美術批評家が、なぜ村上隆については「口を噤んでしまう」のか?
(東大寺大仏)展示は大袈裟であっても大雑把ではなく、まさに職人技の集成。三井記念美術館の展覧会で見たばかりの五劫思惟阿弥陀如来坐像(デカパンチパーマ頭仏像)がこの展覧会にも出品されているが、照明技の妙で三井美で見たときとはまたゼンゼン違った感じに見える。
2010-10-22 21:34:53(東大寺大仏)ただひとつ難を言えばせっかく国宝・重文級のフツーにそれだけで見所になる面白モノがたくさん出ているのに、展示のハイ・クオリティっぷりばかりに目が行って、肝心の出品物の印象が薄らぎがちなってること。まー「展示技」のほうに目が行くヒネクレモノ限定のはなしだけど。
2010-10-22 21:40:06(東大寺大仏)もし「大仏が出てない大仏展なんて・・・」と敬遠している人がいるとしたら、おそらくいま日本で最高峰の展覧会作製職人たちが大仏本体不在のままどうやって展覧会で「大仏」を表現してるのか、それを見るつもりで出かけるときっと楽しめると思う。少なくとも話のタネにはなるかも?w
2010-10-22 21:43:36ところでこの下品なまでに大規模で、でも作りやデザインはやたら高品質な大仏展の展示を見て、俺が想起したのは実は「村上隆」だった。俺が村上隆の展覧会を最後に見たのは2001年のMOTでの個展まで遡らねばならないが、でもそれはその時点で既に「こういう風に」高品質なものだったのだ。
2010-10-22 22:25:45そして一昨年同じ東博で見た薬師寺展を思い出す。今回の大仏展と同じくやたら大掛かりな展示のなかで見た日光・月光菩薩の「下品さ」と、そして両菩薩の周りに人が群がる様が同時期に海の向こうで開催されていた村上隆の仏像をテーマにした巨大新作彫刻の展示風景の写真にソックリだったことを。
2010-10-22 22:31:26村上隆が仏像をテーマにした作品を発表するという話を聞いたときには、海外のセレブ狙いのアザトイ営業戦略くらいにしか思わなかったけど(そして実際にそうなのかもしれなけれど)、でも意外と村上の作品は「仏像」の本質の一端を突いているのかもしれないのだ。それは何かと言うと・・・
2010-10-22 22:37:05「仏像」をかたち作ってるものには様々なものがある。何百年ものあいだ仏像を守ってきた多くの人たちの心とか、あるいは仏師の巧みな造形技術とか。でもそういった「美しい」部分以外の要素も「仏像」のなかには見逃されがちだがあるのではないか?
2010-10-22 22:40:31たとえば時の為政者たちが仏教を梃子に国を治めようと「とりあえずデカくて金ピカなら下々のものはオドロいて腰抜かすだろ!」みたいな「下品」な発想で作らせた側面も「仏像」には絶対あると思うのだ。村上隆の「マガイモノ」の仏像彫刻は「仏像」のそうした下品でキッチュな部分を炙り出す。
2010-10-22 22:45:36面白いのは仏像をテーマにした現代彫刻なんて他にも山ほどあるのに、なぜ村上の作品だけがそうした仏像の「下品な」側面を炙り出せたのか。それは他の作者が皆一様に「仏師」のスタンスで作品を作るのに対して、村上だけが像を建立する為政者のスタンスをも取っているからではないだろうか。
2010-10-22 22:52:19先日村上隆と批評についてツイートしたが、村上隆のつくるマガイモノは「現代アート」のマイガイモノさだけでなく、「仏像」の(あるいはそれを見る我々の視線や意識の)マガイモノさをも暴く契機にもなるかもしれない。村上隆を本気で評するなら、そこまでやらないと面白くないだろう。
2010-10-22 22:57:48村上隆は最近国内では展覧会をやっていないが、美術館で普通に個展をやってももうあまり意味がないからなのだろう。だったら東博とか奈良博とか、あるいはそれこそ薬師寺とか東大寺とかならどうだろう? 日光・月光菩薩の間にムラカミ仏像を置くとか、大仏殿の前に同サイズの巨大彫刻を設置するとかw
2010-10-22 23:01:39まーそれをやったらベルサイユどころじゃない反発があるだろーけど、でももうそのくらいはやんないと面白くないのだ。それにホントにそれで「仏像」に対する見方も変わるかもしれないし。仏像と村上作品の共通する部分、仏像にあって村上作品にはないもの、村上作品にあって仏像にはないもの・・・。
2010-10-22 23:04:14ただ懸念材料としては俺は件の仏像をモチーフにした彫刻を始め最近の村上隆の作品を写真でしか見てないので、実物にホントにそれだけのマガイモノパワーがあるのかどーかということ。(BTのベルサイユ展示の写真もやーたら写りが良かったけど、あれはやっぱりレタッチしてるのだろーか??)
2010-10-22 23:05:46しかし書いてて気付いたけどMOTの村上展ってもう9年前なのか! 俺はレントゲンの白ダッコちゃん個展からずっと見てるからむしろ作品や展示を通してのイメージの方が強いんだけど、例えば20代後半なんかだと下手すりゃ一度も展示見てないかもしれないのか。そりゃ確かに書くのは難しいわな。。。
2010-10-22 23:10:12http://togetter.com/li/62129 なんで口を噤むのか、といえば、突っ込みどころも分からないから。だって、正確に射撃してこないよ。SKPKO2とアンソニーカロの彫刻の関連性等誰も知らないだろうし、ここでこう語っても「ピン!」と来る人、いないでしょう。
2010-11-09 22:09:10フィギュア作品を日本のオタクカルチャーのパロディとかオタクコンセプトのイラストレイトとだけ、思ってる人が大半ですが、ARTのコンテクストにおいてはチャーリーレイ、ポールマッカーシーらの造る人物彫刻へのアンサーソング的な作品なんですよ。
2010-11-09 22:12:01つまり、ヨーロッパのARTヒストリーの重力からの逸脱を行える人物彫刻とは何か、という作品なのです。RT @takashipom: ARTのコンテクストにおいてはチャーリーレイ、ポールマッカーシーらの造る人物彫刻へのアンサーソング的な作品なんですよ。
2010-11-09 22:15:53彫刻作品のくせにアンソニーカロの「自立する彫刻」のコンテクスト、ガン無視の作品の多い事!それじゃあ、王道に入れませんよ!フィギュア作品と私の作品の違いはコンセプトしかありません。思考方法です。それだけ。
2010-11-09 22:18:28日本の彫刻科学生の諸君、旨く彫れてなんぼの時代は終わってるよ!最近、細かく彫ればそれが受ける的なモノが多いけれども、そんなんじゃ、相手にされないし、中国人の細密工芸には絶対負けてしまうのです。故宮博物院でも行って、勉強しましょうね。
2010-11-09 22:20:39http://togetter.com/li/62129 昨日、この件でNYに一緒に旅してる美術手帖の岩渕編集長と話しました。岩渕さん曰く「ガッツのある若手評論家、来てますよ!」との事。期待しようではありませんか。つか、一回バトルフィールド組んで欲しいですよ。編集長!
2010-11-10 18:23:26