「かぐや姫の物語」ノート情報・叶精二氏(高畑勲監督ジブリ作品)The Tale of the Princess Kaguya

「かぐや姫の物語」 配給:東宝、公開:2013年11月23日 上映時間:137分 ------------------------------------------------------------------------------------------------------ スタッフ(敬称略) 続きを読む
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叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(102)◆作画の話-18。線は濃淡・強弱・カスレだらけ、レイアウト・原画・動画の生線が混在、カット毎にフレームサイズは異なり、実線・塗線・模様線の三倍作画に水彩原画…、複雑極まる作画行程のフロー整理は「BT」が初では。『山田くん』の時は多数あったのに。

2013-12-18 00:35:48
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(103)◆作画の話-19。橋本晋治さんの疾走原画は中(動画)ナシですが、他カットも線のニュアンスが難しい為、通常より原画が多く描かれたそうです。それは自動的に作監修正に回る原画が膨大ということに。作監の小西賢一さんは余りの量に「顔しか直さない」と決意。

2013-12-18 00:45:04
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(104)◆作画の話-20。「BT」にも書きましたが、『山田くん』『のび太の恐竜2006』の経験から、ある程度顔が整えば胴体以下は気にならないと確信。しかし、始めてみれば結局胴も手足も修正か増え、しかも個性的な各原画の線に擬態した修正でなければならず…。

2013-12-18 00:51:22
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(105)◆作画の話-21。当初絵を統一しない方針だった為、作監は置かれておらず、小西さんも原画で参加。後に原画監修となり、現場の混乱を見かねて作監に。原画としても、名付の秋田が登場した際に、縁の下から出て来た猫とじゃれ合う姫のシーンを担当されています。

2013-12-18 00:57:39
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(106)◆作画の話-22。「姫が美女で良いのか?」と懐疑的な田辺さんは、ロングで姫の眼を点にしたり、眼の位置を左右ずらしたりと次第に崩す方向に。「姫を可愛らしく」という西村PDの密命を受けた小西さんは、いつしか姫担当としてキャラ表まで設計することに。

2013-12-18 01:28:40
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(107)◆作画の話-23。実は、大塚康生さんも『旧ルパン』の不二子で左右非対称の顔を多用。このことを指摘すると、大塚さんのファンである田辺さんは喜んで下さいました。後日、それを大塚さんに御報告すると、大塚さんも喜んで下さいました。めでたし、めでたし。

2013-12-18 01:33:16
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(108)◆17日夜、叶提案による東京工学院アニメーション科特別講義。某シネコンで『かぐや姫の物語』を1・2年生全員で鑑賞。叶と担任の先生が引率。鑑賞後に解説と感想討議。中国の留学生から「御門はなぜ漢詩(父母を愛し…云々)を飾っていたのか?」と質問が。

2013-12-18 21:44:24
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(109)◆平安時代、中国は唐末期~宋代。絵コンテに御門は「中国かぶれ」とありました。椅子に足を組んで座り、机に肘を突き、漢詩を飾って御満悦。有名な「昆明池(中国前漢時代、武帝が長安に造った水軍訓練用人工池)障子」も描かれています。「BT」P72参照。

2013-12-18 21:54:33
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(110)◆インドネシアの留学生からは、母国で幼少期に「かぐや姫」の絵本を読んだが、竹から生まれて月に帰る短編で、貴族の求婚の下りは記憶がないと。グリムやアンデルセンのようにアジアで読まれていることに驚きましたが、各国話を集成した短縮絵本かも知れません。

2013-12-18 22:00:14
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(111)◆「誰の夢なのか分からなかった」「平安時代の人は地球が丸いと知らなかったのでは」などユニークな感想も。 卒業生が動画として参加していることもあり「作画がすごい」など技術にも感心が。作品が後進のテキストとして教育に活かされることを願っています。

2013-12-18 22:08:29
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(112)◆「わらべ唄」考-1。「せんぐり いのちが よみがえる」の「せんぐり(先繰り)」とは「順次、順番/後から後から、引き続いて」といった意味。方言として石川、岐阜、三重、滋賀、奈良、大阪、島根、徳島、大分、福井など西日本の各県で使用されているとか。

