地獄鎮守府の日常#0

前日談なので#0です。 ハッシュタグに変なのが混じるのはまとめ時にツイート欠けが発見された為です、ご了承ください。 #1~3(本編) http://togetter.com/li/634092
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白金桜花 @YamanekoOuka

  「脳と手の媒介者は、心でなくてはならない」 #自鎮

2014-04-20 12:17:20
白金桜花 @YamanekoOuka

この墓標は、こころがなかったから起こったもの。 もしこころがあったら、きっとみんな、楽しく過ごせた。 もしこころがあったら、おとうさんも、ああならないで済んだ。 おかあさんというこころがなくなって。 わたしというこころがなくなって。 そして墓標は造られた。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:48:44
白金桜花 @YamanekoOuka

もし、わたしがやり直せたら。 わたしはこころになってみせる。 脳と手をつなぐ媒体者に。 調和を目指す、調律者に。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:49:21
白金桜花 @YamanekoOuka

露店が至る所に展開され、工場が立ち並ぶ香港の町で、私は鎮守府への道を聞く。 「どうしてあんなところに行くんだい、女の子なら鎮守府から流れる浮浪児でも拾って来れば好きな事幾らでもできるんだよ」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:52:16
白金桜花 @YamanekoOuka

露天商の老婆が私の行動に疑問を持つ。確かにそれはそうだ、だが私は提督と言う仕事に興味を持っていた。 艦娘とされる人型兵器を運用し、深海棲艦と戦う仕事にだ。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:52:50
白金桜花 @YamanekoOuka

大体傭兵として山賊と戦い続ける仕事にも飽きてきた所で、そろそろ管理職で椅子を温める仕事に就きたい所でもある。 陸軍経由で紹介された仕事で、この鎮守府は海軍でなく情報軍とされる、まぁ実質陸軍のような何かの管轄らしいが、そんな事はどうでもよかった。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:54:00
白金桜花 @YamanekoOuka

「面白そうだから、それでいいじゃないか」 それらを簡潔に表現する言葉を選ぶ。 老婆は既得者を見る目で、私に九龍の巨大な多層建築への道を教える。 「狂っても知らんよ、白人さん」 「狂気には慣れてるさ」 私はそう老婆に言い捨て、鎮守府に向かった。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:55:08
白金桜花 @YamanekoOuka

そして鎮守府の入口の登録機に触れる、タッチパネル式の、今どき見かけない昔の文明の遺物だ。 タッチして、適当な規約を読み流すと、相棒となる少女を選べと出る。 私はその中で、一人の少女を選ぶ。 叢雲という名前の、銀色の髪の少女だ。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:56:04
白金桜花 @YamanekoOuka

すると<登録が完了しました>と文字が出て、近くの端末から担当する区画までの経路が書かれた地図と、簡素なID入りマニュアルがプリントされる。 私はそのマニュアルを受け取り、鎮守府の中を進む。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:57:34
白金桜花 @YamanekoOuka

錆びついた世界を進み、モノレールに乗り、そして目的の区画の扉にIDを打ち込み、閉ざされた扉を開いた。 <提督が鎮守府に着任しました、これより艦隊の指揮に入ります> そんな電子音が、入った途端聞こえた。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 22:59:03
白金桜花 @YamanekoOuka

「これはひどい、心霊物件じゃないか」 着任して私の第一声はこれだった、広場と思わしき場所は鉄骨で作られた墓標が立ち並ぶ墓地で、陽の光が差し込んでいるのがまだ救いと言った所だった。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:00:15
白金桜花 @YamanekoOuka

老婆のあの不安げな警告を聞いておけばよかった、そう考えるが、私はとりあえず執務室に向かう。 そこには相棒となる彼女が待ってるはずだ、死んでなければいいが、そんな不安が脳を過ぎる。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:01:00
白金桜花 @YamanekoOuka

通路にも至る所に艤装とされる強化ユニットを付けた白骨死体が転がっており、墓地で埋めきれなかった死体があったのだろうかと勘繰る。 だがその印象に残るような配置や、埃の無さはまるでそれ自体が、この区画自体が過去の悲劇を示す墓標のようになってるようにも感じてくる。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:02:23
白金桜花 @YamanekoOuka

「ここはアフリカだったか?」 そう呟きながら私は執務室の前の扉に立ち、扉を開ける。 扉を開けた先にあったのはダンボールの置いてある部屋、執務室としては貧相な一室だった。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:02:57
白金桜花 @YamanekoOuka

部屋の角で、ボロボロになった布を纏い、刀を抱いた銀色の髪の少女が体育座りしていた。 その瞳には生気を感じず、髪の色や髪飾りからして叢雲とされる艦娘なのはわかったが、写真と雰囲気が全く違う事に戸惑う。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:03:58
白金桜花 @YamanekoOuka

私は警戒しながら、腰のマチェットに右手を添えながら、左手を差し延ばす。 「こんにちは、君が叢雲かな、私が本日提督として着任された者さ」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:05:42
白金桜花 @YamanekoOuka

その差し伸べた手を、叢雲はがっしり掴んだ。 「アンタが司令官ね。ま、せいぜい頑張りなさい……私が叢雲、駆逐艦叢雲よ、よろしく頼むわ」 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:06:47
白金桜花 @YamanekoOuka

そう、彼女は私と目を合わせ、ニッ、と生気のない顔から、一気に生気に満ちた顔に、まるで待っていた主人を得たような嬉しげな笑顔に変わり言い放った。 #地獄鎮守府の日常

2014-02-23 23:07:33

おまけ、しゅまさんからもらったイラストです。ありがとうございました!

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