完全番外編『間宮の過去』終局(後半)
- mamiya_AFS
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食卓を挟めば、相手が嘘を言っているかはわかる。 そうでなくとも、感情の裏表が無くずっと一緒に過ごしてきた伊良湖の嘘は、間宮には一目瞭然である。 彼女は今、嘘をついた。 それがわかった。
2014-06-08 00:29:07激痛は感じている。ともすれば叫び出しそうな程に。 でも平気だった。我慢していた面はあったが、無理しているわけではなく、伊良湖は間宮のパフェを食べる事ができた。味わう事ができた。 満足する事ができた。 なので、先程の言葉は。 嘘であり、本当であった。
2014-06-08 00:31:24「ごちそうさま。ありがと、間宮」 笑顔。 どうしようもない程に、信じられないくらいに、大好きな妹の笑顔だった。
2014-06-08 00:32:45席を立ち、テーブルを周り込み、抱き締める。 唐突な動きに驚きを浮かべながらも、姉の両腕を妹が受け止めた。 「えへへ。何よお姉ちゃん」 震える間宮の背中をぽんぽん、と軽く叩く。 「なんで泣くのさ。平気。あたしは大丈夫だから、ね?」
2014-06-08 00:38:28@tiyodadayo ありがとう…ごめんね、もういいの。あなたが、あんなふうになるくらいなら…私が作ったからって我慢しないで…
2014-06-08 00:37:24涙を流しながら喘ぐ姉をそっと抱き留めて、伊良湖が嬉しそうに微笑む。 「我慢なんかしてないよ。あたしは幸せだよ…?」
2014-06-08 00:40:26いなくなる。 その言葉を自分で口にし、間宮の心臓が締め付けられる。 いなくなる。 伊良湖がいない世界を、間宮は知らない。 伊良湖の笑顔を見れない世界を、間宮は望んでいない。
2014-06-08 00:42:17「わかってる。わかってるよお姉ちゃん。大丈夫、大丈夫だから…」 伊良湖は子を抱く母親のように優しい笑みのまま、愛おしそうに姉の背を抱く。 「いなくなったりなんて…しないから」 2人は抱き合ったまま、 た。
2014-06-08 00:45:04「明日、さ。一緒に行きたい所があるんだ」 しばらくしてから、思い出したように伊良湖が告げる。 「いいかな…?」 子供のようにぐずつく間宮の髪に指を滑らして、伊良湖が問い掛ける。
2014-06-08 00:47:04「えへへ。内緒」 顔を上げた間宮のすぐ目の前で、伊良湖が恥ずかしそうに笑った。 「すごい顔だよお姉ちゃん。もう、子供じゃないんだから」 いつも間宮に子供扱いされる仕返しとばかりに、意地悪く笑い、やや強引に姉の顔をタオルでこする。 そして、間宮を力いっぱい抱き締めた。
2014-06-08 00:51:54「ふふ、そうだね。変だね」 妹の顎が肩に乗っているので、彼女の顔が見えない。 「もう寝よう? 明日は早起きしたいし、さ」
2014-06-08 01:00:27……。 並んだ布団。 明かりは消され、真っ暗な部屋。 「おやすみ、間宮」 繋がれた手。 伊良湖のぬくもり。
2014-06-08 01:06:52横になった途端に、どっと疲れが押し寄せてきた。 疲れ過ぎていた。 あまりにも。 安心したのがそれに拍車をかける。 いなくならない。 伊良湖はそう言ってくれた。 その言葉だけで、間宮は救われる気がしたから。 すぐに泥のように眠気に浸される。 意識が沈んでいく。
2014-06-08 01:10:18