丹生谷貴志ツイートまとめ(2014年4月)

丹生谷貴志さんの2014年4月のツイートをまとめました。
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nibuya @cbfn

だいぶ前に余命幾ばくもないと書いた知人が一週間ほど前に亡くなり、と言って連絡がある程の親しさではなkったから知らせがあったわけでない。中央アジアの死語を研究とした言語学者、十カ国語は出来たようで、しかし死語が大方だから「喋る」機会の有り得ない文字だけの能力、切れ切れの文書だけ。

2014-04-01 04:36:43
nibuya @cbfn

神戸に来たばかりの頃、もとより学者ではない要は雑文書きに過ぎない自分なので、まあ恐縮もしないが居心地の平穏もないのは今と変わらず、しかしこの知人が飲屋で、「ええか、調べたらこいついい加減なヤツに見えてえらいやっちゃねんで」と、何を根拠にか間接的に言ってくれた唯一の人だった。感謝。

2014-04-01 04:41:08
nibuya @cbfn

この「えらいやっちゃ」という大阪弁のニュアンスは伝えるのがなかなか難しいのですね、これが。

2014-04-01 04:43:06
nibuya @cbfn

特殊超感度スローモーションカメラで駅のホームの人物群を撮影するADAM MAGYARの作品は最近ネットでその『Shinjyuku』が紹介されて知る人もいるだろう。この手の作品はプライヴァシー問題が関わって結構発表に苦労するのだが、ともかくその効果には何かしら陶然とさせるものがある

2014-04-01 09:28:30
nibuya @cbfn

マギャーと発音するのか、この人のコンセプト談話は僕にはさして面白くないが、その殆ど停止すれすれの驚異的に鮮明なスローモーションの映像は魅力的ではある。・・・てなことを思い出したのは僕の西語の能力だと普通の文章がそれに似た具合の遅さでしか読めないということに「感動した」からなのだ。

2014-04-01 09:37:53
nibuya @cbfn

無論この遅さは非生産的で、一日五冊読むとかのプロ?からは失笑でしょうが、しかし例えば久しぶりに読んだボルヘスの二ページくらいの、しかもなんてことない思い出話がその速度の中でブランショの『望みのときに』一冊分に膨脹しシモンの『春の祭典』と結びつき全部が同じ遅さで開くのは何ものかです

2014-04-01 11:32:25
nibuya @cbfn

例えば『プヴァールとペキュシェ』の冒頭の十行程度を原語のスローモーションで読むとこれが、パリの真夏の無人の一角の細かい石粉が焼けて舞っているような色のない奇妙な光景の広がりを一言一言が招来し何とも不思議な、悲痛に似た目眩に満たされた真昼を置くかのようだ・・とか。そこに件の二人が。

2014-04-01 15:53:41
nibuya @cbfn

「如何なる王とても、節度、優美、比類なさ、爪立てる獅子、そしてまた月の明るさ、そうしたものを遺せぬのなら、幸せに死んだとは、わたしどもは言わないのです」という言葉が『アラビアンナイト』にあることを久しぶりにボルヘスが思い出させてくれる。文脈なしでこれだけじゃあんまりですがね。

2014-04-03 01:34:29
nibuya @cbfn

ボルヘスが「驚くべき異例のロビンソン譚」としてあげているイブン・トファイルの本は『ヤクザーンの子ハイイの物語』。箱に入れられて無人島に流れ着きカモシカに育てられた幼児がカモシカへの感謝の中で独学で微細から極大へと全自然を知り尽くし幸福に消えて行くまでの素晴らしく楽しい哲学小説。

2014-04-03 11:02:24
nibuya @cbfn

有名なのにアラビア語原書以外での入手が意外に厄介ですが、素晴らしいことに日本語訳は結構容易に手に入ります。平凡社『中世思想原典集成』の第11巻に全訳があります、本自体は高価ですがトファイルの部分だけでもコピーで手にする価値が充分ありますよ・・・って、教育的な(?)話でした。

2014-04-03 11:03:33
nibuya @cbfn

因にトファイル(或いはトゥファイル)の中世以来の西欧語表記はAbentofail、思わず「Abend to fail」と独英混合表記にしたくなる美しい感じの変形名ですね。「崩壊して行く黄昏」「失敗する黄昏」等々!

