ストレイトロード:ルート140(2周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。1日1話ペースで現在も継続中。 ここでは51~100をまとめました。 元の短編の掲載場所: http://www.gekkado.jp/
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

登場人物1 藍:謎の侵略者に空を制圧された世界で、己の野望のため何かを追い求める少女。13歳。大気に関する不思議な力を持つ。ツインテールと青/黒のオッドアイが特徴。アイではなくランちゃんです。

2013-12-29 21:49:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「藍でーす。今年で13歳になりました。好きなものはパンケーキと可愛いもの。チャームポイントはこの右目かな、宝石みたいで綺麗ってよく言われるの。特技は風を自由に呼べること!…こんな感じでいい?」 #RTされた数だけうちの子に自己紹介させる

2013-11-18 23:58:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

登場人物2 ゼファール:語り手。藍に運転手として雇われ、なかなか家に帰ろうとしない彼女の保護者代わりとして旅に同行する男。45歳。若い時分に夢を諦めて以来、目的なく生きてきた結果、なんかヤバイことに巻き込まれた。

2013-12-29 21:53:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

稜線の向こうから朝が来た。何者にも襲われず予定の道筋を走りきれた幸運に感謝しながら、車を路肩に止める。コーヒーを入れ一息ついていると、右隣の助手席から手が出てきた。「一人でずるい…わたしも…」気の抜けた声だと思ったら、藍はまだ目を閉じている。もうしばらくは毛布に触れないでおこう。

2013-11-09 21:37:41
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、51。朝。 頂いたキーワードを使いきったので、またしばらくは自分でネタを考えます。

2013-11-09 21:38:38
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

何年も手入れのない庭には枯れ草が積み重なり、探し物を隠していた。藍を見ると、捜索を止めて井戸の底を覗き込んでいる。「本物の井戸って初めて見た。水を汲むのよね?」「試してみます?」「ううん。水の気配しないから意味ない」私も覗いてみたが、光が届かない深さがあることしか分からなかった。

2013-11-10 20:16:14
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、52。井戸。

2013-11-10 20:16:25
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

今夜は街の片隅に車を停めて一晩休むことに決まった。私が落ち着く先を求めてハンドルを切り続ける間に、藍は携帯端末で一人聞いているラジオに合わせ、何かの歌を口ずさみ始めた。どこか楽しそうだ。いかにも女の子が好みそうなメロディは、彼女が家を飛び出す前から親しんでいた曲なのかもしれない。

2013-11-11 23:06:17
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「自分が怪物を何とかするだなんて、何様気取ってるの?英雄にでもなるつもり?」投げつけられた言葉が藍の表情を曇らせる。彼女と相手の女の間に割り込み諌めようとしたら、小さな手に行く手を遮られた。「わたしには行きたい所があるの。あれが邪魔だから退けるだけ」青い目は行先だけを映している。

2013-11-12 21:41:01
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、54。英雄。 仮にその行動に世界を変える可能性があっても、本来の目的はそれとは違うかもしれない。よくある話だ。

2013-11-12 21:41:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

私は保護者である前に雇われた身だ。揺るぎない立場は時に横暴を招く。「決めるのはわたし。あなたはただ言う通りにしてればいいの」藍はそれが当然であるかのような顔で言い放ち、フォークを動かす。一往復するたびに、私のサラダに積まれるトマトが増えていく。生で食べるのはお気に召さないらしい。

2013-11-13 20:50:29
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、55。横暴。 わがままは計画的に。

2013-11-13 20:51:14
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

車中泊の翌朝。藍が身支度をする間、私は車の外で待たされる。服は手持ちが限られるからさほど悩まないはずだが問題は髪形。2つに結う時のやり方にこだわりがあるらしく、助けを借りず一人で頑張るから時間がかかるのだ。今朝は眠る前に下ろした髪が何かに絡まったらしい。ドア越しに悲鳴が聞こえた。

2013-11-14 20:29:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

高台の上に寝そべる怪物の足元に藍が一歩ずつ近づいていく。私は縄を手に、指示された通りの距離を保って彼女の後を追う。風が唸る。不穏な気配を察したか、標的が目を覚まして傾斜を見下ろしたが、藍は少しも怯まない。もし昔の私が同じことをしても、きっと恐怖に膝が震えて先へ進めなかっただろう。

2013-11-15 22:29:18
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、57。恐怖。

2013-11-15 22:29:42
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「ここのは美味しいって評判なんだって」ケーキを前に藍は笑みを隠さない。私が知る限り誰ともそんな話をしていなかったが、どこでそんなことを知ったのか。「どうしたの?」唇をココア色に染めながら聞いてきたので、情報源を尋ねてみた。すると藍は口をわざとらしく横へ広げ、答えた。「ひ・み・つ」

2013-11-16 22:30:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、58。唇。 おいしいものは独り占め。

2013-11-16 22:30:55
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

パンクしたタイヤを調べている途中、ふと顔を上げると、車の屋根に座った藍が私を見下ろしていた。「時々わたしのこと研究するような目で見るよね」なぜか視線が冷たい。そんなことはないと答えても、疑う顔は変わらない。「そういう大人といるとロクなことないの。今日からその目禁止」酷い言い様だ。

2013-11-17 23:00:59
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、59。研究。

2013-11-17 23:01:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

提案は突然だった。「クリスマスの休暇くらいならあげるから、たまには家に帰ったら?」自分本位な藍にしては親切な申し出だが、私の故郷は海の彼方だ。空路を使えない情勢下では私一人でも遠い道のりになる。「その場合まずあなたをお家に送らないといけないんですが、どうします?」藍は急に黙った。

2013-11-18 23:20:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、60。故郷。

2013-11-18 23:20:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

補足すると、彼らの世界では空を危険な生物が飛び交うようになったので民間の飛行機は休業状態。軍用機に乗るツテでもない限り、海を渡れるのは海路しかない。

2013-11-18 23:26:37
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

信号待ちの間に右隣を見ると、藍は窓越しに歩道を眺めていた。犬を連れた親子が散歩をしている。「動物飼ったことある?」「いいえ」親子が公園に入っていく様子を共に見届けてから、私はアクセルを踏み込んだ。「小さい頃に犬を飼ってたけど、わたしには全然懐かなかった。散歩に行くたびに逃げるの」

2013-11-19 20:41:14
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