「千の想いを」~番外編・天城がいた頃/夏の日(#1)~
- mamiya_AFS
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照れと妙な嬉しさを感じながら手を握り合う事もそこそこに、天龍と名乗った先輩が下り階段がある方向へと立ち去っていく。 後姿を眺めれば、重心のブレがほとんど無い美しい歩き方だと思えた。モデルでも通用しそうだと云える。
2014-06-22 17:08:42天龍の姿が見えなくなったのとほぼ同時に、階段脇の通路から天城が戻ってくる。 よく考えなくても姉もさっきの人と同じ艦隊だったのだと思い至る。きっと天城に色々とからかわれていたんだろう、と勘だけなのに確信した。ならばすぐに仲良くなれるはずだ。 階段を上っていく姉を追う赤城の足は軽い。
2014-06-22 17:13:18受付の守衛さんと天城が何やら話し込んでいる。許可は取ってあるのだからすぐに話は済みそうなものなのに、妙に長引いていた。守衛さんがしきりに首を傾げているが、天城の「責任は私が取るから」の言葉を最後に、鉄の扉の鍵を開いた。 姉のおいでおいでの手に従って、困り顔の男性の前を通る。
2014-06-22 17:16:40だだっ広いスペースは大空を一望でき、遥か水平線まで広がる海原まで眺める事ができる。扉が閉じるや告げられた姉の言葉に頷いてから、揉めていたのは今や違う艦隊の人間でもある天城が立ち入る事に関してなんだろうと結論付けた。なんだかんだで軍事施設故に厳しいのだろう。
2014-06-22 17:21:25それを強引に押し通せる天城という空母娘の顔の広さと実績がある事の証明だと思い、赤城もいけないとは思いつつ嬉しさを感じる。
2014-06-22 17:22:36ガラガラと大きな倉庫の扉を横に開く。後に続いておそるおそる入れば、中は様々な武装や道具に弾等の備品が所狭しと床と壁の棚を埋め尽くしていた。 天城が普通の弓にしか見えない射出兵器を2本取り出し、片方を赤城へと差し出してくる。
2014-06-22 17:26:32@AC_akagi @tiyodadayo あっはっは! そう言えばそうだったね、これは失礼お嬢様! そうだ、覚えておきな。基本うちの資材やなんやは12を1セットで用意している。使った弾の数の報告書とか書く事になるから、1ケース12の倍数で暗算できるようにしときな。
2014-06-22 17:28:33見れば確かに魚雷や砲弾が詰まっているケースは、どれも12発ずつ入っていた。 1ダースが基本単位で統一されているらしい。
2014-06-22 17:30:03@amagisane @tiyodadayo もう…、姉さんだってそうだったでしょう…? そうなのですね、分かりましたっ 計算は得意ですよ♪
2014-06-22 17:29:49@AC_akagi @tiyodadayo はいこれ。これが俺ら空母にしか使えない兵器、航空機だよ。 練習用で自我は無いけれど、こいつもちゃんと『思考』はしてるから。優しくしないと拗ねて襲ってくるからね。
2014-06-22 17:31:55ボディに大きく『1』と『2』とペイントされた2機の飛行機をそのまま手の平サイズまで小さくしたような兵機を渡される。奥からこれまた弓道の矢にしか見えない棒を取ってきて、慣れた手付きで航空機に取り付けていく姉を待つ。
2014-06-22 17:34:37渡されたものの、先程の言葉を思い出してとりあえず両胸に抱き抱える。武器なのに優しく扱えと言われて、どうすればいいのかすぐにわかる少女がいるはずもない。 それを見て、天城がまた大声で笑い出す。埃が舞い上がった。
2014-06-22 17:35:58だからと言ってすぐに粗雑に扱える程肝も据わっていないので、胸に抱いたまま先を行く姉に続く。天城も自分用に2機航空機を持っており、先っぽに2桁キロは軽くある物体が括られている矢を指先でくるくると器用に回している。 もう普通の人間じゃないんだなと、改めて理解せざるを得ない。
2014-06-22 17:39:41