IF戦闘:雨綴vs影纏

影纏≪@s_akiyui≫ 雨綴≪@hakujo_
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ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「喧しい?煩い?ふふっふふふふっ!ごめんね?ごめんね?ふふっふふっふっふはっははっははははははははっ、僕、誰だろう?誰だったかな?うふふっふふっあははははははははっ!火だ、火だぁ!すごい、すごぉい!あはっははっあはははははははっ!」 不快、不愉快。男が示したモノを彼は気にしない。

2014-04-21 13:12:07
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

向かい来る炎にもただひたすらに笑って。 「うふ、うふふ、ふふ……——『雪崩』」 その炎が、あと数秒で彼を貫くだろうと言ったところで、彼は素早く抜いた刀を上段に構え、振るった。まるで炎を切り裂こうとするかのように苛烈に、熾烈に。太い刃は影を従え、撃ち出す。

2014-04-21 13:15:54
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

それは炎を散らし、槍を弾く。果ては火の粉が彼の羽織を焼いただけに留まった。 「ふふ、ふふふっ、ふふっ、あはっ」 刀は音も無く鞘に戻る。男の刃に散らされた影の腕は、点々と地面に降り、彼へと戻ってきて腕を形作る。彼は嬉々として笑い声を上げながら、ふらりふらりと揺れていた。

2014-04-21 13:16:01
紺青ものえ @almiyy

はしゃぐ声を聞きながら、青年は手にした曲線を振い、その合間――差し向けた火が潰えたのを見て口の端を歪める。それは不愉快と愉快の入り混じった歪み。それ以上の感情の表現はない。 銀朱は『腕』の奥を一瞥し、弾かれた槍に回していた魔力を回収し消し去る。

2014-04-21 14:42:54
紺青ものえ @almiyy

「……『これ(腕)』以外に能が無いのではと思ったが、そんな事はないのだな」 大きく風を裂いて曲線で腕を叩き、 「楽しいか?楽しそうだな?俺はまだ微塵も楽しくないのだが貴様は何処に笑っている?」 それ故に笑い声が気に障るのだろうと最後の腕を縦に裂き、刃を地に付け停止させる。

2014-04-21 14:42:58
紺青ものえ @almiyy

雨粒のように落ちる黒を厭わしげに見つめ、視線を戻す。 「箸が転んでなくとも笑うのは理解出来んな」 曲線の柄を軽く弾き四つに分断する。形状は小刀。雨に濡れた花のような光を地に落とすそれをふわりと周囲に浮かせ、 「――向かえ」 弾丸のように射ち出した。

2014-04-21 14:43:07
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「ふふっ、ふふっ、能無し、能無し、ふふっ、ふふっ、そう、そう!ふふっ、ふふふっ」 するり、するり。まるで水が流れるかのように影は彼に戻る。ふらり、ふらり。再形成された腕は、数にして二十。そこから動くことなく、揺れている。 「うふ、ふふ、ふふふっあはっあははははははっ」

2014-04-21 18:57:31
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

射ち出された四つの剣。今度は先ほどの刀とは違う細身の刀を抜き、速やかに振るった。その剣筋は、どこまでも艶めいて流麗。キン、と高い音が鳴る。宙を舞った刃を影が追いかける。弾ききれなかった一振りは、深々と脇腹に突き刺さった。しかし、彼にそれを気にする様子はなく。

2014-04-21 18:59:18
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「ふふふっ、あははっ、ははっ、あはっあははははっ、はふ、楽しい?楽しくない?あははっ、ははっ、ふふふふふっ」 するりと刀は鞘に収められた。何でもないことのように、突き刺さった剣を抜いて地面に落とす。四つの剣は闇の中へと引きずり込まれ、その姿を隠した。

2014-04-21 19:02:16
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「うふふふふふふ、ふふは、ふは、ははははははははははははっ、ばぁか、ふふっ、ふふふふふふふふっあはっあははっあははぁ」 口元を袖で覆い、身体を震わせて笑う。しかし、彼の腹から血が零れることはなく。ただ、穴を開けたかのような黒に覆われて。 揺れる腕は、全てが男へ伸ばされる。

2014-04-21 19:04:28
紺青ものえ @almiyy

飲み込まれた剣に眉を寄せ、 「……笑い声で貴様が何を言っているか解らん」 不愉快を示し青年は青い石の埋められたペンデュラムを二本垂らす。 「その黒いのは興味深いな、……そう、その喧しく鬱陶しい笑い声さえなければ嫌悪は浮かばんだろうな」 空っぽの憂いを映し、首を僅かに傾けた。

2014-04-21 21:21:18
紺青ものえ @almiyy

銀朱を暗く耀かせ、先ほどより増えた『腕』を睨めつけながら、ペンジュラムの銀の鎖を蛇のように長く垂らし、 「――喰い荒らせ」 『青光石よ、溶けた石に潤み我が手先とし』 「流せ」 『青き酸になりて溶かせ』 鈴のように通る声が二つ、くわんと響く。

