“低きに合わせる”のが、この国の生存権保障なのか? ~次に狙われる住宅扶助基準と冬季加算の削減~・徳武聡子氏の実況

9月15日に東京で開かれたシンポジウム「“低きに合わせる”のが、この国の生存権保障なのか? ~次に狙われる住宅扶助基準と冬季加算の削減~」 http://inabatsuyoshi.net/2014/08/26/982 について、生活保護問題に取り組む司法書士の徳武聡子(@Satoko_Tokutake)氏による実況。
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徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:国は一般低所得世帯の家賃との比較をもちだそうとしているが、これは実質引き下げするもの。低所得世帯は、安い家賃に住んでいる人が多い。この比較については、複数の委員からも批判が出ている。→

2014-09-15 13:39:35
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:厚労省の資料では、一般低所得世帯の家賃実態3.8万と住宅扶助基準4.6万を比較して、住宅扶助基準が高いとしている。「実態」と「基準」額を比較するものでおかしい。実際には、95%が基準以下の家賃の住居に住んでいる。

2014-09-15 13:42:32
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:生活保護世帯は民間賃貸住宅の5%を占めている。基準を下げると家主さんの収入も下がる。こういう賃貸事業者と連携することも必要と考える。/現在、国による生活保護利用世帯の居住実態の調査が進み、12月頃に結論が出る。事態は急を要する。→

2014-09-15 13:44:13
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:冬季加算の問題に触れる。冬季加算は冬場の暖房費として11月~3月に加算されるもの。地域により異なり月3580円~28230円。国は、生活保護世帯の水光熱費が北海道と関西で2倍の差しかないのに、冬季加算の差は7倍あるのでおかしい、下げてもよいという理屈。

2014-09-15 13:46:23
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:この考え方についても委員から異論が出ている。暖房費は寒冷地の命綱で合って削れないもの、果たして寒冷地の需要を本当に満たしているのか、加算月以外は必要でないのか、ストーブ掃除や防寒服などの需要に応対しているのか、劣悪な住まいでは余計に暖房費がかかる、など。→

2014-09-15 13:47:45
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:さらに灯油代は高騰している、暑い地域では逆に夏期加算が必要なのでは。/北海道の北見市は冬は平均気温がマイナス。ずっと暖房を付ける必要がある。灯油代だけでも冬季加算では賄いきれない。→

2014-09-15 13:49:46
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:札幌では暖房の消費量や灯油の購入量は本土の他都市の約5倍になっている。国による光熱費比較では2倍という結果しか出ないのが不思議である。さらに加算月以外の10月4月5月でも暖房を使う。→

2014-09-15 13:51:06
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

吉永さん:灯油価格の高騰。2009年では70円/㍑→今は108円/㍑。安倍政権の円安施策の下ではこれは下がらない。本当に、どうするのか。住宅扶助も冬季加算も長期的固定的なニーズである。この引き下げを食い止めないと、命の最終ラインの縮小を招く。以上

2014-09-15 13:53:05

平山洋介『住宅扶助基準引き下げに見る住宅政策の貧困』

徳武聡子 @Satoko_Tokutake

基調講演「住宅扶助基準引き下げに見る住宅政策の貧困」平山洋介さん・神戸大学教授:自分の専門は建築から住宅政策。生活保護は専門外。しかし、この問題は住宅政策のあり方が反映されるもの。→

2014-09-15 13:55:10
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:住宅扶助基準引き下げが検討されるということを聞き、調べて、かなり驚いた。資料を見ると結論ありきの審議にしか見えない。資料のが出し方が、住宅扶助を切り下げる方向での資料ばかりが出てくる。こういうことでいいのだろうか。→

2014-09-15 13:56:45
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:委員の方は鋭い指摘をしている。しかしその指摘の影響が部会に現れていない。重要なことが素通りしている。/最低居住水準の住宅に住める金額が住宅扶助の正しい金額である。国交省はこの基準を達成するための施策を進めてきた。政府もこれを達成させるようにしてきた。→

