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ストレイトロード:ルート140(4周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。1日1話ペースで継続中。 今回は151~200。それ以前のは作者おすすめ欄か下記URLからどうぞ。 元の短編の掲載場所: http://www.gekkado.jp/
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍が少しは料理を覚えたというので、試しに夕食を任せてみることにした。キッチンから追い出され、材料も秘密にされてしまったが、次第にいい匂いがしてきたのでまともそうだと一安心する。本人も自信がついたのだろう。火から下ろした鍋の余熱が仕上げをする間に、もう一品作ると言って何かを始めた。

2014-03-27 20:29:46
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、188。余熱。 心の熱も冷めないうちに。

2014-03-27 20:30:33
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「この広い部屋に一羽だけなの?」藍が頑丈な金網に覆われた檻を覗き込む。「貴重なんですよ」私は数歩下がり、彼女の気が済むまで待つ。「どうして」「羽目当てで乱獲されたそうで」瑠璃色の鳥が狭い世界を飛ぶ。看板より鮮明な色だ。「人間の仕業ね。要らないものまで欲しがる生き物、他にいないし」

2014-03-28 20:27:25
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、189。乱獲。

2014-03-28 20:28:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

早朝の港を歩いていると、船から魚を運び出す漁師達とすれ違った。海鳥に混じって飛ぶ奇怪な翼を見たとか見ないとか、そんな話が聞こえた。藍が興味を示すのではと隣を見たら、振り向くどころか早足に変わるところだった。「いることはとっくに知ってる」その翼が悪さをしないと聞いて見に来たという。

2014-03-29 21:57:38
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、190。漁師。

2014-03-29 21:57:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「こんな話知ってる?」藍が宿の女将から聞いたという地元の民話を披露してくれた。うろ覚えなのだろう、所々説明不足があったが、同じ類型に属する話を知っていたので理解には困らなかった。「同じ話があるの?それってパクリ?」「人間の発想はどこかで似るものですよ」だから理解も共感も生まれる。

2014-03-30 19:25:16
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、191。類型。

2014-03-30 19:25:27
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「君は目上に対する礼儀というものを知らんのか!」「あら、丁寧に質問したつもりだったのに。どの辺りが失礼にあたるのか教えていただけます?」険しい顔をした白髭警官の叱責もどこ吹く風。魔女は可愛らしく小首をかしげ、余計な言葉を重ねた。小さな意地をどこで諦めさせるか。私は静かに時を待つ。

2014-03-31 19:42:15
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、192。礼儀。 言葉や態度だけのことではない。

2014-03-31 19:42:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

交差点をうろうろしていた老婆に声をかけられた。行きたい所があるという。私が地図を広げて探していると、突然藍がその老婆に道順を教え、送り出してしまった。「知っていたんですか?」「まさか」藍は土地勘がないと素直に認めてから言った。「あの人、探されてたのよ。家族に。そろそろ拾った頃ね」

2014-04-01 20:04:39
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、193。老婆。 きっと身体的特徴を掴みやすい探し方をされていたんだろう。

2014-04-01 20:05:38
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

窓から差し込む光が少し弱くなった。天候の悪化を疑う私の隣で藍が騒ぎ出す。荒野を走るこの車の真上を今、鳥の大群が横切っているらしい。「あっちに向かうみたい。わたしたちと一緒ね」そういえば渡り鳥の季節だ。無数の翼から成る長大な帯状の黒雲は、敵から身を守るためのスクラムでもあるという。

2014-04-02 19:41:57
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、194。渡り鳥。

2014-04-02 19:42:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

目的地のすぐ手前まで来たところで、人垣が道を塞いでいた。藍が様子を見に行き、数分後に車へ戻ってきて、黄色いテープが行く手を阻んだことを嬉しそうに報告した。「とびきり難解な事件の匂いがするの」早速調査すると言ってまた車を降りる。本来の目的を脇に置いて他人の話に首を突っ込む気満々だ。

2014-04-03 19:13:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、195。事件。 彼女が導くのは名推理か、それとも迷宮への入り口なのか…

2014-04-03 19:14:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

廃墟の裏手で、藍が壁の天辺に手を掛けようと跳躍を繰り返している。手助けを拒否された私は壁から少し離れて、彼女が知識と勘と体力を総動員して高さを稼ぐ様子を見ていた。思うことはあっても口を挟む隙はない。そのうち、何度も跳躍を続ける姿が、高い枝の葡萄に飛びつこうとする子狐に見えてきた。

2014-04-04 19:51:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、196。跳躍。 ラ(@raaaaaaaaaaaa14 )さんから頂いたお題で一つ。

2014-04-04 19:51:50
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

宿の近辺では朝から激しい雷雨が続いていた。窓から外を見た藍は出発の延期に同意すると、私を部屋から追い出し、自分は籠った。「今日はお休み。好きにしてて」昼前に様子を見に行くと、藍はまだベッドの上にいた。大きく膨れた布団の裾から顔だけ出して、ヤドカリのような格好で端末を見つめている。

2014-04-05 21:20:00
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、197。ヤドカリ。 紙箱みど(@middleady )さんから頂いたお題その1。 余談ですが英語ではhermit crabと言うそうで。隠者の蟹。

2014-04-05 21:23:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

山間の村に怪物が迫る。藍は峠を越える唯一の道に落とし穴を仕掛けようと提案したが、道幅より大きな体がはまる罠など作れるはずもない。「足一本止めれば充分よ」動けなくなれば後は自分が片付けると、魔女は遊びのルールを作るように言う。でも誰が穴を掘るのか。私を含めた大人達は顔を見合わせた。

2014-04-06 21:41:39
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、198。落とし穴。 シノサキ(@shino_666 )さんから頂きました。

2014-04-06 21:41:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

車は森の中を走っていた。枝葉が作る深緑のアーチを抜けると、道の左側にだけ花畑が現れた。右側に座る藍は運転席の私が邪魔でよく見えないのか、「絵本の中にいるみたい」などと言いながらこちらに顔を近づけてくる。じきに停車を命じられるかもしれない。次のページに進むかどうか決めるのは彼女だ。

2014-04-07 19:43:20
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、199。絵本。 紙箱みど(@middleady )さんから2つ目。いつもありがとうございます。

2014-04-07 19:43:38
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

Always she goes on running her straight road. You will see more cute and powerful storm. No one can control her course. Of course I can't!

2014-04-08 20:54:02
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