"Towards a theory of development"まとめ
- YoshinariYsd
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論文全体の主張は割とはっきりしているけど、その下位(パラグラフとか)のレベルの論旨がはっきりしていないから読みにくいという印象。もちろん私の読解力がないだけである可能性もある。
2014-11-03 17:01:36大変引っかかるのは、発生における情報や因果の役割を著者らが言うように形而上学的な問題として扱う必要が果たしてあるのか、という点。これらの問題がいかなる意味で形而上学的であると言えるのかについて、著者らはきちんと論じていないように思われる。
2014-11-03 17:20:05"Regenerating theories in developmental biology" (Pradeu)読了。Towards a theory of developmentの第2章。
2014-11-03 23:56:14発生生物学は理論を創出しているし、それは発生生物学という分野にとって有意義なことである、ということを論じた論文。これは他の掲載論文が「発生生物学は理論を持たない」という前提に立っているのと対照的である。
2014-11-04 00:05:24議論の土台として、Pradeuはまず、発生生物学者および科学哲学者から提出されてきた「発生生物学は理論を持たない」という主張を紹介することから始める。続いてこれに対する反論を三つの観点から行う。
2014-11-04 00:13:34(1)発生生物学と同じくメカニズムの科学である(よって発生生物学と同じく理論を持たない)とされている他の分野がしばしば理論を持つ。(2)発生生物学とその前身である発生学は様々な理論を提案してきた。(3)現在でも、影響力の大きな発生生物学者の中には理論を提案している者たちがいる。
2014-11-04 00:17:31以上の分析に基づきPradeuは、発生生物学の現状を記述するに相応しい理論の定式化として以下の定義を提案する:「科学理論とは、テスト可能な説明的・予測的仮説の構造化された集合である」。理論は「説明し予測する」「多様な現象を単純で一貫した描像に統一する」という機能を持つ。
2014-11-04 00:31:00@yoshinari_yo そこで「現状」じゃなくて「未来」を分析で出せないんすかね。そこであとから評価して近似したものがでてくるなら面白いのに(いじめ)
2014-11-04 00:43:27@Yashiro_Y ちょっと考え込んでしまいました。「未来の分析」が「ある科学分野が今後どのような方向へと変化していくか」というような分析を意味するなら、Pradeuの議論はそういった分析はしていません。科学哲学一般を見てもその手の議論は少ないのではないかと思います。
2014-11-04 00:56:21@Yashiro_Y この論文に関して言えば、著者の議論は単に記述的なものではなく、発生生物学者への示唆も含むものになってはいます。曰く、「理論を創出することにはこれこれの効能がある、よって発生生物学者は積極的に理論を作るべきだ」。(続)
2014-11-04 00:59:22@Yashiro_Y 科学に対してこの手の示唆や提案を行う研究は科学哲学でも結構あると思います。強引な見方をすれば、それらの議論は「この示唆に従って進んでいけば当該分野の研究は進展する」という「予測」を行っているとは言えるかも知れません。
2014-11-04 01:03:54@Yashiro_Y しかし八代さんが期待されている(?)のはこういった提言の類ではなくて、科学という分野の未来の挙動に関する、より明確で限定的・具体的なテスト可能な予測だと思います。予言の自己成就など障害もありそうですが、確かにそういった研究がもっと目指されるべきかも知れません
2014-11-04 01:15:37@Yashiro_Y なんだか学会発表での「コメントありがとうございます、今後の課題にします」みたいな返答になってしまい情けないですが、ご指摘の点は心に留めておきます。ありがとうございます。
2014-11-04 01:20:09この論文で提案されている理論の定式化はこれまで科学哲学でなされてきた定式化を大きく逸脱する新規な定式化であるというわけではなく、それゆえ一般科学哲学へのインパクトという点では大したことはないかも知れない。
2014-11-04 01:24:00だが、著者の分析は発生生物学という分野の細部をよく捉えているように思われ、その意味で(著者本人が言う通り)実践に則した議論になっている。生物学の哲学者と発生生物学者にとっては興味深く示唆に富む論文かも知れない(少なくとも私にとってはそうだった)。
2014-11-04 01:32:12訂正:「他の多くの掲載論文が」(他の掲載論文の全てが発生生物学は理論を持たないという立場に立っているわけではない)。
2014-11-04 01:51:02"The erotetic organization of developmental biology" (Love)読了。Towards a theory of developmentの第3章。
2014-11-30 23:21:01発生生物学は理論によってではなく、取り組むべき「検討課題(agendas)」によって組織化されている、と主張する論文。
2014-11-30 23:26:11冒頭、著者は発生生物学において理論への言及がほとんどなされないのはなぜか、と問いかける。彼は三つの可能性を提示する:(1)「理論」という言葉が使われないだけで実際には発生の理論を再構成できる、(2)理論の不在はこの分野の未成熟さを表している、(3)成熟科学に理論は必須ではない。
2014-11-30 23:31:22Loveは最初の二つの可能性を否定した上で(詳細は略)、発生生物学がどのように組織化されているかを、代表的な三冊の教科書(Essential、Gilbert、Wolpert)を参照することで分析していく。
2014-11-30 23:42:36三冊の教科書を見ることで分かるのは、分化・成長・形態形成・パターン形成の四つの探求課題によって発生生物学の研究にまとまりが与えられているということである。個々の研究のテーマはこれらの核となる課題の部分の集合として捉えることができる。
2014-12-01 00:05:21