初期キリスト教における転生観の由来~ユダヤ教における伝統と古代エジプトにおける転生観の変質についての試論

初期キリスト教の文書群の中には、あきらかに「転生」を前提とした記述が多く含まれている。これは何に由来するものなのか? ユダヤ教の伝統的な死生観に、転生という概念は含まれていたのだろうか。であるとするなら、古代エジプトからの伝統を継いでいるのか、またその古代エジプトにおける転生観が変容して伝わっているのか。
20
ピュシス @bcphysis

あともうひとつ、後半のご質問ですね。私もあとはベルリン写本くらいしかすぐには思い浮かばないのですが、ぎりぎりのところでヨブ記はそれっぽい解釈をされたりしているそうですね @komorikentarou それと、ユダヤ教内の転生思想についてふれている文献、歴史書でご存じのものを

2014-09-13 21:15:14
ピュシス @bcphysis

邦語文献ですが、松本宣郎氏の著述の中で、いくらなんでも「復活」をあっさり信じすぎてやいないか、というような論旨を見たような記憶が。すみません、もう10年くらい前に一回読んだ程度の記憶なので錯誤があるかもですが、いずれにせよ彼の論からは影響受けました @komorikentarou

2014-09-13 21:17:59
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

なるほど。同時代のユダヤ側からの記録にはイエスの磔刑や復活に関するものが全然見つかっていないのは、当時あまり驚かれなかったことの表れとみることもできるかも、と思っていました。ユダヤ文化に復活転生観がかなりあったとすれば、そんなに驚かれるものでなかった可能性も。@bcphysis

2014-09-13 21:19:22
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

復活を信仰の根拠に高くかかげているパウロ書簡からすると、復活が驚かれていないとまでは言えないと思うのですが、福音書の編纂でみるとたしかにそこが最大のポイントではなかったかと読めますし、布教が進む前段階での同時代的な驚き報告が少なすぎる気はしていました。@bcphysis

2014-09-13 21:39:11
ピュシス @bcphysis

正典の中でも扱いがばらばらっていうあたりで、完全部外者な身からすると、「うーん?」っていう気持ちにはなるものです。一般信徒には読まれるものでなく読み聞かされるものだったので、何種類もあると、布教しやすかったんだろうな、という邪推はしてしまいます @komorikentarou

2014-09-13 21:42:49
ピュシス @bcphysis

教典とそれにまつわる書類群を史料として捉えようとする立場と、あくまで教典として捉える立場とで、それはもう一切相容れないところであるとは承知しているので、線引きして許し合って共存するしかないとは思っています

2014-09-13 21:46:05
ピュシス @bcphysis

@komorikentarou はい、実証の難しいことなので、解釈というか、もはや空中戦にしかならないようなネタだと思いますが……遺されていないもの、書かれなかったことから何が言えるのか、という、ネガポジな空想は面白いですね

2014-09-13 21:23:24
ピュシス @bcphysis

一晩経って、togetterのあのまとめが600viewくらいになっていたので、もう少し補足しておかねばならない気になってきた……

2014-09-14 12:41:54
ピュシス @bcphysis

与太的な可能性についてはスプレッドシートにパターン分けでも書いた方が手っ取り早そうだけれど、一番言いたかったことは、古代史を語らんとするときに、いくらなんでも物事を掬うザルの網目が粗すぎることは、意識的に自覚につとめないといけない、ということだったかなーと自省して思う

2014-09-14 12:45:44
ピュシス @bcphysis

史料が多いから近現代史は顕微鏡でどこまでも精緻に見ようとするんだけれども、逆にそのせいで「そこまでやんなくてもいいんじゃん……」っていう問題に拘泥する傾向がある。一方で、言うまでもなく専門家においてはそんなことないけれど、溯れば溯るほど、数百年単位でざっくり切られすぎる古代史

2014-09-14 12:48:41
ピュシス @bcphysis

人と人とが交わり合う中、純粋培養で何かが保持されるなんてことは有り得ない。まして文字による情報伝達・記録が一般的でなかった時代においては。一字一句たがわずに伝承されたとしても、語の用法それ自体が変わっていくので、実はあの時代とこの時代とでは文面は一緒でも意味は違うということはある

2014-09-14 12:51:35
ピュシス @bcphysis

写本の精度についてもかなり疑わしく思わなくてはいけなくて、中世に教会の中で引きこもって必死に写本作ってた人達だって、たくさんの間違いをして、わけのわからん怪物を生み出したりしていたそうな。これは 杉崎泰一郎『欧州百鬼夜行抄』原書房、2002. において明るい

2014-09-14 12:54:28
ピュシス @bcphysis

ひとくちにユダヤ共同体だとか初期キリスト教の受容者だとか言っても、彼らがどこに住んでいた人々であるか、ということも見逃せず、住む気候風土によって認識・生活レベルで色々と変わるので、全部まとめて一つの容器に放り込んで審判できるものでもない

2014-09-14 12:57:35
ピュシス @bcphysis

エイレナイオスの異端反駁(という名前自体も、これ、「異端」という字面に引きずられすぎてはいけないと思うんですが)において叩かれてるバシレイデースが輪廻転生を唱えていたのは有名ですが、これだって史料が一方的すぎて何とも言えない goo.gl/wkjdUK

2014-09-14 12:59:31
ピュシス @bcphysis

とかく、史料の発掘ひとつで色々とひっくり返りうる時代の話は「判断保留」しなくてはならない事柄に満ちあふれているので、「こうでしかありえなかった」という決めつけをすることが「何か色々なことを恐れぬすさまじいことである」という感覚を持つのは大事だろうなあと思っている次第です

2014-09-14 13:03:36
ピュシス @bcphysis

史学者的立場から間違いなく言えることは、歴史というのは「まあ現時点で言えることは、ひとまず認められている史料間の整合性や要件を満たすのは、この説じゃないかな」という仮説と合意の積み重ねで成り立っており、その点において、反証可能性を持った言語ゲーム的な科学の一つである、と

2014-09-14 13:07:57
ピュシス @bcphysis

そしてその道から踏み外した言説は歴史学ではない、けれども、人は歴史学のみを口にしなくてはならないということもなく、こういう風に考えると何か面白い発見できるかもしれない、と空想する自由は誰にでもある(以上、拡散によって真に受けすぎる人が出ないように……という言い訳終了)

2014-09-14 13:10:50
ピュシス @bcphysis

そういえば、手元にあった エレーヌ・ペイゲルス、荒井献・湯本和子訳『ナグ・ハマディ写本』 では、1章で、キリストの復活に対するグノーシス諸派の意見が紹介されていますね。真に受けるな説とか、あれは肉体じゃなくて霊魂なんだよ説とか、肉体が保存されてないと戻ってこられないよ説とか

2014-09-14 13:20:15