2013-12-19 21:46:01
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(113)◆「わらべ唄」考-2。方言では、「永続的に繰り返す」強調表現として「せんぐりせんぐり」(「じぇじぇじぇ」みたいな?)「せんぐり、まんぐり(千繰り、万繰り)」などがあり、動詞化形の「せんぐりする」「精を出す/懸命に行う」の意味もあるそうです。

2013-12-19 21:51:38
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(114)◆「わらべ唄」考-3。高畑監督は三重県生まれ、岡山育ちですが「せんぐり」はご存じなかったそうで、関西を舞台とした小津安二郎監督『小早川家の秋』(61年)で知ったそうです。(『ユリイカ』中条省平氏によるインタビュー)農夫を演じた笠智衆の台詞。

2013-12-19 22:10:00
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(115)◆「わらべ唄」考-4。パンフやサントラに監督による歌詞が掲載されていますが、実は非掲載の3番? もあります。木地師集落で女子たちがエゴマの実を棒で叩きながら歌う替歌です。「タケノコ、お願い」と女子たちが姫に赤子の子守を頼む前に歌われています。

2013-12-19 22:17:27
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(116)◆「わらべ唄」考-5。 以下、絵コンテより書き取った歌詞。 擬音に宮沢賢治作品のオマージュが。 吹けよ風 吹け吹け 風どうと吹いて 山の実りを 連れてこい 栃 栗 きのこ 山ぶどう 椎の実 ざんざこ 降ってこい もみじも ざんざこ 降ってこい

2013-12-19 22:26:34
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(117)◆「わらべ唄」考-6。 「風がどうと吹いて来て教室のガラス戸はみんながたがた鳴り、学校のうしろの山の萱や栗の木は…」『風の又三郎』 「風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました」『注文の多い料理店』

2013-12-19 22:42:42
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(118)◆「天女の歌」考-1 中納言行平『古今集』より 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む (歌意)あなたとお別れして因幡の国へ行きます。山峰に生える松のように、あなたが待っていると聞いたなら、今すぐにでも帰って来ます。

2013-12-19 22:54:00
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(119)◆「天女の歌」考-2「小倉百人一首」にも数えられるこの和歌の下の句を引用し、「まつとしきかば 今かへりこむ」としたのでは…と思っていたら、「BT」で大井田晴彦氏がきちんと触れていらっしゃいました。 http://t.co/BdTVrPoHLU

2013-12-19 23:01:06
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叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(120)◆学生から質問を受けたので、楽器考-1。かぐや姫は琴を膝に乗せて上手に弾きます。日本最古の楽器「和琴(ワゴン)」六弦琴は大きく重いのでこんなことは出来ません。多分、小型の「琴(キン)」七弦琴だと思うのですが、絵コンテには琴の種別について解説が。

2013-12-20 23:52:23
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(121)◆楽器考-2。監督メモには「琴」「和琴」の他、韓国の民族楽器「伽耶琴(カヤグム)」十二弦琴の記述が「片膝に斜めに乗せ、右手の親指・人指指・中指の爪で弾く」と。大きさや弾き方は似ています。 下記です。 http://t.co/zZaA2xNbws

2013-12-21 00:00:22
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(122)◆楽器考-3。元は3〜6世紀の朝鮮半島にあった小国・伽耶(加羅)の民族楽器。伽耶が新羅に統一された後、奈良時代の日本に伝わり、平安貴族に流行。長さは5音階を示す5尺(約150cm)、裏面に太陽・月・地球・宇宙を象徴する穴の模様があるそうです。

2013-12-21 00:05:27
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

◆『かぐや姫の物語』ノート(123)◆楽器考-4。かぐや姫の琴は七弦のように見えますが、弾き方は七弦琴より伽耶琴に近いような。 http://t.co/oFECJ7nN35 伽耶琴の十二弦は一年・12ヶ月を示すとか。月日の巡り、宇宙との繋がりなど、映画との共通項を感じます。

2013-12-21 00:23:41
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