2014-09-15 13:58:36
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:しかし、審議会の資料には、最低居住水準という贅沢なものは守らなくてもいいのではないか、と読み取れそうな書きぶりである。国が決めたものを守らなくてもいいのではというのは非常に問題である。住宅保障の問題は、厚労省の問題であるが、建築物を保障するという視点がない。

2014-09-15 13:59:55
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:さて住宅政策の役割について。様々な側面がある。まず、住宅という建築物の量を増やし、室を改善する。終戦直後、住宅は2割の世帯が住宅がなかった。都市への人口流入や核家族化で住宅を増やすことが重要だった。まず量を増やしそれから質を改善することになった。

2014-09-15 14:01:26
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:次に経済政策としての住宅政策という点がある。景気が悪くなると、持ち家を増やす政策が取られた。三点目は社会政策としての住宅政策=所得再分配。家に困っている人を助けるというもの。この役割が非常に弱いのが日本の住宅政策の特徴。物は作るのに人を助けない。

2014-09-15 14:02:45
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:その前提で住宅扶助をどうするか議論しなければならない。日本は持ち家中心主義。中間層で家族持ちの人が持ち家を買うのを助ける政策だった。社会的再分配のための政策は公的賃貸住宅、これは非常に弱くちょっとしかない。公的家賃補助制度も無いと言ってよい。→

2014-09-15 14:04:57
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:生活保護の住宅扶助は生活保護の中でパッケージされたもので、家賃補助制度そのものではない。OECD諸国の中で家賃補助がない国は日本と地中海周辺だけ。ヨーロッパでは家賃補助は2割が利用、あるいは公営住宅を利用している。日本の公営住宅は4%しかない。

2014-09-15 14:07:06
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:日本では社会的再分配としての住宅政策が非常に弱い。→

2014-09-15 14:07:32
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:資本主義社会ではあらゆるものを商品化するが、それでは社会が壊れるので脱商品化も必要、例えば医療など。日本では住宅の脱商品化が弱い。公営住宅が4%しかないのに何故何とかなっているのか。家族の中で何とかする、会社が寮や社宅を供給してきた。これらは「商品」ではない。→

2014-09-15 14:09:26
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:脱商品化を進めてきたのは、政府だけでなく家族や企業。日本の政策は個人個人を社会全体で支えるのではなく、家族や企業というグループのメンバーに属している人を助ける。所属が重要で所属先を持っていない個人は非常に弱い。

2014-09-15 14:10:43
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:かつては木造低家賃のアパートがたくさんあって、そこで何とかなってきた。社会的に支えるのではなく、家族や企業や低家賃住宅を貼り合わせて何とかしてきた。損メンバーから外れると助けない。社会的に支えるものではない。社会的に人間を支える仕組みが、そもそも弱い。

2014-09-15 14:12:32
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:賃貸住宅事情の変容。2人以上の借家世帯では可処分所得が下がっている。しかし平均住居費は上昇している。所得が下がれば価格も下がるのが市場経済なのに、家賃はそうではない。実は家賃は上がっていない。低家賃住宅の絶対数が減少しているので平均家賃が上昇している。

2014-09-15 14:14:33
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:結果として家賃負担率は一貫して上昇している。単身世帯ではさらに所得は低く家賃負担率が上がっている。東京では3万円未満の住宅が1988年は3割だったのが、今は12%。住宅扶助基準を検討するなら、どんな住宅があるのかという住宅事情を考える必要がある。→

2014-09-15 14:17:06
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:低家賃住宅がどのように減っているか。公営住宅の着工戸数は戦後増え続け、1970年代初頭がピークで12万戸だったのに、それ以降一貫して減少。80年代半ばで4万戸を維持、95年からさらに下がる。90年代半ばに住宅の市場化という政策の大きな転換。→

2014-09-15 14:18:55
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

平山さん:今では公営住宅は年間2万戸も建てていないし、この2万戸もほぼ建て替え。新規に建設することは無くなり、ストック戸数は全く増えていない。むしろ減り始めているとんでもない状態。90年代半ばの住宅政策の転換で公営住宅は増えなくなっている。

2014-09-15 14:20:37
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