吉野家の「牛すき鍋膳」が成功し、すき屋の「牛すき鍋定食」が大失敗したのは何故か?すき屋の失敗の本質に関する考察
人時客数を維持できるならば、新商品投入時にも店を回せる。予想以上の人気商品となった牛すき鍋膳をみて、吉野家の関係者は胸をなでおろしたそうだ。店が荒れずに売り上げがあがる。久し振りのヒット商品だ、と。
2014-08-02 00:00:39少しして、すき家が「牛すき鍋定食」の投入を発表したとき、最初は彼らは悔しがったそうだ。こんなに早くキャッチアップされたのか、すき家も手が早いな、と。
2014-08-02 00:02:07すき家が発表した商品イメージを見て、その認識は一変したそうだ。特に什器が専用化されていない。うちが早々に諦めた方法でやろうとしている。あれ危ないんじゃないか、と。
2014-08-02 00:05:17すき家は労時売上を重視するあまり、「店を回せるか」という観点が経営層レベルから完全に欠落していた。なので、新商品投入時に「店をまわせない」レベルの欠陥商品を押し付けてしまい、しかもそれが自社の屋台骨をへし折る可能性に全く思い至らなかった。
2014-08-02 00:10:56実のところ、すき家の人時生産性の高さは同業他社を圧倒する。問題だったのは、それが徹底的なマニュアル化と訓練により達成されたものとは言い難く、ありとあらゆるクルーに背伸びをさせて無理矢理に達成を迫ったものだったことにある。
2014-08-02 00:19:23底上げという概念が、ここ1~2年のすき家には存在しなかった。本社はクルー訓練すらしなくなる一方、何度もマニュアルは改訂され、単位工数あたりの作業時間は少しずつではあるが、後戻りは許されず減っていったという。
2014-08-02 00:21:32では本社はいったい何をしていたのかというと、第三者委員会の報告書にある通り経営幹部はc「うまくいっていない。レベルが低い。現場の社員は店が嫌いなのだろうか」と本気で悩んでいたらしい。
2014-08-02 00:23:54ところが、実際にゼンショーの経営層が日次週次で見ていたのは各アイテムの増減と各店労時売上なので、KPIの指標として「店が回せているか」ということに正確に気付いたのは(早くても)本当に今年の2月上旬だったそうだ。
2014-08-02 00:27:40気付いた理由は簡単である。計画外休業店の増大だ。3月上旬にはついに計画外休業店の数すら正確に把握できなくなり、この段階では日次すらまともに数字が出なくなっていたとみるべきだろう。
2014-08-02 00:29:34すき家の現場混乱は、計画休業の急拡大等でいったん落ち着きを見せる。が、その後話を聞く限りにおいては労時売上の取り扱いについてはあまり変わっていないそうだ。労時売上が5千円を切ればワンオペとか、そこらへんはまだ変わっていない、と今日の段階でも耳にした。
2014-08-02 00:31:28大事なことなのでもう一度言うが、飲食業において人時生産性や人時売上を参照することは大事なことである。特にチェーンオペレーションではとても重要だ。すき家の問題は、労時売上という指標の取り扱い方が常軌を逸していることにある。これをどうにかしない限り、すき家の復活は有り得ない。
2014-08-02 00:33:50あ、えーと、その、なんと申しますか、ここ近日なんぼかの人に会ってお話を聞いてきて「大変だったね」と飯をおごって、彼らからマシンガントークされた内容を自分なりにまとめて書いた内容なので、内容の一部または全部が誤っている可能性はありますのでひとつよろしくお願いします(すっとぼけ
2014-08-02 00:44:35最近なんでこんなことをやっているかというと、「チェーンオペレーションとは何か」というのをずっと考えているからです。ケーズデンキとかのネタをずっと追いかけ続けていたのもそれです。
2014-08-02 00:45:37もう一点ご指摘いただきました。「すき家は全店直営なのもかなり影響あるのではないか」という点。すき家は全店直営なので店に無理を効かせやすいという側面はあったと思います。FC展開の場合、FCを説得させられるものが必要ですからね。
2014-08-02 01:00:37zensho.co.jp/jp/ir/finance/… すき家7月度の月次速報がもう出ています。既存店売上も客数も客単価も、全店売上も前年比で100%を(ほんの少しですが)上回りました。売上も客数も落ち込んでいる日本マクドナルドとは、置かれている状況は全く異なります。
2014-08-02 01:45:32では何が問題なのか? それは「本質的には成長が全く見込めなくなった」ことです。現場は一度崩壊してしまったので、これまでと同じやり方では売上の向上は全く見込めません。人がいないので新店効果なんてもってのほかです。もう一度すき家が成長路線に復帰するなら、何かを変えないといけない。
2014-08-02 01:47:33これまでに得た成功体験を片手に、さらなる成長を追い求めることは完全に否定されました。しかも、他社ヒット商品に追随しただけでこの有様です。新商品の投入すら慎重にならざるを得ません。
2014-08-02 01:50:24何かを根本的に変えねばならない。しかし、それをやろうとする能力がいまのゼンショーのボードにあるのでしょうか? というすごい怖い話をしなければならないのです。
2014-08-02 01:51:21それだけではありません。「成長路線を追い求めるには、何かを大きく変えねばならない」のは明白なのですが、それによって一時的でも何かの数字が大きく落ち込むことは避けられないと思います。が、いまのゼンショーのボードとゼンショー本体に、それが耐えられるのか? というもっと怖い話もセット。
2014-08-02 01:52:50一時的には数字が大きく落ち込む、というのはゼンショーにとって体験はほとんどないはずです。つまり、これまで彼らを支えてきた成功体験が完全に逆ネジになりかねない。
2014-08-02 01:54:07