戦車小話~赤軍におけるT70/M18自走砲の評価
レンドリースといえばM26なんかも少数送られたと聞いたことがあるんですが、そういった他の車両の評価ってどんなもんなんでしょう — なんだかこんな質問も来てるようなので、気が向いたらちょくちょく見ていきましょ http://t.co/AHYeeGs6Yp
2014-03-28 20:06:23そういうわけで、今回はちょっと変り種、米軍のM18対戦車自走砲のソ連における評価を見ていきましょ。「それレンドリースされてたの?」と思う方もあるかもしれませんが、サンプルとして5両だけ送られております
2014-03-28 20:11:22M18自走砲は43年中にT70として穿孔量産が始まって、そのあと44年初めにM18として制式化されております。ソ連への到着は43年中だったので、今回のお話は、まだM18でなくT70という試作ナンバーだった頃のこと
2014-03-28 20:12:57【訂正な】×穿孔量産 ○先行量産
なお気付いてる方もあるかも知れませんが、今回のお話はパショーラクさんとこの公開資料の私家訳でしかありません。既に読んだ方もあるかも知れませんが、そこはご容赦を
2014-03-28 20:15:11赤軍におけるT70(M18)自走砲の諸評価
米国製T70自走砲の試験結果要約 1. T70自走砲の最高速度は75.6km/h 2. 45km/h以上の速度で急制動をかけると車輛が滑る 3. 平均速度: 舗装路─43km/h 未舗装路─23.8km/h 新雪─19.4km/h (赤軍におけるM18自走砲の評価1)
2014-03-28 20:17:33(私見) 米軍じゃ80km/h出せるって事になってるM18もソ連側試験ではそこまで届きませんが、まあ誤差範囲でしょう。平均速度も最高速度に比べると随分遅いように見えちゃうやも知れませんが、だいたい平均速度なんて最高速の半分~7割くらいなもんです。これも驚くには当たらないでしょう
2014-03-28 20:20:424. T70自走砲のアスファルト路上における速度は抵抗の不足によって制限されている。これは特に氷雪に覆われた路上において顕著である。 (赤軍におけるM18自走砲の評価2)
2014-03-28 20:22:14(私見) 評価3でも新雪上での平均速度が大きく劣っていたように、どうにも赤軍としては雪上での機動性には不満があるようです
2014-03-28 20:24:295. T70自走砲の未舗装路と新雪上における速度は、流体トルクコンバータのトルク伝達不足のために高段のギアを使用できないことによって制限されている。 (赤軍におけるM18自走砲の評価3)
2014-03-28 20:30:27(私見) M18の駆動系を私は良く知らないのですが、900T Torqmaticなる前進3段・後進1段の変速機を備えていたようで。どうも流体継手を持つ関係か、従来の変速機に比べて高負荷時のトルク伝達に問題があったようです。この点は後にも度々指摘されます
2014-03-28 20:35:136. 一時間の運転における燃料消費量: 舗装路─78.5l/時 未舗装路─80.5l/時 新雪─130.7l/時 これは既存の同級自走砲の標準よりも著しく大きい (赤軍におけるM18自走砲の評価4)
2014-03-28 20:36:02(私見) 少し重めの軽戦車並の車体に中戦車のエンジンを積んだ高速車輛として知られるM18ですが、当然燃費はエンジンの規模に応じたものだったようで。ここで赤軍が言う「同級自走砲」ってのが何なのかよくわかりませんが、後で度々SU-76Mと比べてるので、あるいはそれの事かも知れません
2014-03-28 20:40:05また車両の燃費は重さと馬力がどんだけ無駄に余ってるかでだいたい決まるので、ギア比が選べなくてトルコンズルズルで大馬力のT70が良いはずもないよねww
2014-03-28 20:52:537. T70自走砲は流体トルクコンバータのトルク伝達が不十分であるため、路肩の溝や道路の深い穴を超えることができない。 (赤軍におけるM18自走砲の評価5)
2014-03-28 20:41:018. T70自走砲の氷結路における最大登坂角度は16度で、これを超える傾斜路は履帯の摩擦不足の為に突破不能である。SU-76M自走砲の同条件での登坂角度は26度である。 (赤軍におけるM18自走砲の評価6)
2014-03-28 20:42:01(私見) 流体継手のなんかはこの後も度々出てくるので一々触れません。 ともあれ、評価4でもあったように、赤軍としてはM18自走砲の履帯にも不満があるようで
2014-03-28 20:44:489. 雪道における最大降坂角度は24度である。 10. T70自走砲は流体トルクコンバータのトルク伝達が不十分であるため、悪路において同級車両を牽引することができない。 11. T70自走砲が横滑りしない最大横勾配は18度である。 (赤軍におけるM18自走砲の評価7)
2014-03-28 20:46:4512. T70自走砲の最大渡渉水深は川底が強固な場合は1.55mである。これを超えるとルーバを通して機関室に水が浸入するため突破できなくなる。 (赤軍におけるM18自走砲の評価8)
2014-03-28 20:47:5513. 火砲の散布界は良好である。距離1200mにおいて: 高低半数必中界─0.16m 方向半数必中界─0.1m 14. 曳光徹甲弾の初速は803m/s 15. 曳光徹甲弾の跳起角はマイナス3.6度 (赤軍におけるM18自走砲の評価9)
2014-03-28 20:49:16