すき家の「労時売上」と「成功体験」

ktgohan(斬祓中) @ktgohan さんのツイートをまとめました。
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まとめ ktgohanさんによる、すき家の「労時売上」の問題点について(その1) 7月31日、「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会は調査報告書を、すき家を経営するゼンショーに提出した。 この報告書でも指摘されている「労時売上」とは何か?を@ktgohanさんが呟かれていたのでまとめました。 参考:「すき家」労働環境改善のための調査報告書受領について http://www.zensho.co.jp/jp/news/company/2014/07/20140731.html 8151 pv 43 2 users 1
ktgohan @ktgohan

帰宅。ちょっと歩き回って(比喩表現)すき家の「労時売上」の話をいくばくか聞いてきたけど、やっぱりマスコミはここをもっと衝くべきだと思った。

2014-08-01 23:44:43
ktgohan @ktgohan

1. ゼンショーは「労時売上(人時売上)」をあまりに細かく追いすぎている。人時売上は大手の飲食業で見ていないところはないくらいに重要な経営指標だが、すき家はこれがあまりに強力な必達目標として設定されているのが特異過ぎる。

2014-08-01 23:46:35
ktgohan @ktgohan

たとえば吉野家は人時売上ではなく、「人時客数」という独自の指標をみている。カウンターのクルー1人1時間あたりに何人を接客できたかというものだ。なので、人時客数の最大の焦点は「クルー動作の効率」にある。売上はそれに続いて付いてくる数字として見ている。

2014-08-01 23:49:39
ktgohan @ktgohan

人時客数を重視するからには、改善のインセンティブはあくまでも「動作」だ。なので、商品設計(クルーのマニュアルも含む)や什器を改善することが第一に来る。

2014-08-01 23:51:06
ktgohan @ktgohan

昨年末に吉野家が「牛すき鍋膳」を投入する前、社内で侃侃諤諤だったのはまさにここだった。牛丼に比べて手間が増えるので、人時客数の低下圧力が大きい、と社内の抵抗は大きかったという。これに対して開発部門は什器の専用化やセントラルキッチン側の対応強化で、人時売上の低下を抑え込む、とした。

2014-08-01 23:53:51
ktgohan @ktgohan

吉野家の牛すき鍋膳は、たとえば一般的に居酒屋等で使用される「鍋」だと、結構背高で運ぶ際に安定性を欠くので、背が低いものを探してきたのだという。こういうところから一つずつ組み立てて、新商品を慎重に設計してきたというのが、関係者が異口同音に話すことであった。

2014-08-01 23:57:02
NSX-G#96HiME @NSXG

@ktgohan 推察読ませてもらいました。なるほどなぁ。と思いまして大変参考になります。重箱の隅を突くようで申し訳ないのですが、改良したのは「鍋」というより「五徳」(鍋を載せる什器の名前わからないですが)を改良したのではないでしょうか?

2014-08-02 00:53:18
ktgohan @ktgohan

@NSXG あ、すんません、仰る通りです。特に吉野家が頑張ってたのはごとくです。ただ鍋そのものも浅めのものを探してきたと伺っております。

2014-08-02 00:55:31
リンク GIGAZINE 熱々の鍋で出される吉野家の「牛すき鍋膳」と「牛チゲ鍋膳」を食べてきた 吉野家で12月5日(木)から「牛すき鍋膳」と「牛チゲ鍋膳」という2つの新メニューが食べられるようになりました。価格は牛丼の2倍以上というかなり強気の税込580円。この価格にするからには牛丼とは別物
ktgohan @ktgohan

結果、人時客数を大きく低下させることなくオペレーションを回す目途がたち、鍋の人気化に伴って来客数が増大してもある程度店を回し切ることが出来たという。客単価も大きく向上し、結果として吉野家の業績向上に大きく貢献した。

2014-08-01 23:59:08
ktgohan @ktgohan

人時客数を維持できるならば、新商品投入時にも店を回せる。予想以上の人気商品となった牛すき鍋膳をみて、吉野家の関係者は胸をなでおろしたそうだ。店が荒れずに売り上げがあがる。久し振りのヒット商品だ、と。

2014-08-02 00:00:39
ktgohan @ktgohan

少しして、すき家が「牛すき鍋定食」の投入を発表したとき、最初は彼らは悔しがったそうだ。こんなに早くキャッチアップされたのか、すき家も手が早いな、と。

2014-08-02 00:02:07
ktgohan @ktgohan

すき家が発表した商品イメージを見て、その認識は一変したそうだ。特に什器が専用化されていない。うちが早々に諦めた方法でやろうとしている。あれ危ないんじゃないか、と。

2014-08-02 00:05:17
リンク GIGAZINE 火にかけながら食べる牛すき鍋など、すき家の「あつあつ鍋メニュー」3種類を先行販売で食べてきました 吉野家が12月に販売した「うまい・やすい・ごゆっくり」がコンセプトの鍋メニューが好評を博していますが、すき家も後発で鍋を使ったメニューの「牛すき鍋定食」・「とろ~りチーズカレー鍋定食」・「野菜たっ
ktgohan @ktgohan

結果はご覧のとおりというか、他社関係者の予想をはるかに上回る勢いで店が荒れた。

2014-08-02 00:08:12
ktgohan @ktgohan

すき家は労時売上を重視するあまり、「店を回せるか」という観点が経営層レベルから完全に欠落していた。なので、新商品投入時に「店をまわせない」レベルの欠陥商品を押し付けてしまい、しかもそれが自社の屋台骨をへし折る可能性に全く思い至らなかった。

2014-08-02 00:10:56
ktgohan @ktgohan

実のところ、すき家の人時生産性の高さは同業他社を圧倒する。問題だったのは、それが徹底的なマニュアル化と訓練により達成されたものとは言い難く、ありとあらゆるクルーに背伸びをさせて無理矢理に達成を迫ったものだったことにある。

2014-08-02 00:19:23
ktgohan @ktgohan

底上げという概念が、ここ1~2年のすき家には存在しなかった。本社はクルー訓練すらしなくなる一方、何度もマニュアルは改訂され、単位工数あたりの作業時間は少しずつではあるが、後戻りは許されず減っていったという。

2014-08-02 00:21:32
ktgohan @ktgohan

では本社はいったい何をしていたのかというと、第三者委員会の報告書にある通り経営幹部はc「うまくいっていない。レベルが低い。現場の社員は店が嫌いなのだろうか」と本気で悩んでいたらしい。

2014-08-02 00:23:54
ktgohan @ktgohan

ところが、実際にゼンショーの経営層が日次週次で見ていたのは各アイテムの増減と各店労時売上なので、KPIの指標として「店が回せているか」ということに正確に気付いたのは(早くても)本当に今年の2月上旬だったそうだ。

2014-08-02 00:27:40
ktgohan @ktgohan

気付いた理由は簡単である。計画外休業店の増大だ。3月上旬にはついに計画外休業店の数すら正確に把握できなくなり、この段階では日次すらまともに数字が出なくなっていたとみるべきだろう。

2014-08-02 00:29:34
ktgohan @ktgohan

すき家の現場混乱は、計画休業の急拡大等でいったん落ち着きを見せる。が、その後話を聞く限りにおいては労時売上の取り扱いについてはあまり変わっていないそうだ。労時売上が5千円を切ればワンオペとか、そこらへんはまだ変わっていない、と今日の段階でも耳にした。

2014-08-02 00:31:28