rsbs日誌#35

レズボス日誌。第三五巻 ツイ鎮SS
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﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「凄まじい声じゃのう。じゃが、御前さんの声は其の様に使う物ではあるまい?口から血を吐く様な使い方は…のう?」「キシャァアアアーッ!!」空間がねじ曲げられ、長く、太さのある棒が出現させられると、獣は複数を同時に投擲した。「危ない!」職員の誰かが叫ぶ。狙いは比良坂だ。

2014-10-19 23:59:43
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#rsbs日誌 放たれた棒状のモノ。それは魚雷。深海棲艦の装甲を食い破り、一撃で可能な限りのダメージを与える為に作られた、死の投げ槍。其れは同時に艦娘にも多大な損害を与える恐ろしいモノ。しかし…「ほいよっ」軽やかなステップが、死の一撃を去なす。合計六本の魚雷は見事に無力化された。

2014-10-20 00:05:06
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#rsbs日誌 「駄目だよー?そんな単純なラインじゃ。当たる物だって当たらないよー?」両手にコンペンセイターとロングバレルのカスタマイズを施し、バレル下部のアダプタに銃剣を備えた見るにも禍々しく、しかし美しい色合いのブローニングHPを持った、風の様に舞う彼女…舞風が語った。

2014-10-20 00:10:07
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#rsbs日誌 舞風は汗一つとしてかかず、獣の放った魚雷の弾頭を切り捨て去なして見せた。信管を失った魚雷は些か危ないだけの筒となり、警備隊によって処理された。「まだ踊る?付き合うよ?」14センチ単装砲と魚雷が次々に放たれるが、舞風は踊る様に舞って見せ、全てを無力化して見せた。

2014-10-20 00:16:44
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#rsbs日誌 「終わりかぁ。無理もないよねー。だって潜水艦だもん」辺りには舞風によって斬り捨てられた砲弾や魚雷の亡骸が散乱し、獣の火力が無力であること。そして打ち止めであることをありありと証明して見せた。「今度こそ、麻酔弾を…!」「やめい」比良坂が警備隊の銃口を下げさせた。

2014-10-20 00:20:36
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#rsbs日誌 「何をするんですか!」「貴様ら、状況がよく判っておらんなぁ。あの娘は怯えておるのじゃよ。お主らの様な強面の連中に囲まれて。生まれたてで更にパニックを起こした状態で、囲まれて銃口を向けられても見ろ。そりゃあ噛み付いて当然じゃ」比良坂はやれやれとばかりに話してみせた。

2014-10-20 00:23:56
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#rsbs日誌 「舞風、下がってよい」「はーい」何処に隠し持っていたのか。ブローニングカスタムを仕舞いながら彼女は後ろに下がる。比良坂はあえて前に出るが、娘に近付きすぎはすなかった。指の腹を、取り出したナイフで僅かに切り、指先から血を滴らせる。「済まんな。マーキングは不得意でな」

2014-10-20 00:27:44
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#rsbs日誌 血の滴る指先をやんわりと突き出したまま、比良坂はそっと見守った。娘はすん、すん…と花を鳴らして血の臭いを嗅ぐ。やがて…ゆっくりと近付くと比良坂の指先をちろちろと舐めた。「よし、よし…怖かったんじゃな…うむ…安心せい…わしが守ってやる」娘はキュゥ、と喉を鳴らした。

2014-10-20 00:31:35
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#rsbs日誌 「ぁ、さて?何が起こったのか聞かせて貰おうかや?するっとまるっと。でなければわしはここの研究所をペンペン草も生えぬ様な更地にせねばならぬ」「話します!話しますとも!それに我々は酷い実験はしない様に心掛けて居ます!」所長が冷や汗をハンケチで拭いながらに言った。

2014-10-20 00:45:44
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#rsbs日誌 比良坂はゆったりとソファーに座り、獣の様に荒れ狂う娘…伊ー58号潜水艦、通称ゴーヤの頭を優しく撫でてゐた。彼女は比良坂にまるで小動物の様にぴったりとくっつき、安らかな寝息を立てていた。「彼女が受けていた研究は、知識のインプットです。勉強なのです」「ほう…?」

2014-10-20 00:50:24
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#rsbs日誌 「艦娘を建造するのに時間が掛かる三大要素が1、体の構築。2、艤装の建造。3、艦娘としての船魂の魂入れと知識のインプット…つまりは基礎知識の勉強です。魂入れは魂に纏わるモノ。それにかける時間は減らせる物ではありません」「まぁのう。物理的な限界のそれに近いからな」

