H-IIA高度化とスーパーシンクロナス軌道

三菱重工が海外衛星の商業打ち上げ受注のニュースから、H-IIAロケットの高度化の内容を予想する議論と、スーパーシンクロナス軌道の解説へ。 記者発表の部分は http://togetter.com/li/569654
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大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

宇宙政策委員会資料 http://t.co/IwtFB4rBXg によると、H-3の低軌道打ち上げ能力は3t。これは最小構成のもので、それより大きなバリエーションでの能力は示されていない。朝日新聞はH-IIAを10tと書いてしまったので、釣り合いが取れなくて掲載をやめたのかな。

2013-09-26 13:25:27
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

もちろんH-IIAの低軌道10tというのは真東打ち上げの軌道傾斜角約30度の場合で、準回帰軌道なら3.6~4.4t。これで現状余り気味なので、H-3では最小構成で3tという廉価バージョンを用意することになったと。もちろんより上位の機種ではもっと重いものが上げられるはず。

2013-09-26 13:27:50
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

ロングコースト静止トランスファ軌道能力でH-IIBは5.5t、H-3の最大構成は6.5tなので、低軌道に使用した場合はH-IIBと同等以上の能力と見て良さそうだ。ただ、ペイロードが重くなると機体にかかる荷重が増えるので、構造強化は必要になると思うけど。

2013-09-26 13:30:29
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

ロケットの能力の比較はどんな軌道に衛星を投入するかで全然違ってしまうので、単純比較が難しいね。マスメディアはそこを正確に区別することと、読者にわかりやすい表現を両立させなければならないから大変だ。

2013-09-26 14:02:29

9月26日午後 三菱重工が記者会見・プレスリリース

リンク www.mhi.co.jp 三菱重工|テレサット社(本社カナダ)の通信放送衛星打上げ輸送サービスを受注 三菱重工業は、世界の大手衛星オペレーターであるテレサット社(TELESAT社、本社:カナダ・オタワ)の通信放送衛星TELSTAR 12Vの打上げ輸送サービスを受注しました。当社が商業衛星の打上げ輸送サービスを受注したのは今回が初めてです。打上げは2015年後半の予定。

記者発表の部分は、別のTogetterで

まとめ H-IIAロケットで商業衛星打ち上げ受注の記者発表 2013年9月26日 三菱重工がH-IIAロケットでカナダの通信衛星打ち上げを受注。 この朝に日経でスクープ記事があり、午後に三菱重工にて正式発表。 @yimamura さんと @nvslive(@kimi_lica) さんが動画配信を、 @ohnuki_tsuyoshi さんと @ots_min さんが現地取材をしてくださいました。 これに関して、H-IIAの2段目の高度化の話は http://togetter.com/li/569648 3593 pv 21 1
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

高度化2段で静止を上げるとなると、204が標準になるよなあ。

2013-09-26 16:27:18
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

資料配布された。ロケットは204型、高度化2段。予想通りだね。

2013-09-26 16:29:26
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

H-IIA高度化を説明中。これはメディア記者さん大変だな、解説が。これもうひとつ、スーパーシンクロナスの説明もしなきゃいけないと思うんだけど、それはさらにややこしくなるし…

2013-09-26 16:43:26
isana @lizard_isana

H-IIA 改良型第2段の初号機打ち上げでカナダの通信衛星の打ち上げを受注したとのこと ref. 三菱重工|テレサット社(本社カナダ)の通信放送衛星打上げ輸送サービスを受注 http://t.co/g668FDfQcN おお!これはすごい!

2013-09-26 17:18:25
isana @lizard_isana

H2Aの第2段の改良は「振動低減」と「1回目と2回めの噴射の間隔を大幅に伸ばす」こと。前者が衛星に優しいのはもちろんだけど、後者も静止軌道に入るために衛星側に積まなきゃいけない燃料が少なくて済むというメリットがある。商用打ち上げの受注には大きなセールスポイント。

2013-09-26 17:44:15
isana @lizard_isana

静止衛星は月の重力だのなんだので、ほっとくとふらふら動いていってしまうのです。これを止めるために結構頻繁に位置を修正しなくちゃいけなくて、この燃料が静止衛星の寿命を決める。静止軌道に入るために必要な燃料分を姿勢維持に回せればその分衛星の寿命が長くなるというわけ。

2013-09-26 17:44:47
isana @lizard_isana

実際には、静止軌道は赤道上空なので、赤道直下から打ち上げたほうが有利になる。日本は種子島から上げなきゃいけない分、余計な燃料がいるけれど、第2段の高度化で"燃費"が向上すれば、赤道から衛星を上げている某社なんかと互角に戦えるようになるぜ、ということみたい。すげーね。

2013-09-26 18:16:49
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

使用するロケットはH-IIA204型。2段は高度化型。高度化2段は21号機で技術実証したが、実際に静止衛星の打ち上げで使用するのは初。このため、2段はJAXAが提供。明言はしていないものの、一部費用をJAXAが負担するものと思われる。

2013-09-26 18:21:50
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

以前は受注できなかったのが今回受注できた理由。まず、高度化2段の開発。これまで、H-IIAは傾斜角28.5度の静止トランスファ軌道に静止衛星を投入していたため、静止化には衛星側で1800m/sの増速が必要だった。しかし世界標準は1500m/sのため、受け入れられない。

2013-09-26 18:24:10
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

静止化1500m/sを従来のH-IIAで行う場合、近地点で増速するスーパーシンクロナス軌道を用いる必要があった。このため打ち上げ能力が半減し、204型でも搭載できる衛星が2300kgに減少。これでは商業衛星の大半が打ち上げ不可能だった。

2013-09-26 18:26:58
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

高度化2段ではまず静止トランスファ軌道に2段を乗せ、そこで衛星分離せず高度36000kmの遠地点まで行き、そこでもう一度噴射することで300m/sの差を埋める。この方が効率が良く、204型で4600kgの衛星を搭載可能。

2013-09-26 18:28:42
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

あ、僕が質問したこと忘れてた。今回は純商業打ち上げのためピギーバックペイロードもMHI判断で搭載可能だが、主衛星の重量がロケットの能力ギリギリなので、どの程度余裕が残るかわからない。余裕があれば載せたいと思っている、とのこと。

2013-09-26 18:37:33

スーパーシンクロナス軌道についての解説

Kazunori Makino @kzmakino

H-IIAにはスーパーシンクロナスと言わず月スイングバイで静止軌道投入するぐらいの気概を見せて欲しい(オイオイ

2013-09-26 22:50:00
LH2 @LH2NHI

@ohnuki_tsuyoshi JAXAの説明資料を見ると従来機体での1500m/s投入方法について明示的に書いていないようのですが、スーパーシンクロナスGTO(=アポジがGEOより高いGTO)で確定なのでしょうか?http://t.co/7c342s8ypt

2013-09-27 20:36:22
LH2 @LH2NHI

H2Aが海外衛星を打ち上げる話で、本格的に出てきた「高度化」の話。他にもスーパーシンクロナスGTOなど、いろいろな話が出てきているけど、何それ、と思われる方も多いのではないだろうか。

2013-09-27 22:09:28
LH2 @LH2NHI

せっかくなので、フォロワーさんの中には専門家の方もいらっしゃるので恐縮ですが、簡単に説明を…。

2013-09-27 22:10:21