2014-04-21 21:21:29
紺青ものえ @almiyy

「莫迦か、それもいい」 笑みを合図に青い石がとろけ、ぽたぽたと雫のように落ち、さらさらと小川となり、次第に溶かす量を増やし、仄かに青く光る膨大な濁流となり青年の周囲を満たし――それは水の柔らかな流れと石の硬質さを持った獣の頭となり、地を焦がしながら『腕』を喰わんと向かって――。

2014-04-21 21:23:10
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

影は伸びる。鞭のようにその身体をしならせ、伸びて、捕らえようとする。 「ふふっ、ふはっ、はははっあははははははははははははははははははっ!あはっ、あはっ!」 しかし、その影が、獣に喰われる。避けながらも齧られて、喰われてしまう。されど彼は楽しげに笑うばかりで気にした風もない。

2014-04-21 22:08:59
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

ただ、静かに右手を片方の刀にかけ。 「うふふっふふっふふふっふはっ——『吹雪』」 瞬きの間も無く抜き去り、振るう。細い切っ先が描く、曲線、直線。雅で鋭利なその筆は、無数の影の粒を伴い、風を起こす。それはさながら、吹雪のように。

2014-04-21 22:11:06
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「うふっふふふっうふふふふふふふふっ」 一閃、また一閃。男へ向けて、吹き荒れる。喰われる腕は惜しまれることなく、数を減らしながらも伸び続け。

2014-04-21 22:11:16
紺青ものえ @almiyy

獣の頭部は青き石の水によって鋭きを保つ犬歯で黒い影の『腕』を喰い荒らす。横暴に引き千切り、顎の動きに合わせ削り取り、青年の言葉と意志に従事する。 飲み込まれたものは青に混ざりじゅうじゅうと溶かされ消える。 その奥、視線は動きを見、少し見開く。 ――風。 粒を伴い吹き荒れた風の閃。

2014-04-22 17:09:08
紺青ものえ @almiyy

飛び交う黒い粒。風圧。当たる痛みとは別に切り裂けた痛みを露出した首と頬、目元に感じ、しかし触れることはせず。 引かれはためいた外套と髪に鬱陶しさ。片方の銀の鎖を大きく伸ばし引き落とすように波立たせ繋がれた頭部を、壁としてその吹雪へまるで捨てるように投げつけ、そのまま片手を自由に。

2014-04-22 17:09:12
紺青ものえ @almiyy

――と、その数瞬の隙間を縫い、しなる『腕』が青年の手首を掴む。 「……ちっ」 零したのは迷惑そうな舌打ち。 しかしその表情は嫌悪ではなく何もかもが混ざり合う笑み。それは人間味溢れ、しかし人とは違う薄っぺらな表現。 そのまま口をゆっくりと開き、

2014-04-22 17:10:38
紺青ものえ @almiyy

「かくえんのそ、みはつねにゆかん」 『陰森の篝火、矢を灯せ』 先程とは違う柔らかな声の重なりに呼応し、青年の周囲、まるで屏風のように開き浮かぶのは赤く錆びた集真藍の印。 数十ともつかないほど浮かび、きりきりと弦を引く音が犇めき、一斉に弾け――青黒い火の矢を影の主へと向けた。

2014-04-22 17:10:48
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

スッ、と刀を鞘に収める。そこにもやはり音は無く、響くのは楽しげな彼の笑い声。 「ふふっふふふっ当たった、当たった、ふふっふふふっふふふふはっ」 身体を揺らし、声を重ねる。影の粒が、腕が、確かに男に触れた。彼は笑う。影は溶ける。溶け落ちる。そうして男の影と混ざり合ってしまうだろう。

2014-04-22 17:56:19
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「ははっあはははははっふふっ、ふふ、ふふふふふ、あは、あは、あははっ、あははははははははははははっ!」 刀を抜く。上段に構える。刃に寄り添うように影が揺らめく。放たれた火矢。数にして、数十を越す。声は止み、口元は不気味に釣り上がり。 「『雪崩』」 振り下ろす。

2014-04-22 17:56:56
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

それと共に、大きな影の刃が撃ち出される。勢いを殺すことなく、滑るように逆袈裟に斬り上げる。撃ち出される細く長い影。それは火矢を落とし、勢いを殺されながらも男へ向かう。 「ふふっふふふっ!」 落とし切れなかった火矢が降り注いだ。彼はゆらりと身体を揺らし、それを避ける。

2014-04-22 17:57:20
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

しかし全てを避けることは叶わず。 「ははっあはははははははっ、久しぶり、久しぶり、焼ける、燃える、ふふっふふふふっふふはっふはっふははっははははははははっ」 足や腕が切れ、服や皮膚が焼ける。ついた炎は影が掻き消したが、痛みは残る。彼は笑って刀を振るい、三撃目となる影を撃ち出した。

2014-04-22 17:57:57
紺青ものえ @almiyy

溶けた入ったようなその揺らぎに、腕を払うように一度振り、その手を横へ軽く伸ばし、青年は一歩前に。 「焼けるな、焦げろ」 口にしたのは観測出来ない事象。苛立ちに似た気怠さが先程までの痛みを追いやった。異色混じりの灰色を払い、手には何も持たず。矢を潰し迫る影、見据え、微笑い。

2014-04-22 20:04:42