【twitter小説】暗中模索#4【ファンタジー】
メモには複雑な式が書かれていた。毎日少しずつ書きためている魔法の計算式。メルヴィは徐に立ち上がった。メモを掴み、部署の電気を消して地下へ向かう。ミクロメガスから貰った秘密の部屋へ行くのだ。 113
2013-09-17 16:43:32いつまでもこの日常が続くような感覚が続いていた。しかし、物語に必ず終わりが来るように、メルヴィの日常も終わりへと近付いている。メルヴィの長年書き続けていた計算式も、とうとう終わりに近づいていた。 114
2013-09-17 16:49:47夢にも必ず終わる時が来る。夢が叶うか叶わないかは別として、必ず終わりが来るのだ。メルヴィはおんぼろエレベーターを降り、鉄骨と配線がめちゃくちゃに絡み合った狭い道を進む。トロッコの過ぎ去る音が遠くで聞こえる。 115
2013-09-17 16:54:33通路の先には錆びた鉄扉があった。鉄塊のような無骨なカードキー装置にメルヴィのカードを入れる。そしてハンドルをゴリゴリと回した。そして、重い音を立てて鉄扉の鍵が開く。メルヴィは中に入ると部屋の電気をつけた。 116
2013-09-17 17:00:48部屋の中央で明かりに照らされているそれは、奇妙な扉だった。扉だけを壁から引き離したような、扉だけが部屋の中央にある。それは、いくつもの機械が貼りつき結晶のシリンダーがいくつも扉の土台から伸びている。 117
2013-09-17 17:08:23メルヴィは扉と繋がっている電源の電圧を確認した。この扉は電気を毎日少しずつシリンダーへ蓄積しているのだ。一見そうは思えないが、数年がかりでためたこの電力は信じられないほどの蓄積量になっている。 118
2013-09-17 17:13:25扉には机が接続されており、メルヴィはその机に座ってコンソールを開いた。緑の光が画面からあふれ、システムを起動させる。そしてメルヴィはメモを頼りに、今日の分の計算式を入力し始めた。メルヴィはこの生活を何年も続けている。 119
2013-09-17 17:17:06メルヴィの構築した計算式は完成に近づいていた。もうすぐ、この巨大なシステムは完成する。このことを知っているのはミクロメガスとメルヴィだけだ。この装置が完成したとき、メルヴィは……月へ行けるのだ! 120
2013-09-17 17:20:44メルヴィは今日の分の計算式を入力し終え、コンソールを閉じた。彼女は立ち上がると、一回だけこの月面転移装置を振り返った。機械は何も語らず、静かにそこにあるだけだ。メルヴィは部屋の明かりを消す。 121
2013-09-17 17:27:29