日本海沿いの安宿で死んだ友人に会った

アドリア海２ @phortl

「体が大きかったのです」 「でも今あなたはその異民族の背丈は日本人と変わらなかったといったではないですか」 「背丈のね、大きなものもいたのです。なかにはね、少しだけ混じっていたのではないかなあ」 「はあそうですか」 自分はますます困惑した

アドリア海２ @phortl

「それでそいつらの身長はどれくらいあったのですか」 「そうですね４メートル近くはあったんじゃないかなあ」 「え」 「４メートルですね」

アドリア海２ @phortl

自分はますますこの男は頭がおかしいに違いないと思い始めた 「そんなことはないのではないですか？」 「なぜです」 「だって身長が４メートル近くもある人間がいるわけがないではないですか」 「なぜそう断言できるのです？」 「え」 「人間が４メートル近くあってはならぬ理由がありますか？」

アドリア海２ @phortl

「・・・生物学的なことはよくわからないが、少なくとも経験則的にはありえないでしょう。世界中見渡してもそれほど巨大な人間はいない」 「それは現代の話です」 「過去にしてみたって、それほど大きな人間が存在したのならば何がしらかの記録は残っていようものではないですか」

アドリア海２ @phortl

「記憶なら」 と言って相方の男はくすくす笑った 「世界中のあちこちに言い伝えとして残っているではないですか。現にここにある鬼伝説がそれです」

アドリア海２ @phortl

「そんなものはただの御伽噺ではないのですか？」 「そうでしょうか？」 「第一物的証拠がないでしょう」 「証拠のようなものはありますよ。たとえばはるか太平洋の南方諸島にはやはり巨人についての言い伝えがあり、実際に巨大な人骨が発掘された事例もあるようです」

アドリア海２ @phortl

「それは４メートルもあったのですか」 「いえそこまでではなかったようですが」 「同じような人骨が、そのロシア沿海州や、この日本海沿岸の地で発見されたことはあるのですか」 「それもまた聞いたことはありません少なくとも私は」

アドリア海２ @phortl

「それではやはり証拠と呼べるようなものは何もないわけでしょう？あなたのいう体の大きな異民族が存在して日本に来ていたという仮説を証明する物は何もないではありませんか」 「いえあったのですよ。ですがそれはすべて抹消されました。だから残っていないように見えるだけの話です」

アドリア海２ @phortl

「抹消というと、誰がそんなことをしたのです？」 「巨体の持ち主の存在が世に知れることを好ましく思わなかった時の施政者たちでしょう。日本に関して言えば中央集権国家であったヤマトでしょうね」

アドリア海２ @phortl

「なぜ中央がそんなことをしたのです」 「それははるか辺境の地に、自分たちとは著しく異なる人間が存在していたからです」 「・・・・」 「人間と言うのはね、とかく自分と違っているものを見つけると、虐げ殺し排除しないと気がすまない生き物なのですね。それは世界のどこでも同じでしょう」

アドリア海２ @phortl

「ではその巨人は殺害された挙句骨まで処分されたのですか」 「そうなりますねだって気持ち悪いではないですか、自分たちの領土で異国から潜り込んだ巨体が跋扈していただなんて、その事実関係自体抹殺したくなるのが人の心理と言うものなのですよ」

アドリア海２ @phortl

「でもいくら隠すと言っても限度があるでしょう？あちこち掘り返され発掘も進んでいるのだから、そんな巨人が過去存在していたならば世界のどこかでその骨が出土していてもおかしくはないはずです」 「いえそれは実際出土したこともあると思うのですよ」

アドリア海２ @phortl

「出土したのに世の中に知れないと言うことはないでしょう」 「なぜそう考えるのですか」 「知れるに決まっているでしょう。第一学会が黙っているはずがない」 「いやそれが学会ほど胡散臭い組織もないのですよ。ごく少数からなる集団を鶴の一声を出せるトップが牛耳り」

アドリア海２ @phortl

「そいつが左と言えば右も左になるそういう世界なのですから」 「ではその学会のボスが出土した骨を握りつぶしているのですか」 「そうなりますね」 「なぜそんなことをするのですか」 「それはそのボスが鬼の子孫だからです」 「はあ？」