2014-04-03 11:35:03
nibuya @cbfn

トファイルは12世紀、スペインのアンダルシアに生まれて、王室医=哲学者の後任をイブン・ルシュドに譲った後、マラケシュで余生を送り、ハイイの物語を書き残し、亡くなっています。

2014-04-03 11:35:29
nibuya @cbfn

イスラム中世のアリストテレス学者が熱中したのが、『形而上学』やら倫理学、論理学以上にアリストテレスの自然学だったこと・・・実際、形而上学は退屈(?)ですが例えば『気象』とか。因に僕はむか〜し玖保キリコさんに「つん太くん」の絵を書いてもらった版を持ってます!羨ましくない、かな・・・

2014-04-03 11:57:53
nibuya @cbfn

ひと月ほど前か、フーコーの講義録があと一冊で完結とか書いてしまった気がしますが後二冊でした。近日中に一冊が出て、まあ残りは来年なんでしょうか。勘違いすいません。

2014-04-04 23:49:03
nibuya @cbfn

意外なことにフーコーの講義の彼自身のノートは特に前半はあまり残っておらず学生が自前で録音したテープと学生のノートを検証して再構成するので編纂に時間がかかるようです。一方バルトは講義ノートを非情に丁寧に付け残していたようで、いま邦訳があるものは彼自身のノートに基づいているようです。

2014-04-04 23:53:09
nibuya @cbfn

因に、バルトの講義ノートはそれ自身見事な書き物になっていますが、実際の講義ではかなり興味深い脱線もしていて、フランス本国では書籍の他に独立してその録音CDが「講義録」として出されています。

2014-04-04 23:55:44
nibuya @cbfn

意外なことに、と言うのはフーコーは緻密にノートを整理するタイプと思いきや意図的なのかそれらを結構乱暴に扱っていたようで、死後クローゼットにぐちゃぐちゃに紙束が突っ込んであったという伝説?もあります。どちらにしろ遺言で未発表文書の完全破棄を断言していたわけですからそれでいいのです。

2014-04-05 00:04:08
nibuya @cbfn

「ヒュームの『自然宗教に関する対話』に、簡潔だが充分にブランキの『天体による永遠』に対応する一節があり、ショーペンハウエルはこの一節を翻案することに努めたのではないかと私は思うのだが、それに注目した人を寡聞にして知らない」という「濃縮丸薬」のような一節をボルヘスで見つける・・・

2014-04-05 00:54:31
nibuya @cbfn

・・・と、悲しいさがで、本棚からブランキとヒュームとショーペンハウエルを探し出そうとドタバタする。まあ、今から読むわけじゃありませんが。

2014-04-05 01:03:10
nibuya @cbfn

ウォール街の「反格差運動」のスローガン「俺たちは99%だ」は勘違いじゃなければマーロン・ブランド主演映画『ワイルドワンズ(乱暴者)』の台詞と言うか1947年にホリスターで起きたバイカー暴動の時の「善人」の台詞のパロディというかアイロニカルななモジリでしょう。強烈な皮肉が籠る・・・

2014-04-05 02:12:14
nibuya @cbfn

20世紀以降世界の変化速度が恐ろしい速度になっているのが本当だとすれば、逆にそこを生きる「僕らの速度」は相対的に限りなく遅くなるはずだ。とすれば、さらに逆に、世界の光景は奇妙な具合に「遅さ」の中に捉えられ「速いのに遅い」ものになる。従って「世界」は殆ど静止しているかのようになる

2014-04-05 02:34:49
nibuya @cbfn

「フーコーの学生」と書いたが彼が(バルトも)講義していたコレージュ・ド・フランスは自由に一般聴衆が入れるもので、真冬などは暖をとるために入り込むだけの者もいる素敵な?講座なので、大学的に「学生さん」というのは不正確でしょうか。

2014-04-05 15:02:46
nibuya @cbfn

コレージュについて昔笠井潔さんに面白い話を聞いたことがあり、ミーハー気分で?フーコーの講義に出ると、その日フーコーは講義にさして興味のないような聴衆にかなり苛立っているようで突如聴衆に対して直接質問を始め、フランス語を解さない笠井さんは指名されないように椅子の影に隠れたという。

2014-04-05 15:09:01
nibuya @cbfn

手に当たった?中村光夫さんと金井美恵子さんの評論集を殆ど片っ端からランダムに読む。読むと言うよりも、ここのところスペイン語で読むボルヘス読書の自分の「遅さ」に窒息しそうになった文字通りの「切迫息継ぎ」の様な手前勝手なもので、読書としては書き手に失礼な飛ばし読み。自粛しましょう。

2014-04-05 15:31:13
nibuya @cbfn

なにはともあれ?金井さんの中上健次を巡る文章は中上さんについて書かれた最も「正当な」ものだと思いますし、おそらく中上さんもひそかに(?)金井さんに最高の「理解者」を感じていただろうと・・・

2014-04-05 15:42:42