第一回大罪大戦失陣営【戦闘フェーズ02】

元黒(ノワール)は強欲、アヴァリーティア[ @ebleco_sin ] 元紅(ルージュ)は暴食、グラトニー[ @Hajime__sin ] 元虚(ゼロ)の憤怒、李暗愚[ @Alfreat_sin ]
0
暴食(Gluttony) @Hajime__sin

→ ぐるぐると、移り変わる。 「……が、確かに何もありゃしねぇ」 水晶から、目を離す。 「まさか、テメェを『喰わせろ』って訳にもいかねぇしな」

2013-06-29 19:19:17
暴食(Gluttony) @Hajime__sin

「――やるじゃねぇか、あんにゃろう」 視線の先。『強欲』が、啖呵を切っていた。 『傲慢』の城で顔を合わせた時とは段違いだ。 「新人だからって、バカには出来ねぇ――か」

2013-06-29 20:50:04
アヴァリーティア @ebleco_sin

@Hajime__sin 「食えるもんなら、喰ってみろよ?」 同じようなタイミングで、男は顔を上げた。男の周囲には、無数の穴。色違いの瞳は、それでも、あらゆる戦場を眺め続けている。 「もしお前に俺が食えるなら、それは、いいニュースだ。それなら、俺もお前を奪えるって事だからな」→

2013-06-29 22:52:59
アヴァリーティア @ebleco_sin

→がちり、と何かが噛み合う音。男は、その左腕を掲げて見せた。掌を、虚空に向けて握る。無論その手の中には、何も無い。 「……あそこの白服は、強いぞ。俺を殺した位だからな。それでも、『俺のもの(イラ)』は勝つ。アイツが、そう言ったからだ」 男の左腕には、何かを繋いだような跡があった。

2013-06-29 22:57:31
アヴァリーティア @ebleco_sin

がちり、がちり、と。何かが、噛み合う音。 戦場が、交差する。一人倒れる、二人倒れる。 男は、自らの左腕に視線を向けた。刺青の刻まれた、腕。その先には、『右腕』が縫い付けられている。 「止めろ、プライド」 腕の紋章が、ツギハギだらけに変わっていく。 「それだけは、捨てるな」→

2013-06-30 15:05:19
アヴァリーティア @ebleco_sin

→「――お前は、『私のように』なっちゃいけない!!」 『右手』が、男の薄紅色の瞳を覆う。 がちり、がちり、がちり。 まるで、歯車の音が鳴り響くように、残った『唯一の腕』が痛む。 足りないものは、記憶。  ――「ねぇ、アヴァリーティア、『人間だった時』の名前は無いの?」

2013-06-30 15:22:04
アヴァリーティア @ebleco_sin

――「グリード。貴方は、自身の『罪の記憶』に疑問を持ったことはありますか?」 「……無ぇよ。そんなもの。俺には、最初っからそれしかない」 「……お前は」『あなたは』 「無くさせない」『忘れないで』 「連れ出してやる」『迎えに来て』 男は、虚空に手を伸ばす。がちり、と→

2013-06-30 15:47:54
アヴァリーティア @ebleco_sin

┏→ ┏――がちり、と。 ┏────────長針と ┏────短針が ┏────────男の腕の中から、噛み合う音が聞こえた。 「お前は俺の『唯一の』敵なのだから!!」 『あの子は私のたった一つの『誇り』なのだから!』 ――――『忘却』を、――――【拒絶】。

2013-06-30 15:54:44
アヴァリーティア @ebleco_sin

「……行け」 男が、虚空に、手を伸ばす。 浮かんだ『孔』の先、掌。 その中に、 『男と同じ模様の、 継ぎ接ぎだらけの腕があった』。 「そいつは、こっちに持って来い。お前等は、来なくていい。『俺のもの』は、そっちに置いて行く」 握る、拳。 「土産は、そいつ一人で充分だ!」

2013-06-30 22:47:47
アヴァリーティア @ebleco_sin

「別に、難しい事なんて要らないんだ、インヴィディア」 男は、笑っていたような気がする。 浮かび上がった虚像。男は、重なるように手を伸ばす。 「……『全部』だ。何もかもだ」 吹き荒れる、風。虚像と重なった男の腕は、『罪飾り』と重なって、まるで『嫉妬』を守っているように見えた。

2013-07-01 00:59:56
アヴァリーティア @ebleco_sin

┏――がちり、と。 男の腕の中から、 何かが噛み合う音が聞こえた。 継ぎ接ぎの、刺青だらけの、左肩の先に付いた『右腕』。 男は、何も言わない。 『此処には、最初から何もない』。 男は、振り返る。視線の先、また、別の戦場。 「……アーチェディア」 嗚呼、また一人、倒れる。

