「千の想いを」~番外編・天城がいた頃/夏の日 事件編 前編(#2)~

タイムライン上で繰り広げられる読者参加型艦これ二次創作ストーリー『千の想いを』 ~番外編・天城がいた頃/夏の日~ 最初の艦娘天城さんと、その妹の赤城さんの過去と秘められた想いをここにまとめます。 ←前 http://togetter.com/li/716167 次→ http://togetter.com/li/749874 続きを読む
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TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

準備を終えるタイミングを測ったように、部屋のチャイムが鳴らされる。 返事をしてから扉を開けると、青い軍服に身を固めた長身の女性が立っていた。昨日提督の隣に立ち、親切に色々と教えてくれた旗艦の高雄だった。 「おはよう、赤城さん。よく眠れたかしら?」 柔和な笑顔が眩しい。

2014-06-22 23:46:31
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo おはようございます、高雄さんっ はい、おかげさまで…♪

2014-06-22 23:47:40
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「そうですか。それは良かったわ。もう出れる?」 ちらりと視線が赤城の頭上越しに室内に差さる。天城の寝姿を見て、喜んでいるような寂しいような、微妙な感情を浮かべてから赤城の全身を眺めていく。

2014-06-22 23:49:55
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo はい、あらかた準備は済んでいますので、大丈夫です ……姉がどうかしましたか…?

2014-06-22 23:51:27
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「そう。じゃあ行きましょうか。  いいえ、あの人は変わらないなぁ、って思っただけよ。気にしないでちょうだい」 告げて赤城がまだ履き慣れていない靴を履き終えるのを待つ。廊下ではちらほらと艦娘達の姿も見えた。当然ながら鎮守府自体は通常に活動しているのだ。

2014-06-22 23:53:41
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo そう…、ですか……? …はい、よろしくお願いしますっ

2014-06-22 23:54:29
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「…ところで赤城さん。行きながらでいいから、いくつか訊きたい事があるの。いいかしら?」 前を進む先輩が、振り向く事なく告げてくる。 すれ違う艦娘の子達から挨拶をされては返すの合間を縫っての事だった。半分くらいの子が赤城にも挨拶をしてきて、見知らないからかじろじろと眺められる。

2014-06-22 23:57:17
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo はい、大丈夫です 何でしょうか…?

2014-06-22 23:58:38
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「昨日、空母用の練習場を使ったわよね? 誰かと一緒だったり、した?」

2014-06-22 23:59:49
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo えっ…、あ、いえ…… 私だけ……です

2014-06-23 00:02:38
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

嘘。 嘘をついた事に目まぐるしく罪悪感が沸いてくる。返答の間が怪しまれるかとも思ったが、訊かれると思っていなかった事に戸惑い言葉に詰まっただけとも取れるはずだった。 不安げに前を行く背中を見詰める。表情は窺えない。

2014-06-23 00:04:55
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「そう…。そうよね。ううん、変な事訊ねてごめんなさいね? 守衛さんも昨日は1日『貴女以外誰も来ていない』と言っているんだけれども、確認しないといけなくてね。  重ねて訊くのだけれども、何も持ち出したりはしていないわよね?」 これは無い。姉と共に使った道具は全て倉庫に戻した。

2014-06-23 00:06:46
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo い、いえ…、キチンと戻したはずですが…… 何かなくなったりしているのですか……?

2014-06-23 00:08:55
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

2人は寮を抜け、建物を結ぶ道へと出る。朝だというのに日光は眩しく、そして暑さを孕みながら赤城の目と肌を照りつけた。 返事はすぐには来なかった。言葉を選んでる雰囲気を、背中から感じ取る。

2014-06-23 00:12:19
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「…どう言ったものかしら。昨夜ね、提督の寝室が襲われたの。 練習用の航空機が2機、火薬を積んで突っ込んできたのよ」

2014-06-23 00:12:48
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「ええ。提督はその時『丁度部屋を出ていた』から難を逃れたのだけれど、生身の人間だからね、もしも中にいたらどうなっていた事やら…。 ごめんなさいね。そもそもまだ初日で誰から教わってわけでもないんだから、飛ばす事もできないものね。でも事が事だから、確かめないといけなかったの」

2014-06-23 00:16:31
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo そ、そう…ですよね…… いえ…、大丈夫…です……

2014-06-23 00:18:24
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「一昨日の時点では12機全て揃っているのを確認されていたから、昨日の内に何者かが盗っていたのよね…。 あ、ごめんなさい! 違うのよ? 疑ってはいないから心配しないでね? 赤城さんがそんな子じゃないというのは、わかっているつもりだから!」

2014-06-23 00:20:20
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

初めて高雄が振り返り、赤城の肩に手を置いて懸命に言い繕う。 夏の日差しがよく似合う年上の女性は、本心から赤城を疑っていないという空気が見て取れた。今までの人生上、他人の表面だけを取り繕った嘘は見抜ける程度の目はある赤城には、理屈ではなく信じる事ができる。

2014-06-23 00:22:37
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo あっ、い、いえ…… 大丈夫…です

2014-06-23 00:22:16
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

返答しながら赤城は考えていた。 この時点でわかっている幾つかの矛盾点を。 自分が嘘をつくのには理由がある。何を隠そう、大好きな姉が秘密にしてと言ったからだ。だが、守衛が嘘をつく意図が見えなかった。間違いなく彼は自分と共に天城を確認している。話し込んでいたくらいだ。 …話し込む?

2014-06-23 00:24:46
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

提督である久瀬の顔を浮かべる。 氷の塊のような冷たく厳しい目線を。 食堂で空気を凍りつかせた男性を。 姉と、仲悪そうにしていた存在を。 昨夜。 昨夜に襲撃は起きた。 …まさか。 自然と思い至る。可能性に。

2014-06-23 00:27:53
正規空母赤城 @AC_akagi

@tiyodadayo (そういえば…、何を話しこんでいたのでしょうか… でも、帰るときにはなにも持っていませんでしたよね…)

2014-06-23 00:27:46
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

天城と守衛の会話は最後しか聞き取れなかった。 『責任は私が取るから』。そう姉は言った。自称の問題はいい。対外的に接する場合に姉は俺、ではなく私を使うのは知っている。そこではない。 責任。 何の? 赤城の思考が嫌な方向へ嫌な方向へとループを繰り返す。

2014-06-23 00:30:50