戦慄怪奇学園ダンゲロス「墓場の呪い」 #怪奇ダンゲロス

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

「まあ、そういうわけで、わしらの自慢の角マン専用墓石が完成したわけじゃ」 　と、ジイさんの亡霊が続けた。 「商品ができたら次は宣伝じゃな。わしらは早速、てるこちゃんとムツキちゃんの枕元に立って、『もう一度霊園に来て下さい』とPRを行ったんじゃ」 「はぁ……」 　#怪奇ダンゲロス

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「でも、ムツキちゃんはびっくりさせてしもうてのう。ほれ、みんなで押しかけるから。びっくりさせちゃならんけえ、ワシ一人で行くっつったのに」 　代表者らしいジイさんの亡霊がその時のことを思い出したのかぷりぷり怒ると、たちまち辺りから、#怪奇ダンゲロス

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「甚兵衛どんだけ女子高生の寝間着姿を見るなど許せんかったんじゃ！」「そうじゃ、わしらにも暑さではだけた女子高生の寝間着姿を見る権利があるはずじゃ！」などと怒号が飛び交った。#怪奇ダンゲロス

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　旗色の悪くなった甚兵衛とかいう亡霊は、慌てて話を逸らそうと、 「そ、それとじゃ。わしらはあの時、てるこちゃんが言うとった肝試しの件。あれをぜひやって欲しくてのう。あの時の話を忘れないでくださいね、、肝試しの折にはぜひ当社の角マン専用墓石を……とも伝えたんじゃ」#怪奇ダンゲロス

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「ウヒヒ……。浴衣姿の女子高生が次々やってきてわしらの墓石で角マン……。考えただけで昇天しそうじゃわい。ウヒヒ……」 　てるこが亡霊に言われたという「あの時のことを忘れるな」とは肝試しのことだったのだと気付き、エースは改めておうちに帰りたくなった。#怪奇ダンゲロス

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なお、今、彼の背後では一刀両が「先輩、分かりました！」「角マンは平衡感覚と股関節の筋力を同時に養うトレーニングだったんですね！」などと嬉しそうに叫んでいたが、エースは本当に疲れてたので無視した。#怪奇ダンゲロス

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　一方、老人たちの亡霊も急にしんみりとした表情を浮かべると、 「しかし……。わしらは本当に、幸せ者じゃのう……」 「そうじゃな……。わしらは生前、仕事ばかりで、妻も省みず、息子も省みず……」 「誰も墓参りなど来てくれず、すっかり忘れ去られておった」 　#怪奇ダンゲロス

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「じゃが、こうして女子高生たちが角マンをしに来てくれて……」 「妻もわしたちを支えてくれた……」 「わしらは本当に幸せ者じゃ……」 　そう言うと、老人たちの体がすぅ……っと薄くなっていく。とうとうわしらにもお迎えが来たようじゃのう……などと老人たちは口々に呟いた。#怪奇ダンゲロス

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　そして、彼らの妻たちも、奇印の一物を凝視しながら、 「あたしぇたちも本当にいいものを見させて頂きました」 「後は夫と静かに暮らしましょうかねえ……」 　やはり、すぅ……っとその体が薄れていく。#怪奇ダンゲロス

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夕焼けの中に、空から一条の光が差し込んできて、老人たちの亡霊はきらきらと輝く一片の光と化して空へと登っていく。#怪奇ダンゲロス

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そんな光景を見ながら、一刀両はなんだか感極まったらしく、涙を流しながら、「私たち、絶対、ここで肝試しさせてもらいますから！」「みんなで角マンしますから、天国で見守っていてくださいね！」などと大声で叫んでいた。その間もエースはとにかくおうちに帰りたいと思っていた。#怪奇ダンゲロス

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　そうして後には、墓石の上で必死に角マンを続ける女子高生三名と、そんな彼女たちを見て射精し続ける奇印と、なぜだか感極まってる一刀両と、すっかり疲れ果てたエースだけが残されていた。#怪奇ダンゲロス

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「なあ、一刀両……。もう帰ろう。おうちに帰ろう……」 　エースが一刀両の背中を押した。 「えっ、でも、彼女たちを残してっていいんですかね」 「いいんだ。もう、何もかもいいんだ。何もかも忘れて家に帰りたいんだ」 　#怪奇ダンゲロス

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　背後で女子三人が「ひゃーん」と声を合わせている中、エースと一刀両は霊園を後にした。#怪奇ダンゲロス

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　なお、エースは帰り際に、「よく考えたら、てるこが痩せ細ったのはここで角マンばっかりしてたからだから、彼女の健康面に関しては何も問題は解決してないのではないか？」と思ったのだが、もう何もかも嫌になったので、気付かなかった振りをして家に帰った。#怪奇ダンゲロス

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　だが、結果的に言うならば、その時のエースの心配は杞憂に終わったのである。#怪奇ダンゲロス

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　この後、一刀両断は宣言通り「女子剣道部納涼角マン肝試し」を実施した。見よう見まねで角マンに挑戦した彼女は最後までこれをトレーニングの一種と思っていたようだが「最初は筋トレの一種だと思ってましたけど、むしろ有酸素運動なんですね！」と意味深なコメントを残している。#怪奇ダンゲロス

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　と、一刀両に限って言えばそんな調子ではあったが、他の女子部の参加者たちは、やはり一度この田吾作の墓石を使ってみると、その優れた機能性の虜となり、瞬く内に角マン用墓石の存在は女子高生の間で広まっていった。#怪奇ダンゲロス

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　結果、希望崎の学生のみならず、近隣の女子高生までこぞって集まってはここで角マンをするようになり、忘れられた霊園は都内随一の角マンスポットへと変貌した。#怪奇ダンゲロス

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そして、女子高生が多数集まればそこで一山当てようとする者も当然現れる。霊園の中にはスイーツ店やプリクラなどが設置され、今日も女子高生たちはスイーツを口いっぱいに頬張りながら田吾作の墓石で角マンを行うのであった。 「ひゃーん、スイーツも田吾作もおいひいよぉぉ～～」 #怪奇ダンゲロス

架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

　スイーツによりてるこの健康も無事回復し、天の星々はまるで女子高生たちの角マンを見守る老人たちの如くに、今日も夜空で輝いていた……。 ＜完＞ #怪奇ダンゲロス

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