2013-07-01 01:43:54
アヴァリーティア @ebleco_sin

そうだ、また、一人、倒れる。 「……アーチェディア。俺はさ、お前が言う、『背伸びしてばかりの姫様』が、嫌いじゃなかったよ」 男の視線は煉獄を見ている。まるで昔話をするように、燃え盛る炎と戦場を、眺めている。 友に語り掛けるそれのように、虚空に転がった男の声は、望郷めいていた。

2013-07-01 02:43:51
アヴァリーティア @ebleco_sin

「……嫌いじゃ、無かった」 まただ。『憤怒』の冷たい声が聞こえる。『暴食』が、『色欲』の付けた名前を名乗る。 「……指輪まで、揃いに成る事ぁ無ぇだろ」 虚空に伸ばした、腕。大粒の宝石。 背を向けた、虚像。 男の『唯一の腕』は、まるで鏡合わせのように、少女を、強く、抱き締めていた。

2013-07-01 04:40:30
アヴァリーティア @ebleco_sin

「……割に」 腕を、振るう。その手には何も触れられない。何も掴めない。此処には『何も無い』。 「割に合わないだろ! なぁ、アーチェディア!!」 叫び。何処にも届く筈の無い声。 「どうして! スペルビアがこっちに来なきゃいけない! どうしてインヴィディアが背負わなきゃいけない!」→

2013-07-01 10:32:45
アヴァリーティア @ebleco_sin

→「どうして! グラがあんな顔をしなきゃいけない! ルクスーリアがあんな戦い方をしなきゃいけない! イラがあんな声を出さなきゃいけない! アーチェディア! お前が何でそこまで追い詰められなきゃいけない!?」 「……『俺(レジーナ)』は、こんな世界、望んじゃ居なかった!!」 →

2013-07-01 10:37:15
アヴァリーティア @ebleco_sin

→「……奪い尽くしてやる」 声は、喉を切り裂くようだった。 「全部だ!! 全部こっちに持って来い!! 記憶も、罪も、物も、敵も、世界も、何もかも、全部だッ!!」 視界の先、煉獄。あんな燃え盛る地獄が、他にあるものか。それでも、此処よりは遥かにマシだ。 「手土産くらいは」→

2013-07-01 10:48:10
アヴァリーティア @ebleco_sin

「手土産くらいは用意してからこっちに来い! アーチェディア!! 俺の『腕』がもうそっちに届かないと言うのなら、俺は『此方側』の全てを手に入れてやる!! 許さないぞ、お前等が一人で此処に来る事は、俺が許さない!! 全部だ!! 全部を用意してから、此処に来い! 何もかも、全部だ!!」

2013-07-01 10:52:05
アヴァリーティア @ebleco_sin

┏――がちり、と。 噛み合ったピースは、もう崩れない。 ――忘却を、【拒絶】。 「嗚呼、プライド」『ねぇ、ジン?』 独白。 色違いの瞳は、決して告げないだろう。告げた処で、何に成ろう。 「……『俺(レジーナ)』は、此処に居るぞ」 『……「強欲(わたし)」は、ずっと見てた』

2013-07-02 02:04:48
アヴァリーティア @ebleco_sin

決着。 静寂が、何も無い空間を包み込んだ。虚空から、身体が地に落ちる音が響く。 「……おい。何死んでんだよ。アーチェディア」 『孔』の空いた向こう。伏せた『怠惰』は、動かない。 「お前は、死んだらいけない奴だろ。俺が死んでも、スペルビアが死んでも、お前は死んだらいけない奴だろ」→

2013-07-02 23:47:50
アヴァリーティア @ebleco_sin

→半ば、男は笑っていた。あの怠惰が、地に伏せて動かない。成程、これは、笑える話だ。 「……グラはまだ戦ってんだぞ。インヴィディアはまだ生きてるんだぞ。何で、お前が先に死ぬんだよ。順番がおかしいだろ」 握る、拳。 「逆だろ!! お前は最後まで生きてなきゃいけないんじゃないのか!!」

2013-07-02 23:51:54
アヴァリーティア @ebleco_sin

勝手な話だ。あの戦いは、どちらかが何時死んでも不思議じゃなかった。実際、憤怒もただでは済んでいない。だというのに、男は、今の今まで、『怠惰(アーチェディア)』が死ぬなんて事を、一度も考えて居なかった。 嗚呼、そうか。こういう事か。あいつらは、だから、あんなに怒り狂っていたんだ。→

2013-07-03 00:12:50
アヴァリーティア @ebleco_sin

→「死ぬわけないと思ってる奴が死ぬと、こういう気分になるんだな、アーチェディア」 この握った拳を、何処に向ければいい。 この無間の中で、俺は誰に話し掛ければいい。言っても聞こえないけど、お前くらいにしか、『これ』を向けられる奴なんて居ないじゃないか。俺は、誰に当たり散らせばいい?

2013-07-03 00:16:57