金谷武洋「日本語は敬語があって主語がない 「地上の視点」の日本文化論」を読み解く

@satounaoto さんに主語論で有名な金谷武洋先生の近著「本語は敬語があって主語がない」の論旨をまとめてつぶやいて頂いたので、まとめてみました。
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@satounaoto

演繹deductionと帰納reductionとは別の、「数学的帰納法」と言う時の帰納法に二種類ある。完全帰納法と不完全帰納法で、前者は数学のみ可能で、自然科学では後者のみ可能。言語学は自然科学だとすると、対象とする対象の全てを列挙することはできない。 (続) #knyn

2010-11-23 19:13:41
@satounaoto

続き) #knyn 言語学では不完全帰納法しか可能ではないため、一般的言明というものは反駁可能refutableなものでなければならない。とはいえ、すぐに反例が見つけるようなデータから一般化を行うことは「特殊例からの一般化」①という推論の誤りである。(続)

2010-11-23 19:27:58
@satounaoto

続き) #knyn また、「A→B」という一般化があって、Aが正しい、ということからBという結論を得ることはmodus ponensと呼ばれる三段論法の一つ。また、Aではない、ということから、Bではない、という結論を得ることも三段論法の一つでmodus tollens。(続)

2010-11-23 19:34:06
@satounaoto

訂正:Bではない、ということから、Aではない、という結論を得ること…恥ずかしい(/ ω \ )RT @satounaoto: 続き) #knyn …また、Aではない、ということから、Bではない、という結論を得ることも三段論法の一つでmodus tollens。(続)

2010-11-23 20:50:35
@satounaoto

続き) #knyn しかしA→Bが与えられた時に、Aではない、ということから、Bではない、という結論を引き出すのは誤った推論である②。文系だから①、②が大目に見られる、とか、言語には別の論理が必要だということはない。ところで、金谷先生は①と②をキレイに実行している。(続)

2010-11-23 19:45:02
@satounaoto

続き) #knyn 『日本語に敬語が〜』では、「日本語には敬語がある」から、一般に受け入れられているとは言えないけれどともかく、「日本語は主語がない言語の一つである」という言明に基づき「ある言語に主語がない→その言語に敬語がある」とする、という①の誤りを犯している。(続)

2010-11-23 19:53:17
@satounaoto

続き) #knyn さらに、「ある言語に主語がない→その言語に敬語がある」という擬似一般化に基づき、「古英語には主語がない」から、「古英語には敬語がある」という推論の誤り②を犯している。推論が誤っているうえに、この結論を事実に照らし合わせて確かめていない。弁護の余地がない。(終)

2010-11-23 20:01:04