無名の大罪大戦:大罪陣営第一交流フェイズ

Twitter創作企画『無名の大罪大戦』第一交流フェイズのログ
0
虚飾《オステンテイション》 @Nnm_ostentation

ふっ——、と。 様々な物が並び、乱雑にしかし、規則的に並んだ部屋の中で、蒐集家の男は笑った。そこに何の感情も浮かべぬまま、笑みをもって、周囲を見回す。 物言わぬ人形、光らぬ鉱物、見たこともないような硝子細工。 それをひとつ、手にしては地に落とした。硝子は砕け、煌めき。

2014-02-07 18:19:35
虚飾《オステンテイション》 @Nnm_ostentation

『虚飾』の座にある男は、それを見下ろしては、虚ろに笑った。 「——ああ、今日も世界は美しく歪んでいるかな」 言葉は誰も居ない部屋に響き、散る。 ぎしり、音を発て、男の腰掛ける椅子は軋んだ。そうして、立ち上がった男は濁った赤いマントを羽織り、かつり、と乾いた音を鳴らす。

2014-02-07 18:21:28
虚飾《オステンテイション》 @Nnm_ostentation

「——僕の、親愛なる罪(同胞)たちは集まっているだろうか」 「まあ、いけばわかるか」 また、笑い、部屋の扉を開け放ち、外へ。 響く革靴の音色に耳を傾けながら、『虚飾』は罪たちが集う方へ、歩を進める。その身を飾るリボンと長い白髪をたなびかせながら。

2014-02-07 18:22:25
レイジ @rage_noname

その部屋には、取り囲むように七つの扉があった。 扉は壁に面していない。何もない空間に、扉だけが、欠けた円形に並んでいる。その内の一つが、音を立てて開く。 「……一番乗り、でしょうかね」 現れたのは、スーツ姿の青年。青年が部屋に入ると、虚空に浮かんだ扉の一つが、崩れ落ちた。

2014-02-07 18:27:10
嫉妬 @noname_envy

灰一色で塗り潰したようなのっぺりとした空の下、静かに降り続く雨の中を傘もなく歩く。 しかし雨粒が彼に触れることはない。…いや。雨粒は彼の髪に、肌に、衣服に落ちた端から、乾いていく。 降り出しそうだな、と思いながらも散歩に出たのが良くなかった。

2014-02-07 18:27:25
レイジ @rage_noname

「……『招集』が掛かるなんて、何年ぶりでしょうか」 振り返れば、青年が入ってきた扉の一つは、崩れて既に存在していない。 残る扉は、六つ。 何かを待つかのように虚空に浮かんだそれを眺めて、青年は両手の指を突き合わせた。 「ともあれ、準備が必要ですね。ティーセットは何処でしょうか」

2014-02-07 18:30:51
嫉妬 @noname_envy

自分は濡れないけれど、地面はゆっくり泥濘んでいくから、少し歩きづらいのが嫌だった。 …まあ、いいか。もうすぐだ。 集まるのは久しぶりだなあと、歩みを止めて目前、頑丈そうな木の扉を、大きく軋む音を立てながら開いた。

2014-02-07 18:36:47
強欲グリード @noname_greed

指先を付き合わせて言った青年の、それに呼応するように。 ダァンと、たった一人の男しかいなかった空間に無骨な音が殴り込んだ。蝶番を弾けさせんばかりのそれに続いて、現れたのは赤い頭。 「おお、二番乗り。レイじゃん久しぶりー」 ひらんひらんと手を泳がせる、その女の背で、扉が崩れる。

2014-02-07 18:39:21
レイジ @rage_noname

ふと部屋を見回した直後に、盛大な音を立てて開かれた扉。 青年は少し目を見開いたが、現れた人物の顔を見て、ぱっと笑顔になる。 「……ええ、久しぶりですね。グリード?」 付き合わせていた両手を、後ろ手に組み直して、緩く頭を下げた。 「元気そうで、何よりです」 眼鏡を直す、指先。

2014-02-07 18:44:40
嫉妬 @noname_envy

先へ広がる空間へ抜ければ、扉はひび割れるように砕け崩れた。 それに構わずそこを見渡し、青黒の髪の青年と紅髪の女が見留め枯葉色の奥、暗紫の目を僅かに細め。 「久しぶりだね、レイジ、グリード。…僕は三番目、かな?」 発された声は、少年の外見にはどうもそぐわない音。

2014-02-07 18:48:37
嫉妬 @noname_envy

「元気、だった?」 からからに乾涸びたような、ヤスリ同士を擦り合わせるような、嗄れた声。 自らの喉から発した音への不愉快さを顔に出ぬよう内心押し殺しながら、薄く笑いかけた。

2014-02-07 18:56:25
レイジ @rage_noname

「……おや、エンヴィーも」 向ける笑顔はそのままに。嗄れた声にも、親しげな声が返る。 「ええ、お陰様で。……おっと、こうしては居られない。全員集まる前に準備をして置かなければ。机は既にあるとして、ティーセットは向こうの部屋でしょうかね?」 向いた先は、虚空に浮かんでいない方の扉。

2014-02-07 18:57:49
【暴食】グラットニー @T7DS_Gluttony

一歩。ズン。一歩。ズン。歩くたびに体重で地面が揺れている錯覚に陥る。しかし錯覚に陥るのはヒトであってワタシではない。ワタシはワタシの愛すべき同朋達を従えて廊下を歩いているだけだ。 ブゥンブゥンと羽音に包まれている。ワタシの周囲をひっきりなしに同朋達は飛び回りワタシに仕えている。→

