モーサイダー!~Motorcycle Diary~Episode of Autumn III~

@mor_cy_darにて投稿している連作Twitter小説・モーサイダー!~Motorcycle Diary~Episode of Autumn III~のまとめです。続きはこちら http://togetter.com/li/584076 テキスト版の一括ダウンロードはこちら(http://t.co/VfcQHoiOEw)からどうぞ
1
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

~~~~~~Motorcycle Diary~~~~~~ #mor_cy_dar

2013-10-27 13:59:27
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 翌日。  秋晴れの空の下、道の駅・八王子滝山で時間通りに待ち合わせると、志智とティックは一路、檜原街道経由で大多磨周遊道路を目指す。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:29:40
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(小さなバイクっていうのは、こういうものなんだろうけど……異様にクイックだよな)  厳しいRのコーナーをいともたやすくクリアしていく、ティックのグロムを見ていると、これは反則ではないかという思いがしてくる。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:29:51
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 ひんやりと冷たい空気は、3シーズンタイプのジャケットが耐えうるギリギリの温度と言えた。  早起きした甲斐あって車の数は少ないものの、同じもくろみのライダーには事欠かないようで、しばしばマスツーリングの行列に追いついてしまう。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:29:59
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「……こりゃダメかな」  ロングストレート。一気に追い越してしまいたいと思っていたハーレー艦隊が、視界の限りに続く大集団であることを確認すると、志智はティックの前へ出て左手を軽くあげた。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:30:12
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 そのまま左ウインカー。自販機の前へ止まって、エンジンを停止させる。 「お兄さん、どうしたんですか?」 「あれは無理だ。とても抜けないから、少し間をあけよう」 「でも……まだ結構ありますよ。どこかでいけるんじゃないですか」 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:30:20
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「この先、道がタイトになるともっと詰まるからな。  だらだら後ろを走らされても、面白くないだろ」  銀のコインを二枚。茶色のコインをその二倍放り込み、カフェオレのボタンを二度押すと、志智はそのうち一缶をティックへ放り投げた。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:30:29
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「やるよ」 「うわっ! ど、どどど、どうしたんですか?  姉さんからお金のやりとりには厳しいって聞いてたのに……えっと、ひょっとしてこれから僕、処刑されるんですか!? 千歳ちゃんに近づいたからですか!?」 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:30:38
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「……まあ、そうだな。  その罪状で処刑してもいいんだが、実は間違ってふたつ出てきたんだ」 「へえー。日本の自動販売機は正確だって聞いてたんですけど、そんなアバウトなこともあるんですね!」 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:30:46
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「ん……まあ、そうだな」  邪気のない驚き顔で、ティックは目を丸くする。  志智はその言葉を聞きながら、きっと自分もこんなふうに嘘をつかれていたのだろうと思った。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:30:53
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 たっぷり五分程度は間をあけたはずだったが、先行する集団には都民の森前で追いついてしまった。  もっとも、それでも比較的ハイペースで檜原街道を走れたのだから、土日のツーリングとしては上等だったかもしれない。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:31:10
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(バイクだけならまだいいけど、車とかバスがあふれ出すとこの道はほんと詰まっちゃうからな……)  スパーダのセパレート・ハンドルに巻き付けてある100円ショップの腕時計を見る。午前九時まであと少し。トイレ休憩を含めれば、ジャストタイミングといったところだった。#mor_cy_dar

2013-10-27 17:31:34
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「ふう。いい時間についたな」 「へえ~。朝はこんなふうにゲートが閉まってるんですね~」 「ああ……そういえば、ティックは見るの初めてか」 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:31:43
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 大多磨周遊道路は24時間いつでも走れるわけではない。  その通行可能時間には大幅な制限があり、春から夏にかけては、朝八時から夜の七時まで。  そして、秋から冬にかけては、それぞれ一時間縮まり、午前九時から午後六時までとなる。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:31:50
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「あ、ゲートの前にもう並んでますよ。凄いですね」 「空いた一発目はフリーで走れるからな。  真夏なんか凄いぜ。何十台も並んでたりするんだ」 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:32:05
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「あはは……ちょっとしたレースみたいですね」 「まあ、ゲートが開く五分前に白バイが入っていたりもするんだけどな……」  そう言いながら志智は周囲を見回してみたが、どうやら天敵の姿はないようだった。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:32:13
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(反対側の川野から入ってきてるかもしれないけどな……)  もっとも、たとえそうであっても、ここにその姿が見えないということは、相当な距離を取り締まりの心配なく走れるわけだ。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:32:21
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「すぐ行くか?」 「えっと、そうですね。どうせだったら、僕も気持ちよく走りたいですし」 「じゃあ、あの並んでる連中に続いていくか……ふるさと村の信号近くになったら減速するけど、ネズミ対策だから前に出たりするなよ」 「う……わ、わかりました」 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:32:30
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「それじゃあ━━」  そう言いながら、志智がスパーダのセルスターターに手を伸ばしたそのとき。 (あのバイク……!)  不意な四気筒の排気音が下界から迫ってきたかと思うと、一台の真っ黒なネイキッドが現れ、ゲートオープン待ちの小集団に並んだ。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:32:44
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 そのフォルムはごく一般的なネイキッドとは明らかに異なっている。  マッシヴなフレーム……低めのハンドル……そして、何より特徴的なヘッドライトは━━ #mor_cy_dar

2013-10-27 17:32:52
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「ティック……俺は前を走ればいいんだよな?」 「え、ええ、そうですけど」 「少し飛ばすかもしれないけど、ちゃんとついて来いよ」 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:33:01
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「ええっ!?」  管理員が歩いていく。大多磨周遊道路を閉ざしていた巨大なゲートが開いた。  複数のエキゾーストノート。待ってましたとばかりに急発進するモーターサイクルの群れ。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:33:10
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

(逃がすかって!!)  そしてあの日首都高で出会った、黒いザンザスも━━その中にいた。 #mor_cy_dar

2013-10-27 17:33:38
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

~~~~~~Motorcycle Diary~~~~~~ #mor_cy_dar

2013-10-27 17:33:45