2014-10-20 00:56:21
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#rsbs日誌 「其処で我々は妖精さんと共に艦娘に出来るだけ負荷が少ない、そして所要時間の少ないインプット方法を研究しておりました。まず最初に我々研究者を比研体に使い、それから艦娘へと実験を移しています」「成程のう…」妖精から手渡された研究内容のファイルを読みながら呟いた。

2014-10-20 01:00:15
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#rsbs日誌 「で、ヘマをやらかしたかや」「とんでもない!我々は五秒の時間を減らす位のスロースペースで続けておりました!…その、今回の様に問題が起きた場合は研究を遡り、何度も再検証を行っています。それと艦娘たちにも、手厚いメンタルのケアを…」「内容は判ったのじゃ」

2014-10-20 01:03:25
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#rsbs日誌 「今回の件は御門殿と海軍本部に報告はするが、わしからは真っ当な研究である事を口添えしておこう。信頼はしておるが何分御門殿と悪どい奴らを断罪するよう言われておるでなぁ」「研究データと議事録は全て提出させて貰います」「なら大丈夫じゃろ。あ…さて?」比良坂は言葉を切った

2014-10-20 01:08:08
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#rsbs日誌 「このゴーヤはわしが預かろうと思う」比良坂はぽんぽんと頭を撫でた。ゴーヤは心地良さそうに、小さく身じろいだ。「あれ程の狂乱ぶりじゃ。お主らの手に終えまい」「何から何まで…済みません。比良坂殿」「構わぬ。その代わりよい研究結果が出たら教えておくれ」「はい!」

2014-10-20 01:12:06
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#rsbs日誌 「ゴーヤ。起きなされ。行くぞ?わしらの我が家に」「…んー…んぅ…?」「家に帰るんじゃよ。ゴーヤ。わしらの家じゃ」「…ぉ…うち?」体を起こしたゴーヤの背中をとんとん、と撫でながら比良坂は微笑む。「そうじゃよ。ゴーヤの仲間が沢山居るのじゃ。綺麗な海にある島じゃよ」

2014-10-20 01:16:52

rsbs日誌 「魚やイルカ、鯨と戯れる事も出来る。目一杯泳ぐ事もな」「でち♪」ゴーヤは輝く様な笑みを浮かべ、頷いた。「さて。其れではわしらはお暇するのじゃよ所長殿」「色々と、ご迷惑をお掛けしました」頭を下げる所長に比良坂は考え込んだ。そして思い付く。

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#rsbs日誌 「お主らの研究を否定しかねない事じゃが、わしから助言を述べよう」「どんな事でも!」すがる様に所長は答えた。「古来より時間を掛けずに兵を鍛えようとして成功した試しは無い。詰め込み教育も所詮糞の役にも立たん。じゃが、学び手自身が興味を持てば、自然と学ぶじゃろう」

2014-10-20 01:24:17
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#rsbs日誌 「…!ありがとう御座います!」「なに…所詮戯れ言じゃ。魔女の戯れ言じゃよ…それでは、な」比良坂はゴーヤを引き連れ、部屋の外で待って居た舞風と合流すると研究所を後にした。「…勉強かや」「提督、どうかした?」「いや何…何事も効率ばかり求めてはならんな。とな」

2014-10-20 01:27:31
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#rsbs日誌 煙管に火を灯し、紫煙を吐く。「のう、舞風や」「なーに?」「お前さん、よい戦士に必要な物はなんじゃと思う?」謎々の様な問い掛けに、舞風は悩んだ。「経験?」「それも大事じゃな。じゃがわしは『無駄』じゃと思うんじゃよ」「…ほえ。『無駄』?」鸚鵡返しに舞風は呟いた。

2014-10-20 01:31:42
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#rsbs日誌 「うむ。無駄とはつまり余裕じゃ。余裕の無い者がよい戦士になれるかや?草木の事を知れば毒草や薬草を見分けられる。調理技能があればウサギや動物を捌き、食う事が出来る。動物の体を知っておれば、急所や弱点を予想したり出来る。と言う訳じゃ」「成程ー…」

2014-10-20 01:35:08

rsbs日誌 「これらの知識は無駄あってこそ吸収が出来る。しかしただ戦うだけならばそれらの知識を知るだけの無駄は無いのじゃ」「深いねぇー…」「お主も存分に、無駄を食い、そして吸収するがよい。何時か植物の宇宙人が攻めてくるかも知れんぞよ」「それじゃぁ植物図鑑でも読もうかなー」