2014-02-07 19:01:05
【暴食】グラットニー @T7DS_Gluttony

廊下の突き当りにある扉はワタシの髪と同じ、また同朋達の体と同じ青黒い色をしている。のっぺりとした扉のノブだけが金ぴか。ノブを回すとベキッと音がしてワタシの手に収まった。 「さて。さて。ワタシが扉を壊したのは何度目だろう。何度目だろうな?」 同朋達の羽音はワタシの問いに答えない。→

2014-02-07 19:02:23
【暴食】グラットニー @T7DS_Gluttony

ノブが取れた扉は開いた。ならばいい。部屋には入れる。足を踏み入れると扉は蠅の羽音を立てて崩れ去る。 「久しい。久しいな。いや。近々会ったか?まあどちらでもいい。いいだろう。ご機嫌はいかがか。いかがかな?」 太りきった腹から出す声はよく通ってわんわんと反響する。

2014-02-07 19:03:25
憂鬱 @melancolia_nnm

風が吹く。草木が揺れる。擦れ合う音が耳朶に響く。それは途切れることなく降り注ぎ、憂鬱は億劫そうに瞼を持ち上げた。 「……なんだ、騒がしいな」 視界に光が降ってくる。あまりの眩しさに目を眇めながらも起き上がることはせず、身体は大樹の幹に横たえたまま動かない。

2014-02-07 19:03:43
憂鬱 @melancolia_nnm

遊びに付き合う気はないのだが、と呟けば、木々は揺れ。 「呼ばれている?……そうか。起こしてくれたんだな。ありがとう」 渡された言葉に、怠さを抱えながらも起き上がる。揺れる長い黒髪。鋭い緑眼で正面の扉を捉えれば自然と溜息が零れ、仕方ないと言わんばかりの表情で幹から飛び降りた。

2014-02-07 19:03:52
憂鬱 @melancolia_nnm

「行ってくる。さっさと帰れることを祈っておいてくれ」 着地は軽く、歩みは重く。手を掛けた扉を躊躇も無く開き、憂鬱は森を後にする。 そしてその先、広がる空間と、背後で崩れた扉、見覚えのある四つの姿。 「……そんなに大きな声を出さなくても聞こえるだろう」 憂鬱は、また溜息を吐いた。

2014-02-07 19:06:28
強欲グリード @noname_greed

次々に現れる『同胞』、口々のそれに、女は目を細めてにしっと笑う。 「『招集』かかると早いよなぁ。久しぶり久しぶり、俺は元気だし、少なくとも前の時から会ってないし、別にデカい声も出してないと思うぞ」 両手を木の葉のようにひらひらと。聞こえた言葉に一気に返し、女は更に喜色を深める。

2014-02-07 19:12:05
嫉妬 @noname_envy

羽音と共に現れた男を振り返り、また目を細めて。 「相変わらず、騒がしいね、グラットニー」 親しみと懐かしさとを嗄れた声に滲ませて言葉を返す。 「僕は相変わらず、だよ。いつも通り」 続いて現れた黒髪の、発した言葉にまた笑んで。 「メランコリアは、聞かなくても、わかるかな」

2014-02-07 19:12:24
レイジ @rage_noname

「おや、おや、おや、グラットニーもメランコリアも! 賑やかになってきましたねぇ!」 現れた人物に一度ずつ笑顔を向ければ、青味掛かった黒髪の青年は急いだ様子で奥の部屋へと入っていく。虚空に浮かんだ方の扉は、残り二つ。 「少々お待ちを! こっちの部屋でティーセットを探して見ますね!」

2014-02-07 19:13:15
嫉妬 @noname_envy

くすくす、ざらつく声でひとしきり小さく笑って、慌てた様子の青年の背へ声を投げた。 「探すの、僕も手伝おう、か?」 投げながら、ゆっくりと足を進めかけて、ああでも探し物は下手なんだと躊躇った。生まれてこのかた、探し物が見つかったことが皆無に近いくらいには。

2014-02-07 19:21:04
レイジ @rage_noname

「ああ、それなら、手をお借りしてもいいですか、エンヴィー?」 嗄れた声に返ってくる、笑顔。扉を潜ろうとした所で、両手の指を突き合わせながら振り返る。 「一人で探すよりも、二人で探した方が、きっと早いでしょうとも」 その言葉は、心中を知ってか知らずか。眼鏡越しの碧眼が、細まる。

2014-02-07 19:28:17
【暴食】グラットニー @T7DS_Gluttony

聞こえた声は聞いたことがある。久しいものを思い出すのは骨が折れる。しかしきちんと思い出した。ワタシは頭が悪くとも思い出せるのだ。 「大きな声。騒がしい。相変わらず。うるさいか。ワタシは。憂鬱。嫉妬。それはすまない。申し訳ないな」 先と同じ声量で呵々と笑う。→

2014-02-07 19:35:28
【暴食】グラットニー @T7DS_Gluttony

謝るが仕方ない。ワタシは蠅なのだから五月蠅くて当然なのだ。 「ああ。そうだ。憤怒。嫉妬。食い物も一緒に持ってきてくれないか。果物が、いちばんよい。他でもよいが。カビはだめだ。腐るものだ」 重い身体をゆさゆさ揺らして頼む。合わせて羽音がブンブン鳴った。

2014-02-07 19:36:35
1 ・・ 15 次へ