権能がその証左だ。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「…怖いかしら？」 穴のそばへより、しかしバランスの取れない身体で穴の底を覗くようなことはせず上からカラクリへ声をかける。 「死を前に恐怖する…貴女にも感情があるじゃない」 息を乱しながら言葉を紡ぐ。 「ちゃんと自分の事を…自分と向き合えば貴女にはまだまだ…」→

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

人間から、彼らと家族同然のペット、同種の生物、生物全体、そしてそれを養う自然を。 あらゆるものを妬み、妬み尽くして、気づけば世界を破滅させていた。 好きが裏返り、全部を嫌いになった。 でも、何もかもに嫉妬するしかない自分が、一番嫌いだった。

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

「貴女の敗因はそこなのよ」 息を乱しながら、けれどもその顔は、その心は誰が真意を知るのだろうか。 「戦いは演劇じゃない…台本なんてないんだから『機械仕掛けの神』では勝てないのよ。 貴女は自分と向き合う恐怖に負けて役者にならなかった…それを乗り越えていたら違ったはずよ」→

暴食(イストリーブ)の色欲(かあさん) @reclew_sin

→「おやすみなさい『機械仕掛けの神』、次はせめて…舞台に上がってきて頂戴」 女は這いずりながら現れた扉を目指す。 「恐怖を乗り越えられるかどうか…次回までの、宿題よ？」 近づくことで自動的に開かれた扉を、女が一人で潜った。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「私は……神でなく、DXM-03という機械でなく……人間になりたかった。皆様と一緒に笑って、泣いて……ない、て？」 頬を液体が伝った。それは貫かれた眼から漏れだした循環液であったが、 「あ……泣いてる……？ 私は……泣いてます？ 私は」 右腕を頬に当て、確かめるようにして、

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

そうして、DXM-03は静かに壊れた。 己の浮かべた笑みに気づかないまま。